【完結】生活を隠す私と、存在を隠す彼

細木あすか(休止中)

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誰か、俺の聞き間違いだと言ってくれ……

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 掃除の時間になった。

 俺は、東雲と教室の掃き掃除。ラッキーなことに、鈴木が教室外の窓拭きしてんだ。
 ……って!あいつ!青葉、ベランダの植木鉢に水やってんじゃん。代わってほしいわ。

「……て、…………」
「う……、なっ…………」

 ん?
 なんか2人で喋ってね?

 俺は窓側に移動して、掃き掃除するふりをしながら聞き耳を立てる。……断じて、盗み聞きではない。たまたま聞こえただけだ。

「青葉くん、今日は夜お仕事だよね」
「うん。22時から」

 2人は、掃除しながら視線は合わせずに会話をしている。注意して見ないと、話してるのわかんねえな。

 てかあいつ、夜仕事してんのか?
 もしかして、苦学生ってやつだったり?暑いのにセーター着てんのって、夏服買えないとか!?

「何するの?」
「今日は、シャンパンタワー作るらしい。セットの手伝いもお願いされてる」
「何それ!楽しそう」
「えー、グラス割れそうで怖い。注ぐのは楽しそうだけど、それは監督がやるだろうし」
「メイクはしないの?」
「するよ。ほら、本番中は指示あるまで動けないからその時やる感じ」
「なるほどね」

 ……!?
 え、は?……青葉って、ホストで働いてんのか!?しかも、本番って……。え、あいつ、メイクして仕事してんの?
 先生にバレたら、退学じゃんか。

「じゃあ、今日は難しい?」
「鈴木さんが良ければ寄りたいな」
「本当!?じゃあ、私の部屋で…………したいな」
「いいよ。前回…………中途半端だったから、今日は最後までやっちゃおうね」
「うん!買い物して……から、たくさんできるよ」

 ………………。

 はああああああ???!!??!!?
 待て待て待て待て。落ち着け、俺。

 え、何?
 よく聞こえなかったけど、鈴木と青葉って、そういう関係なのか?
 ……は?鈴木の部屋で何すんの!?前回中途半端って?今日は最後までって!?

 え、買い物ってゴムか?鈴木がゴム買ってきたってこと!?

「……嘘だろ」
「眞田ー、どうしたん?顔真っ青だけど」
「…………敗北感」
「は?なにが?」

 付き合ってねえって言ってたじゃん。
 勉強教えてもらってただけって。

 俺は、後ろから話しかけてきた東雲を無視して立ち尽くす。

「おーい」
「……夢だって言ってくれ」
「……?どうした、暑さでやられたんか?」

 ……鈴木、もしかして地味専?
 それとも、青葉、前髪上げたらめちゃくちゃイケメンとか?いやいや、それはないな。

 あーー!
 後で絶対問い詰める!!絶対な!!!


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