【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第一章

推しと万死と解釈違い

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 ルーク・ディベット

 ラスボスである女王ダリアの息子であり、王太子の異母兄。
 つまり、現国王の庶子。
 仮面を付けていたのは、ルークが王ではなく、自分に似た顔を持ったことを疎んだから。
 母の機嫌を損ねないために、ルークは幼い頃から顔を隠してきた。そしてルークの顔にある傷は、ルーク自身が付けたもの。

 そこまで説明を終えると、ルークはますますわからないといった顔をした。

「俺を利用しようとは思わないのか」
「え、なんで?」
「俺の存在は、利用価値があるだろう。この国にとっての醜聞もいいところだぞ、俺は」
「無理無理無理なんでせっかく助けた推しをそんな精神衛生上悪いところにぶち込まないといけないんだよ意味わかんない」
「お前は……」

 全力で首と手を振る俺を見てルークが呆然と呟く。

「やはり頭がおかしいのか」
「悪口だからなそれ」

 すっかり冷めてしまったコーヒーを飲んで息を吐く。
 改めてルークを見て、俺はなんとなく聞いてみることにした。

「この一ヶ月どうやって生きてたのお前」
「髪を売った金で凌いだ」
「⁉︎」

 本日二度目の衝撃に俺は言葉を失った。一度目はもちろんルークの生存が確認できたことだ。
 一度目の衝撃は嬉しかった。けれど二度目の衝撃には悲しくて声すら出なかった。
 目も口も極限にまで開き。俺は拳を握って思い切りルークに頭を下げた。

「推しに身を切らせてしまった……‼︎ 万死‼︎」

 長い髪だと目立つからとか、イメチェンとか、そんな風に思っていたのに、蓋を開けてみれば生きるために髪を切っていたなんて……!

 オタクとして許されないと、そう強く思った。
 オレにはおしゃれはよくわからない。それでも推しの見た目には人一倍敏感であった。

 そしてオレは思い至った。それは雷に撃たれたような衝撃だった。
 勢いよく顔を上げ、ルークの姿を上から下までくまなく見る。
 さすが最終決戦までプレイヤーの前に厄介な敵として現れた男。怪我などは一切見られないが、着ている服が少しばかり汚れている気がする。
 むしろ、グレードがダウンしている。おしゃれにはまるで理解がないオレだが、材質の違いはすぐに見抜くことができた。

「ルーク」

 思いの外切羽詰まった声が出た。

「金はあとどれくらい残ってる?」
「それを聞いてどうする」
「いいから教えろ! 死活問題なんだよこっちは!」

 オレの剣幕に押されたのか、ルークが少し引いた。そして伝えられた金額に、オレは両手で顔を覆って天を仰いだ。

「クッッッッッッソ貧乏じゃねえか! 冒険始めたばっかのガキより所持金少ねえぞ!」
「お前の話が聞ければいいと思っていたからな。わざわざ増やす必要もない」
「でもこの後どうするんだよ。そんなんじゃ宿は取れねえぞ、ここ王都だし」
「そこら辺で寝る」

 そこら辺……!

 許されないと思った。そこら辺で野宿するルーク・ディベットなんて解釈違いがすぎる。
 だがしかし、今から宿を取るといっても無理がある。今からの時期、王都は祭りの期間に入る。ただでさえ人が多いのにさらに多くなるのだから、宿なんて取れるわけがないのだ。
 それならば、取れる選択肢はひとつしかない。
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