愛されたくて、飲んだ毒

細木あすか(休止中)

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自分勝手なのは、誰でもないこの私

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『ベルお嬢様、サルバトーレ様がご到着されました』
『……』
『……ベルお嬢様』

 何度目だったかしら。
 あれは、バーバリーがオレンジのチューリップを持って来た日だった。だから、春先ね。

 鏡台の前でフォーリーに髪を梳かしてもらっていると、部屋の中にイリヤが入ってきたの。
 その表情に、いつもの茶目っ気たっぷりな雰囲気はない。だから、用件を聞かなくても、何があったのかはすぐにわかった。

『わかったわ。準備して行くから、客間にお通しして。フォーリーは、赤いドレスを持ってきてちょうだい』
『わかりました』
『……承知しました』

 イリヤは、私が「男性を愛せない」ことを知っている。だから、婚約者であるサルバトーレのことを嫌っていた。
 まあ、私の性質を知らなくても、あの横暴な態度を見れば誰だって嫌う。フォーリーみたいに、ね。

 私は、イリヤが居なくなった部屋の中、小さくため息をついて客間へ行く準備をする。
 ……パトリシア様、私に勇気を与えてください。


***


『お待たせしました、サルバトーレ様』
『来たか、婚約者よ! 今日こそ、返事を聞かせてもらおう』
『……』

 彼が、屋敷に足を運んで5度目。
 婚約に乗り気じゃない私に対し、彼は「待つ」と言った。でも、待つと言っておきながら、当の本人は他のご令嬢と遊び呆けているみたい。そんな噂を、先日お呼ばれしたお茶会で聞いたの。
 まあ、断りたい私にとって、その状況は嬉しいけどね。

 今目の前でソワソワしてるのだって、婚約破棄されるのを待っているのでしょう。
 女性から婚約破棄させて、「可哀想な俺様」を演じるに決まっている。それか、私のお父様に多額のお金でも請求させる? 

 私は、サルバトーレと対面するように座り、イリヤの方を見る。

『イリヤ、外に出ていて』
『でも……』
『いいから』
『ならば、クラリス。貴様も下がれ』
『承知いたしました』

 イリヤが渋々扉に向かって移動すると、サルバトーレもそれにならい侍女を下がらせた。……こういう気遣いはできるんだから、女性慣れしすぎているわよね。

 なんて。……なんてね。
 本当は、全部わかっているくせに。

 扉が閉まり客間に背弱が訪れると、先にサルバトーレが口を開く。

『俺様じゃダメな理由を教えてくれ』
『……』
『俺様は、貴様の婚約者だ。だから、努力はしよう。仕事ができなくたって、それくらい俺様がカバーできる』
『……じゃない』
『なんだ、聞こえん』
『そんなんじゃ、ないんです……』
 
 私は知っていた。バーバリーが花を使って教えてくれるように、サルバトーレは私を嫌って高慢な態度でいるわけではないってことを。むしろ、好意を抱いているってことを。
 だから、女遊びしただの、どこぞのご令嬢のために大きなダイヤモンドを買っただの、派手な噂を流して私の心を動かそうと必死になってるってことくらい、なんとなく想像はできるわ。

 だって、そうでしょう?
 あっちは伯爵、私は子爵。婚約破棄なんて、いくらでもできるじゃないの。
 サルバトーレが「可哀想な俺」を演じるような人じゃないことや、お金に執着するような性格でもないことは承知だった。でも、そう思っていないと、私の心が壊れそうだったの。

 自分のことを好きな男性が居る。その事実は、私の中に吐き気をもよおすほど不快な気持ちを運んでくるのよ。本当は、一緒の空間に居るのだって嫌。

『……私、男性を愛せないんです』
『はあ?』
『男性が、嫌い、なんです……』

 下を向きながらそう話すと、静寂が訪れた。
 
 5分は経ったと思う。
 それでも静かだったから、サルバトーレが呆れて退室したかと思ったわ。下を向きながら彼の方に視線を向けると、膝が見えたからまだ居るのね。でも、表情までは怖くて見れない。

 早く、ここから立ち去りたい。そう思うも、足は動かなかった。

『……か』
『え?』
『話はそれだけか、と聞いたんだ』
『……』

 震えた声が聞こえた。
 びっくりして顔をあげると、涙を一筋流すサルバトーレの姿があった。その表情は、怒り半分悲しみ半分って言ったところ。なんとなく予想していた私にとって、それは痛くも痒くもない。
 むしろ、これで怒って帰るかなって期待すらした。

 けど、それは私の想像でしかない。

『ふざけるな! そんな理由で俺様を惨めにさせるつもりか!』
『そんな理由とはなんですか! そういう横暴なところが、……自分勝手なところが嫌なんです。興味ないんです!』
『じゃあ、なんだ。貴様は、女と結婚するのか? 女と子作りして、後継を増やすのか!? そんなこと、できるわけないじゃないか!!』
『……それでも、貴方を受け入れることはありません』
『んだとっ! 仕事ができない子爵家の令嬢が、俺様に恥をかかせるのか!!』
『っ!!』

 サルバトーレは、私の座るところまでやってきて、ソファに無理矢理身体を押し倒してきた。パニックになった私は、「家族を悪く言わないで」と喉元まで出た言葉を飲み込む。

 それよりも、男性の身体が私にのしかかってくるの。それだけで、恐怖が身体を駆け巡った。

『そもそも、貴様にこんな真っ赤なドレスが似合うわけないだろう! 俺様がやった淡色のドレスはどうした! 袖を通すのも嫌か!』
『あ、あ……』
『畜生! 散々待たせて、理由がそれって! 畜生!!』
『や、やめて、くだ……っ!?』

 サルバトーレは、そのまま私に向かって強引にキスをしてきた。唇が当たったかと思えば、すぐに舌が入り込んでくる。

 私だって、女の子。初キスを誰とどんなシチュエーションでするのか、夢くらい見る。
 とても綺麗な庭園で、鳥の囀りを聞きながら? それとも、城下町付近にある大きな木が立っている草原で、お弁当を持ち寄って?
 何度も何度も、そんなシチュエーションを夢見て想像して、楽しんだ。
 なのにそれは全部、この瞬間本当に夢になってしまった。

『ざまあ見ろ。これで、現実に還れ! 貴様は、俺様と結婚して子作りして、後継を産む運命なんだ! 貴様がいくら俺様を拒んだって、……拒んだって!』

 舌を噛みちぎってやろうかと思った。
 股間を足で蹴り上げて、動けなくしてやろうと思った。

 けど、私にそんな勇気はない。
 初キスを奪われ喪失する私に、それを求めるのは酷。

『興醒めした。帰る』
『……』

 私は、急に静かになり去っていくサルバトーレに見向きもせず、ソファに仰向けになってボーッとしていた。

 イリヤが真っ青になって部屋に入ってきたけど、何をされたのか最後まで口を開かなかったわ。
 だって、そんなことされたなんて知られたら、毎回パトリシア様の情報を持ってきてくれていたイリヤにも嫌われちゃう気がして。男性とキスしたなんて言って軽蔑されたら、私はもう生きていけない。

 その日の夜から酷い高熱にうなされ三日三晩寝込んだ私は、本当ご令嬢として破綻しているわね。周りに心配をかけるだけかけて。何も返せないのに。
 ごめんなさい、お父様、お母様。……パトリシア様。


***


 もう来ないと思ったのに、1週間後にサルバトーレはやってきた。
 でも、それをなんとも思わない程度には、気分が沈み切っていたわ。

 だってその1週間は、最悪な日々だったから。
 相変わらずパトリシア様はどこぞの死んだ伯爵令嬢に夢中だし、お父様お母様はお仕事がうまくいかなくて周りから笑い物にされて。
 昨日のお茶会でなんか、男爵令嬢に「お金のない没落貴族」って大笑いされたわ。そろそろお父様が子爵になるんですって。良かったわね。

 お茶会後に塞ぎ込んでいた私に、お父様もお母様も大いに心配してくれるし、お屋敷中の使用人も変わるがわる私にお見舞いと称してたくさんの贈り物や食べ物をくれた。
 嬉しいけど、私は子を産めないストーカー気質の子爵令嬢。そう知っても優しくしてくれる人は、この中に何人いるのでしょう?
 目の前にいる人だって、私が侍女を使ってストーカーしてるなんて聞いたら離れていくに決まってる。

『飲め。前回の詫びだ』
『……ありがとうございます』
『飲んだことはあるか?』
『いいえ』
『俺様の好きな飲み物だ。お父様からわざわざ取り寄せた新品のものだ。覚えておけ』
『はい』

 ペリエと書かれた瓶を受け取った私は、そのまま隣に居たアインスに渡す。

 もちろん、イリヤは下がらせた。
 前回何があったのか察しているみたいで、鋭い雰囲気を隠せなかったの。だから、アインスにお願いしたわ。彼なら、誰にでも落ち着いて接してくれるから。

 客間のソファに座りながら、私は最低限の会話だけをした。
 早く終わって。それしか頭になかった。視線を合わせず、目の前にあるローテーブルに目をやり、早く帰れと念を送る。

『それを飲んだら、感想を聞かせてくれ』
『え?』
『嫌いだったら、もう持ってこない。まずかったら、全部飲まずに捨てて良い。また別のものを持ってくる』
『……』

 サルバトーレは、私のご機嫌を伺うように低姿勢で話しかけてきた。
 高慢な口調は変わらないけど、なんというか雰囲気が下手に出てるというか。いつもと違うから、すぐにわかった。私の念が通じた?

 でも、そんなことですぐに許せる私ではない。
 物に釣られる私でもない。釣られるとしたら、それはパトリシア様に関するものだけ。ペリエがそうだとは、到底思えないわ。

『帰る。また1週間後に来るから、その前に手紙で感想を送れ。……そこに、好きなものも印せ』
『……好きな、もの』
『食い物でも飲み物でもなんでも良い。珍しいものだって良い』

 そう言って、その日は何もせず……まあ、アインスが居るからできないか。とにかく、その日はすぐに帰った。

 私がサルバトーレを見たのは、これが最期だったわ。


***


『……これ』

 ペリエを受け取った日から、3日が過ぎていた。瓶が割れたら何言われるかわからないから、肌身離さず持ち歩いていたわ。
 その日私は、持っていたペリエを飲もうと決心する。
 これ以上遅れたら、「手紙がこない」と本人が催促しに来るかもしれないでしょう。
 途中で誰か来たら絶対止められると思って、窓もドアにも内鍵をかけて瓶と向き合った。

 ザンギフに聞いたのだけれど、ペリエって炭酸水なのね。味のない炭酸水だって聞いたわ。
 レモンを浮かべると良いとか。でも、最初はそのまま飲んでみよう。「レモンの味がして美味しかった」なんて感想で納得するとは思えないもの。

 そう思って、ザンギフから借りたオープナーを使って瓶を開けた。
 でも、想像していたようなプシュッとした音はない。

『……炭酸水、じゃない?』

 疑問に思いながらグラスに注いだけど、やっぱり炭酸特有の泡がない。

 もしかして、サルバトーレが本当に飲んだかどうか試すために別の中身を入れてきた?
 いえ、彼はそんな姑息なことは……しないとは言い切れないけど、こんなことはしないはず。私にプレゼントを贈っているお金があれば、自分を着飾るための服を買うはずだから。

 ってことは、何か理由があって私にこれを飲めって言ってるのよね。

『この香り……』

 飲もうと思って、グラスを顔に近づける。
 すると、とても甘いフルーティーな香りが漂ってきた。無味無臭って聞いていたのに。ってことは、やっぱりこれはペリエじゃない。

 それに、この香り。
 以前、バーバリーに庭園で教えてもらったあの匂いがする。

『……ベラドンナ』

 そう。ベラドンナの実の匂いがしたの。
 とても良い匂いなのに、これが毒なの? ってびっくりした。だから、覚えている。
 
 ということは、これは毒だ。飲んだら、タダじゃいられない。
 こんなに香りがするということは、相当な量が入っているはず。なのに、無色なのはどうして?

『サルバトーレ、貴方……』

 一瞬、彼が私に「死ね」と言っているのかと思った。
 けど、それならあんな堂々と毒を渡したりはしない。ましてや医療者である、しかも、毒に明るいと公言してるアインスの前で。

 きっと、彼は知らないのね。知っていたら、感想を送れなんて言わないもの。私の好きなものも、当然聞かないでしょう。

 私は、深呼吸してそのグラスを見つめ直す。

『……私は、子爵令嬢。仕事の覚えが悪く、男性を好きになれない落ちこぼれ令嬢。なのに、みんな優しくしてくれる。こんな出来損ないの私に、優しく。……イリヤ、ごめんね』

 飲まないと、サルバトーレの身が危ないと思った。
 家族を侮辱したあんなやつなんて、知らない。そう思ったけど、あの人は私の「女性が好きだ」という話を「俺様を振るための嘘だ」とは、言わなかった。私を信じてくれた。だから、本気で怒ったんだ。

 そんな人を、危険な目に合わせるほど、私は「悪」じゃない。
 ただ、だからと言ってそれを誰かに知らせて救いたいと思うほど、私は彼を愛していない。それより……。それよりね、これは私に与えられたチャンスと思わないと。

 どうせ、子を産めない。
 男性と夜を共にしたその日に、私は命を終わらせる。今生きたところで、どうせいつかは自分で自分を終わらせる時が来るの。それは、婚約者がいる時点で変わらないわ。
 だったら、この毒で簡単に終わらせた方が楽。生きていたって、あのお方と一緒になることもないしね。

 サルバトーレのお父様、機会をくださりありがとうございます。
 ただ、自分の子どもを利用するのは、これで最後にして欲しいわ。あの人も、悪い人ではないから。私とは相性が悪かったってだけ。

『貴女が私を知らなくても、ずっと愛しております。私にとって、貴女はいつまでも太陽のようなお方です』

 最期に呼ぶ名前は、あのお方だと決めていた。
 こんなところでそれを実行することになるとは。

『……さようなら、パトリシア様』

 私は、笑いながら毒を飲んだ。
 それからのことは、覚えていない。



 これが、ない頭を働かせて迎えた、そして、勝手に自己陶酔していた馬鹿な女の結末よ。
 何も面白いことはない。……そうでしょう?

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