【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第一章

過ぎたと思えば予感があり

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「……片付けしなきゃなあ」

 少しの間休んでから、体に力を入れて立ち上がる。
 ゲームの中での主人公は、オレの幼馴染である聖女エスタだった。
 恋愛ゲームとは名ばかりのやり込み型RPGだったおま花の大筋は、世界の敵を仲間を集めてやっつけよう、というよくあるやつだった。
 冒険しながら攻略対象と仲を深め、そしてラスボスを倒したあとに告白イベントがあってエンディング。こう言葉にすると随分と単純だ。

「それでも大変だったけどなぁ」

 店の中の掃除をしながらそう遠くはない過去を振り返る。
 思い出しながら、ふとエスタともよく使った魔法薬を見つけて頬が緩んだ。
 それは体に振りかけることによって、魔物との遭遇率を一時的に上げる脳筋御用達アイテムだ。

「これ使ってエスタにスパルタ指導して、オレはオレで職人系のスキルカンストさせて、あと何やったっけな」

 前世からの癖で、俺は頭の中を声に出して整理する。
 これをすると当時の思い出まで蘇ってきてちょっと楽しくなるのだ。
 一つ思い出すと芋蔓式に色々なことを思い出す。画面の前で見ていたものが現実で起こる度に一々驚いていたし、感動もしていた。
 その中でも一番感動したのは、多分ルークを見た時だ。

「……」

 掃除の手が止まり、視線が床に落ちる。
 ルークを助けた日から一ヶ月だ。

 この一ヶ月、世界は目まぐるしく動いた。諸悪の根源とされたラスボスが倒れ、世界に安寧が戻った。けれど被害がすぐによくなるはずもなくて、各地で復興が急がれている。
 全速力で過ぎていく時間の中で、オレ一人が取り残されているような気さえする。

 エスタはこの一ヶ月でパーティメンバーでもあった王太子と婚約を済ませたし、その他のメンバーも各地を飛び回っている。世界が日常を取り戻しているのに、俺の時間は、あの日血溜まりの中にいたルークを見つけた時で止まっている。
 色々な情報を探った。
 オレに使える繋がり全部を使っても、ルークらしき人の情報はどこからも得られなかった。

「間に合わなかった……?」

 声に出した途端、喉の奥が斬りつけられたように痛くなった。
 そんなはずはないと言葉は頭の中で浮かぶのに、それを声に出せない。
 だってオレは知っている。

 彼はきっと、あの場で命を終えることを望んでいたはずだ。あの場で命を燃やし尽くすことこそが、ルークにとっても幸せだったかもしれないのだ。
 だから、もしかしたら、そんな最悪の結果が頭を過ぎる。
 でもオレにはそれを調べる術はない。きっとこの世界の誰にだって。なぜならもう、最終決戦の場となったダリアの城は跡形もなく崩れ去っているからだ。
 あの中からなにかを探し出すことなんて、不可能だ。

 カラン

 思考を中断させるように入口のベルが鳴った。
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