5度目の人生、好きに生きて何が悪い!?

細木あすか(休止中)

文字の大きさ
1 / 8
00

プロローグ

しおりを挟む

 私、シャノン・フラウンスは4度、死を経験している。

 理由はわからない。
 気づいたらいつも、過去に戻っているの。

 1度目の死は、激怒した家族にベランダから突き落とされた。
 2度目の死は、好きだった男性に裏切られて薬漬けになった。
 3度目の死は、濡れ衣を着せられて城下町広場で公開処刑。
 4度目の死は……。

 まあ、それはおいおい語りましょう。
 とりあえず今は、この状況をなんとかしないと。


 この、5度目のベランダから転落する状況をね。



***


 それにしても、理不尽だわ。
 過去に戻るとしても、もう少しマシなタイミングってあったと思う。あと3秒早く戻っていれば、まだ救いはあったというのに。
 まさか突き落とされる直前に巻き戻るなんて、人生何があるのかわからないな。

「……んだ、死ね!」
「っ……!」

 そうそう、これこれ。激怒したお兄様に、ベランダの外へ追いやられてしまってね。昔の私は嘘をつくのが下手で、聞かれたことをそのまま正直に答えてしまったのよ。
 で、絶賛空中散歩中ってわけ。……単に、重力に逆らえず落下してるだけなんだけど。

 その時のセリフは、こう。

『お前がフラウンスの家紋に泥を塗ったんだ、死ね!』

 あー、聞き飽きたセリフ。
 もう少し何か見所のある登場人物は居ないのかしら。まるで、退屈なミュージカルの中にでも居るみたいだわ。
 
 泥を塗った? この私が?
 馬鹿おっしゃい。泥を塗ったのであれば、それはお兄様の方でしょう。
 なんて反論をする暇もなく……というか、過去の私は言い返すということすら知らない子だったから。今は本当にそういう暇がないだけなんだけど。

 5度目の私は、冷静だった。
 落下する速度に多少恐怖を感じるものの、地面への衝撃を緩和させる方法を知っているし恐れることはない。落下中の息の吸い方も、我ながら上手くなったもんだわ。こういう時は、下手に吸い込むと肺を痛めるのよ。

「……成功」

 ぱあっと光に包まれた瞬間、私の周囲には花が咲き乱れた。フワッとどこか暖かさを感じるそれは、地面と私の間にクッションの役目を果たしてくれる。
 生き返って初めて使ったけど、腕は衰えてないみたい。

 この魔法は、フラウンスに代々伝わる秘伝のもの。
 次はもっぱらお兄様が開花するかと思ったら、私が開花しちゃったのよね。で、冒頭の「泥を塗った」発言に繋がるってわけ。

 まあ、先代開花者のお父様に泥をうんぬん言われたら黙ったわ。
 だって、この秘伝魔法を受け継ぐ者が現れたら、先代は徐々に弱り果てて命を落とすんですもの。今までのお父様も、1ヶ月も経たずにお亡くなりになっていた。

 でも、私は悪くない。
 別に、違法なことをしてこの力を手に入れたわけじゃないし、誰かを傷つけるようなこともしていない。なんなら、16歳という年齢で爵位関連のお仕事をこなして、独学で薬草学や護身術、医療術だって習得してるし。
 4回も死を経験しているせいか、性格が昔のようにYESマンじゃなくなったってだけ。

「なっ、なっ……!」
「……――」

 前回は、ここで「お兄様が開花しなくて残念でしたね」と言った。
 そしたら、顔を真っ赤にしたお兄様が走ってここまでやってきて、私の顔を殴っていったのよ。そこに、ちょうどお茶会から帰ってきたお母様やお姉様が加わって大変だったな。そのせいで、逃げるのが遅くなって私物を運び出せなかったし。
 今回は、黙っていましょう。まだ部屋に必要なものがあるのよ。

 私は、開いた口をそのまま閉じた。
 そして、平然とした顔を保ちながら玄関へと向かっていく。

 お兄様のご様子?
 さあ、知らないわ。「父様の秘術を受け継ぐのはこの僕だ!」と社交界で言い広めていたようだけど、これからその火消しにでも向かうんじゃないの? それか、外出中のお父様が帰ってくるのを待って泣きつくか、お茶会に出かけたお母様やお姉様に泣きつくか。
 秘術に甘えてアカデミーにも通わず剣術も習わず、しまいには「僕が次期伯爵候補だ」なんて言って女遊びばかりしていたようだけど。

 全っっっっ然、私は知らないわ。
 だって、これからこの家を出ていくんですもの。関係ないでしょう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

公爵家の養女

透明
恋愛
リーナ・フォン・ヴァンディリア 彼女はヴァンディリア公爵家の養女である。 見目麗しいその姿を見て、人々は〝公爵家に咲く一輪の白薔薇〟と評した。 彼女は良くも悪くも常に社交界の中心にいた。 そんな彼女ももう時期、結婚をする。 数多の名家の若い男が彼女に思いを寄せている中、選ばれたのはとある伯爵家の息子だった。 美しき公爵家の白薔薇も、いよいよ人の者になる。 国中ではその話題で持ちきり、彼女に思いを寄せていた男たちは皆、胸を痛める中「リーナ・フォン・ヴァンディリア公女が、盗賊に襲われ逝去された」と伝令が響き渡る。 リーナの死は、貴族たちの関係を大いに揺るがし、一日にして国中を混乱と悲しみに包み込んだ。 そんな事も知らず何故か森で殺された彼女は、自身の寝室のベッドの上で目を覚ましたのだった。 愛に憎悪、帝国の闇 回帰した直後のリーナは、それらが自身の運命に絡んでくると言うことは、この時はまだ、夢にも思っていなかったのだった―― ※月曜にから毎週、月、水曜日の朝8:10、金曜日の夜22:00投稿です。 小説家になろう様でも掲載しております。

好感度0になるまで終われません。

チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳) 子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。 愛され続けて4度目の転生。 そろそろ……愛されるのに疲れたのですが… 登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。 5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。 いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。 そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題… 自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

処理中です...