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第二章
変化その5
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「違う違う。これは全然関係ねえよ」
ルークの言うあいつとは、十中八九王太子のことだろう。
ルークの異母弟に当たる人物であり、聖女の婚約者でもある。
「これはオレが今日ルークに食ってほしくて作ってんの。ルークにも早くこれが好きだって料理ができてほしいからさ」
ある程度火が通ったらあとは蓋をして余熱で焼き上げる。
その間に簡単にサラダを作って、スープの味見もする。
「いつかルークにさ、東の国の料理も食ってほしいんだよな。あそこの料理ってオレの前世のと似てるんだよ」
「なら引っ越すのはそこか」
そう言われてオレはこの話の始まりを思い出した。
そうだった。引っ越しを検討するとかなんとか言ったな。
オレのリアクションを見て、ルークが呆れたように溜息を吐いた。こればかりはなんの反論もできず、気まずさに思わず口笛を吹く。
「誤魔化し方が下手だな」
「うるせえな。……でも本当にルークのことがバレそうになったら引っ越しだなぁ。なんなら旅しながらってのでもいいかも。ルーク強えしさ、楽しい旅になりそうじゃね?」
その言葉にルークは何も返さなかった。
特に気にすることもなく、できた料理をテーブルに並べていく。ルークも配膳を手伝ってくれるようになったのも、大きな変化だと思う。
「推しが、推しが日常生活を送ってる……」
かつて悪の幹部でいつだってニヒルに笑っていた男が、ハンバーグの乗った皿を持っている。これが公式で見たかった未来である。みんな、ルークの日常オフショはここにあるよ。
オレは前世の仲間たちにそう心の中で訴えかけた。
「祈っていないで手を動かせ」
「さーせん」
合わせていた手を下ろして配膳を手伝う。
食卓には作ったもの以外にもパンが並び、グラスには祭りの時に飲んだドリンクが注がれている。しっかり自家製だが。
「よし、いただきます」
「いただきます」
推しがご飯を食べている。
「さっさと食え」
「はい」
眺めていたら叱られた。
いつものやり取りに笑みを深め、自分で作ったハンバーグを食べる。焼き加減も肉汁で作ったソースも我ながらうまくできた気がした。
「美味い?」
「ああ、美味い」
変化その五、食事には素直になった。
ある意味これがオレの中での一番の変化かもしれない。
「よかった」
あのルークが食事を美味しいと思ってくれている。それだけでオレは幸せだった。
少し関係性は変わったけれど、概ねうまくやれている気がする。このままこんな時間が続けばいいのにと思っていたオレだったが、現実はそううまくいかないらしい。
ルークの言うあいつとは、十中八九王太子のことだろう。
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「これはオレが今日ルークに食ってほしくて作ってんの。ルークにも早くこれが好きだって料理ができてほしいからさ」
ある程度火が通ったらあとは蓋をして余熱で焼き上げる。
その間に簡単にサラダを作って、スープの味見もする。
「いつかルークにさ、東の国の料理も食ってほしいんだよな。あそこの料理ってオレの前世のと似てるんだよ」
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その言葉にルークは何も返さなかった。
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