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第八章
空気を引き裂く音
目が覚めた時、辺りはうっすらと明るかった。
日の出が近い時間帯だなとぼんやり理解しながら数度瞬きをすると、すぐ側から優しい声が聞こえた。
「フィリアス、起きたのか?」
このした方に視線を向け、隣にいるリュシアンを見て思わず頬を緩ませた。
「どうした? とても愛らしい顔をしているが」
リュシアンが目を細めて微笑み、俺の眦にキスをする。その擽ったい嬉しさに息を漏らすように笑ってから小さく口を開く。
「一緒に寝てくれていたんだと思って、嬉しくなった」
「……」
それにリュシアンは目を丸くしたけれど、すぐに笑って俺を抱き締めた。さらりとした素肌が触れる感覚がひどく心地良くて、また睡魔がやってきそうだ。
「これからは毎日そうだ。あなたの一日の始まりと終わりの顔は、私が独占する」
頬にキスをされて、それから唇が触れる。
情熱的とも取れる言葉に恥ずかしさはあるけれど、それよりもずっと喜びの方が強い。
「嬉しくて、ずっと顔が緩んでしまう。嬉しい」
「あまりかわいいことを言わないでくれ。また抱きたくなる」
「! あ、そ、それは……っ」
顔を真っ赤にして狼狽える俺を見てリュシアンが楽しそうに口角を上げる。また触れるだけのキスをして、俺を見つめた。
「今からはしない。さすがに無理をさせてしまったからな」
そう言ってリュシアンが俺の腰を撫でるから、一気に昨日の記憶が頭の中を駆け巡って全身が発火しそうなくらい熱くなる。
「だが駄目だな、一度あなたを抱いてしまうと我慢が利かなくなる。夜にまたあなたに触れても?」
リュシアンの手が腰を引き寄せる。それだけでわかるが、服を着ていない。二人ともだ。だから肌がぴとりと吸い付くように合わさって、勝手に脈が速くなる。
昨日のことを思い出すと恥ずかしくて仕方がない。
けれど同時に、とても幸せだったのも思い出す。俺はリュシアンに求められるのが嬉しくてしょうがなかった。
だからこの問い掛けに対する答えなんて、俺は元々一つしか持っていない。
「……俺も、リュシアンに触れてほしい」
頷いたあとに小さく囁くと、リュシアンが静かに目を閉じて息を吐いた。細く長く吐かれるそれに内心首を傾げるけれど、また強く抱き締められて目を瞬かせた。
「自分の自制心のなさに驚くが、すでに前言を撤回したくなっている。許されるなら今からでも抱きたい。あなたをベッドから一歩でも出したくない」
とんでもない発言に目を丸くする。
慌ててリュシアンの胸を押し返すけれど、元々の体格さと筋肉量の違いでびくともしない。同じ男として悔しさも覚えるけれど、それよりも漂い始めている甘い空気に緊張が強まる。
リュシアンの手が頬に触れる。
親指が唇をなぞり、そっと口を開けさせる。
これからされるキスがどんなものか、さすがにもうわかる。
「ま、待ってくれリュシアン、待って」
もうほとんど唇が触れ合っているような距離に迫った瞬間、甘い空気を一気に吹き飛ばすような音が聞こえた。俺の腹からだ。
「……」
二人で顔を見合わせて、そして先に笑ったのはリュシアンの方だった。
「すまない。そういえば食事も取っていなかったな」
「笑うな」
俺は恥ずかしくて仕方がないのに、リュシアンは楽しそうに笑っている。こんなふうに笑う彼を見るのは初めてで、こんな状況でなければじっと見つめていたいのに今は恨めしい。
日の出が近い時間帯だなとぼんやり理解しながら数度瞬きをすると、すぐ側から優しい声が聞こえた。
「フィリアス、起きたのか?」
このした方に視線を向け、隣にいるリュシアンを見て思わず頬を緩ませた。
「どうした? とても愛らしい顔をしているが」
リュシアンが目を細めて微笑み、俺の眦にキスをする。その擽ったい嬉しさに息を漏らすように笑ってから小さく口を開く。
「一緒に寝てくれていたんだと思って、嬉しくなった」
「……」
それにリュシアンは目を丸くしたけれど、すぐに笑って俺を抱き締めた。さらりとした素肌が触れる感覚がひどく心地良くて、また睡魔がやってきそうだ。
「これからは毎日そうだ。あなたの一日の始まりと終わりの顔は、私が独占する」
頬にキスをされて、それから唇が触れる。
情熱的とも取れる言葉に恥ずかしさはあるけれど、それよりもずっと喜びの方が強い。
「嬉しくて、ずっと顔が緩んでしまう。嬉しい」
「あまりかわいいことを言わないでくれ。また抱きたくなる」
「! あ、そ、それは……っ」
顔を真っ赤にして狼狽える俺を見てリュシアンが楽しそうに口角を上げる。また触れるだけのキスをして、俺を見つめた。
「今からはしない。さすがに無理をさせてしまったからな」
そう言ってリュシアンが俺の腰を撫でるから、一気に昨日の記憶が頭の中を駆け巡って全身が発火しそうなくらい熱くなる。
「だが駄目だな、一度あなたを抱いてしまうと我慢が利かなくなる。夜にまたあなたに触れても?」
リュシアンの手が腰を引き寄せる。それだけでわかるが、服を着ていない。二人ともだ。だから肌がぴとりと吸い付くように合わさって、勝手に脈が速くなる。
昨日のことを思い出すと恥ずかしくて仕方がない。
けれど同時に、とても幸せだったのも思い出す。俺はリュシアンに求められるのが嬉しくてしょうがなかった。
だからこの問い掛けに対する答えなんて、俺は元々一つしか持っていない。
「……俺も、リュシアンに触れてほしい」
頷いたあとに小さく囁くと、リュシアンが静かに目を閉じて息を吐いた。細く長く吐かれるそれに内心首を傾げるけれど、また強く抱き締められて目を瞬かせた。
「自分の自制心のなさに驚くが、すでに前言を撤回したくなっている。許されるなら今からでも抱きたい。あなたをベッドから一歩でも出したくない」
とんでもない発言に目を丸くする。
慌ててリュシアンの胸を押し返すけれど、元々の体格さと筋肉量の違いでびくともしない。同じ男として悔しさも覚えるけれど、それよりも漂い始めている甘い空気に緊張が強まる。
リュシアンの手が頬に触れる。
親指が唇をなぞり、そっと口を開けさせる。
これからされるキスがどんなものか、さすがにもうわかる。
「ま、待ってくれリュシアン、待って」
もうほとんど唇が触れ合っているような距離に迫った瞬間、甘い空気を一気に吹き飛ばすような音が聞こえた。俺の腹からだ。
「……」
二人で顔を見合わせて、そして先に笑ったのはリュシアンの方だった。
「すまない。そういえば食事も取っていなかったな」
「笑うな」
俺は恥ずかしくて仕方がないのに、リュシアンは楽しそうに笑っている。こんなふうに笑う彼を見るのは初めてで、こんな状況でなければじっと見つめていたいのに今は恨めしい。
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