【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第二章

世界で一つだけの薬

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 近場の素材集めならルーク一人に任せるのだが、今日は少し遠いから二人だ。動きやすい服に着替え、装備品の確認も済ませる。そして最後に手に取ったものをルークに渡した。

「はい。今日もそれ着けてくださーい」
「口元だけ隠して意味があるのか」
「イケメン具合はどうしても隠せねえけど、これならルークってバレないと思うんだよ。お前のこと知ってる奴らってさ、口元しか見たことないじゃん」

 オレがルークに渡したのは口元を覆う布だ。マスクに近いけれど、あれよりは機能美に長けている。見た目だってスタイリッシュだ。なんというか、忍者っぽい。

「限定衣装みたいでテンション上がるよなぁ……」
「俺にもわかる言語で話せ」
「推しが今日もかっこいいって話」

 ルークのなんとも言えない視線が突き刺さる。
 それにも喜びを見出してしまうのだから、オタクという生き物の業は深いと思った。

「よし、準備できたか?」
「ああ」
「じゃあ行くか。あ、素材集まっても集まらなくてもハァギには寄る!」

 ルークが頷くのを見てから家を出る。
 いつもなら開店している時間に外に出たからかそこには常連客の姿があった。

「おや今日は休みなのかい?」
「ごめんなばあちゃん。今から素材取りに行くんだ。困りごと?」
「いやね、旦那が腰が痛くて立てないっていうから」
「マジ? じゃあこれ、じいちゃんの腰に塗ってみな」

 オレが斜めがけにしているカバンから取り出したのは、以前ルークと取った水晶花で作られた回復薬だった。

「いいのかい? これいくらなの?」
「いらない。その代わりまた野菜とかお裾分けしてよ。それでジューブン」

 困惑している常連客をなんとか丸め込んで、オレたちは店から離れた。それから少ししてルークの視線がオレに向いていることに気が付く。

「どうした?」
「あれは高価な薬だろう」
「ああ。この世界で二番目くらいに効き目のある万能薬」
「どうしてそれを渡したんだ」
「だって困ってたし。別にいいかなーって。誰かの役に立てたってことじゃん」
「……本当に商売人か?」
「一応。でももう無理に金作らなくていいしなぁ」

 今向かっているのは街の外ではない。
 教会が設置している転移門がある場所だ。そこに行けば、その門に記憶されている町の教会に瞬時に移動できるという優れものだ。

「一番したいことに金使ったからさ、もういいやってなってんだよね」
「何に使ったんだ」

 転移門を潜るための列に並ぶ。
 渋滞を引き起こすようなことは滅多に起こらないから列はスムーズに進んでいく。

「薬作るのに使った」

 この世界で最も高価だといわれる素材はそれ一つで何億という価値がある。その素材が一つあれば末代まで豊かに暮らしていけるし、小さな国の一つや二つ買うこともできただろう。
 当時の記憶を思い出しながら歩みを進め、前方に光り輝く門が見え始めた。

「あれ買った時はさすがに手が震えたわ。調合も一発勝負だしさ」
「その薬はどうしたんだ」
「使ったよ」

 オレたちの番が来た。眩しくてまともに目を開いていられない光の中に足を踏み込む直前「誰にだ」というルークの声がした。

「ルークしかいないだろ」

 何言ってんだこいつは、という心境のままオレは光の中に入った。
 眩しさに目をキツく閉じて、一瞬の浮遊感が襲う。そして次目を開けたとき、目の前に広がる景色は見慣れない場所へと変わっていた。

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