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第八章
檻の中※
リュシアンの寝室の扉が開き、すぐにベッドに下ろされる。
今から何をするかなんてわかりきっているのに、それでも羞恥心が先を行って口を開く。
「リュシアン、仕事は」
「全て片付けている」
打ち返すように返された言葉に息を呑む。
ベッドに乗り上げたリュシアンがジャケットを脱ぎ捨て、クラヴァットをも乱暴に解いてベッドの外に投げるように落とす。
こんなふうにリュシアンが服を寛げているところだって初めて見る。明るい時間に触れ合うのだって、これが初めてだ。
「フィリアス、愛している」
ぎし、とベッドが軋んでリュシアンの顔が近付く。
甘い囁きと一緒に唇が重なり、幸福感に涙が出そうだ。
「リュシアン好きだ、好き」
角度を変えながら唇を触れ合わせ、少しでも隙間ができると飽きることなく想いを伝える。
お互いの吐息と、自分の鼻にかかったような甘い声が部屋の中に溶けていく。そうして唇が赤くなるくらいキスをしてから、濡れた音と一緒に唇が離れてリュシアンが俺を見つめる。
「……あなたが私のものであるように、私もあなたのものだ」
「なんだか恐れ多いな」
「それは私の言葉だフィリアス」
リュシアンが体を起こし、俺を見下ろしながらシャツのボタンに手を掛ける。ゆっくりと、いっそ焦らすようにボタンが外れていき、肌が外気に晒されていく。
それでも寒いと思わないのは、自分の体が熱いからだ。
「かつて王子だったあなたを、私は自分の檻の中に閉じ込めようとしている。本当なら私はあなたを誰の目にも触れさせたくない。この美しい目には、私しか映らなくていいとすら思っている」
シャツのボタンが全て外されて薄い体がリュシアンの視界に晒される。大きな手が腹から胸元をなぞり、そして頬に触れて目元を撫でた。
「フィリアス、あなたは自分の美しさをわかっていないんだ。あなたが少し微笑むだけで、どんな男もあなたに見惚れてしまう」
「それは、言い過ぎだ」
「実際料理人の一人はあなたの笑顔に見惚れていた。許されないことだ」
なんのことだと思うけれど、リュシアンがあまりに熱の籠った目で見つめてくるから期待と緊張で息が苦しくなる。
「……だがこんなあなたを見られるのは、この世界で私だけだ」
ふ、と笑ったリュシアンに心臓が跳ねる。
暗がりの中でもこういう時のリュシアンの表情を見ると、なぜだか腹の奥が苦しくなっていた。けれど今はその時よりもずっと鮮明に見えるから、なぜだか体がおかしい。
媚薬なんて飲んでいないのに、それなのに全身が期待で震えてしまう。
「リュシアンっ」
思わず懇願するように名前を呼ぶと、リュシアンが俺の意図を理解してくれたように唇が触れる。
触れるだけだったキスが徐々に深くなり、口を開いて舌を迎え入れる。舌が絡み合った途端に痺れるような感覚が脳を走る。思わずリュシアンの背中に腕を回し、シャツをぎゅっと握った。
「ん、リュシアン……っ、ふ、んんっ」
舌が歯列をなぞり、上顎を擽る。キスはもう数え切れない程してきた。俺はもうこれが気持ちのいいことだと知っている。
でも今日は、なんだか違う。
いつもより感覚が鋭くなっている。媚薬を飲んだ時のような暴力的な刺激ではないけれど、キスだけで体が跳ねてしまうくらい快感が強い。
「っ、待って……、んんっ! っん、」
合間に言葉を紡ぐけれど、それごと食べられるように唇が塞がれまた深くキスをする。
リュシアンはもう俺の感じ入ってしまう場所なんて全て知っている。それくらい、夢の中で何度も触れ合ってきた。だから今日もリュシアンがそこばかり攻めてくるから、頭が沸騰しそうになる。
「ぁ、んっ、んんーっ、待って、待ってくれリュシアン……っ!」
「無理だ」
短く拒否され、また快感が襲う。
ぱちぱち、と目の奥で火花が散るような感覚がして腰が重たくなる。もう何度も経験した感覚にリュシアンの背を叩く。
けれどリュシアンは離してくれなくて、むしろどんどん俺を追い詰めるみたいにキスが執拗になった。
「っ、ふ、ぅ……っ、~~っ!」
もうだめだ、と思った瞬間腰に溜まった熱が弾けた。
びくびくと体が跳ねて、下着の中に白濁を吐き出していってしまっている。えも言われぬ快感と、粗相とは違うけれどそれでも服を汚してしまった羞恥に目に涙を溜めれば、そこでようやく唇が離れた。
今から何をするかなんてわかりきっているのに、それでも羞恥心が先を行って口を開く。
「リュシアン、仕事は」
「全て片付けている」
打ち返すように返された言葉に息を呑む。
ベッドに乗り上げたリュシアンがジャケットを脱ぎ捨て、クラヴァットをも乱暴に解いてベッドの外に投げるように落とす。
こんなふうにリュシアンが服を寛げているところだって初めて見る。明るい時間に触れ合うのだって、これが初めてだ。
「フィリアス、愛している」
ぎし、とベッドが軋んでリュシアンの顔が近付く。
甘い囁きと一緒に唇が重なり、幸福感に涙が出そうだ。
「リュシアン好きだ、好き」
角度を変えながら唇を触れ合わせ、少しでも隙間ができると飽きることなく想いを伝える。
お互いの吐息と、自分の鼻にかかったような甘い声が部屋の中に溶けていく。そうして唇が赤くなるくらいキスをしてから、濡れた音と一緒に唇が離れてリュシアンが俺を見つめる。
「……あなたが私のものであるように、私もあなたのものだ」
「なんだか恐れ多いな」
「それは私の言葉だフィリアス」
リュシアンが体を起こし、俺を見下ろしながらシャツのボタンに手を掛ける。ゆっくりと、いっそ焦らすようにボタンが外れていき、肌が外気に晒されていく。
それでも寒いと思わないのは、自分の体が熱いからだ。
「かつて王子だったあなたを、私は自分の檻の中に閉じ込めようとしている。本当なら私はあなたを誰の目にも触れさせたくない。この美しい目には、私しか映らなくていいとすら思っている」
シャツのボタンが全て外されて薄い体がリュシアンの視界に晒される。大きな手が腹から胸元をなぞり、そして頬に触れて目元を撫でた。
「フィリアス、あなたは自分の美しさをわかっていないんだ。あなたが少し微笑むだけで、どんな男もあなたに見惚れてしまう」
「それは、言い過ぎだ」
「実際料理人の一人はあなたの笑顔に見惚れていた。許されないことだ」
なんのことだと思うけれど、リュシアンがあまりに熱の籠った目で見つめてくるから期待と緊張で息が苦しくなる。
「……だがこんなあなたを見られるのは、この世界で私だけだ」
ふ、と笑ったリュシアンに心臓が跳ねる。
暗がりの中でもこういう時のリュシアンの表情を見ると、なぜだか腹の奥が苦しくなっていた。けれど今はその時よりもずっと鮮明に見えるから、なぜだか体がおかしい。
媚薬なんて飲んでいないのに、それなのに全身が期待で震えてしまう。
「リュシアンっ」
思わず懇願するように名前を呼ぶと、リュシアンが俺の意図を理解してくれたように唇が触れる。
触れるだけだったキスが徐々に深くなり、口を開いて舌を迎え入れる。舌が絡み合った途端に痺れるような感覚が脳を走る。思わずリュシアンの背中に腕を回し、シャツをぎゅっと握った。
「ん、リュシアン……っ、ふ、んんっ」
舌が歯列をなぞり、上顎を擽る。キスはもう数え切れない程してきた。俺はもうこれが気持ちのいいことだと知っている。
でも今日は、なんだか違う。
いつもより感覚が鋭くなっている。媚薬を飲んだ時のような暴力的な刺激ではないけれど、キスだけで体が跳ねてしまうくらい快感が強い。
「っ、待って……、んんっ! っん、」
合間に言葉を紡ぐけれど、それごと食べられるように唇が塞がれまた深くキスをする。
リュシアンはもう俺の感じ入ってしまう場所なんて全て知っている。それくらい、夢の中で何度も触れ合ってきた。だから今日もリュシアンがそこばかり攻めてくるから、頭が沸騰しそうになる。
「ぁ、んっ、んんーっ、待って、待ってくれリュシアン……っ!」
「無理だ」
短く拒否され、また快感が襲う。
ぱちぱち、と目の奥で火花が散るような感覚がして腰が重たくなる。もう何度も経験した感覚にリュシアンの背を叩く。
けれどリュシアンは離してくれなくて、むしろどんどん俺を追い詰めるみたいにキスが執拗になった。
「っ、ふ、ぅ……っ、~~っ!」
もうだめだ、と思った瞬間腰に溜まった熱が弾けた。
びくびくと体が跳ねて、下着の中に白濁を吐き出していってしまっている。えも言われぬ快感と、粗相とは違うけれどそれでも服を汚してしまった羞恥に目に涙を溜めれば、そこでようやく唇が離れた。
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