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4話(完結)
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5月第2週目ーー1位。
僕はあることに気づく。
頂点は孤独だと。追われるしかない立場だと。
上には誰もいない。だから向かうべき場所が見当たらない。
怖い。この順位を落とすのが怖い。いつの間にか作ってしまった周りの期待を裏切りたくない。
僕の勉強の目的が、順位を上げるためのものではなく、落とさないためのものになっていた。
同じ勉強でも意味合いが全く違う。
それは向上心ではなく、恐怖に怯えながらやっているからだ。
僕は少しづつ自分が分からなくなっていった。
5月第3週目ーー1位。
辛い。誰もが羨む順位を取り続けているはずなのに、全く優越感がない。
「3週連続1位なんて凄いね。天才だよ」
クラスメイトは僕を褒めてくれる。
……嬉しいけど、やめてくれ。僕は天才なんかじゃない。血の滲むような努力で何とか勝ち取っているだけだ。努力を辞めてしまえば、僕はただの凡人になる。
「これからも期待してるぞ」
先生はにこやかにその言葉をくれる。
……期待されたいけど、してほしくない。それは僕をがんじがらめにして、僕の視野をじわじわと狭めていく。
いつの間にか、僕は自分が一体何をしているのか分からないという感覚に陥った。
今月の日程表を見る。そこには、小テストという言葉の代わりに、ある文字が書かれていた。
……実力テスト。
出題範囲が指定されていない、その人の本当の能力が試される試験。
僕は目的も目標も失った勉強を、ひたすらにこなすだけだった。
実力テストーー4位。
………。
僕は絶望した。
涙は出ない。悔しいわけではないからだ。
怒りもない。結果に不満があるわけではないからだ。
悲しくもない。誰かに傷つけられたわけではないからだ。
嫉妬もない。誰かが羨ましいわけではないからだ。
……ただただこの現実に、失望した。
今までの小テストは努力すればそれに見合う結果を得られていた。
しかし自分の本当の実力が試された今回のテストは、努力だけじゃどうにもならない要素を含んでいる。
僕は痛感する。
ーー上には上がいる。
今まで視野が狭まっていたため気づかなかったが、僕の学校よりもレベルの高い学校はごまんとある。僕はそういった学校に在籍する生徒たちを越えられるイメージが全く湧かなかった。
……じゃあ僕はどこまで這い上がればいい?
多くの犠牲を払った。友達との時間、漫画を読む時間、ゲームをする時間、テレビを見る時間。
それらの犠牲の先に、僕は何か得ることができたのか?
分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からないーー。
どこかでプツンと糸が切れるような音が聞こえた。
そして僕は壊れ、自分を見失った。
もう頑張れない。そんな僕に価値はない。
ーーもういっそこの世から居なくなってしまいたい。
生きる意味を喪失した僕は、抜け殻のような状態でーー。
僕はあることに気づく。
頂点は孤独だと。追われるしかない立場だと。
上には誰もいない。だから向かうべき場所が見当たらない。
怖い。この順位を落とすのが怖い。いつの間にか作ってしまった周りの期待を裏切りたくない。
僕の勉強の目的が、順位を上げるためのものではなく、落とさないためのものになっていた。
同じ勉強でも意味合いが全く違う。
それは向上心ではなく、恐怖に怯えながらやっているからだ。
僕は少しづつ自分が分からなくなっていった。
5月第3週目ーー1位。
辛い。誰もが羨む順位を取り続けているはずなのに、全く優越感がない。
「3週連続1位なんて凄いね。天才だよ」
クラスメイトは僕を褒めてくれる。
……嬉しいけど、やめてくれ。僕は天才なんかじゃない。血の滲むような努力で何とか勝ち取っているだけだ。努力を辞めてしまえば、僕はただの凡人になる。
「これからも期待してるぞ」
先生はにこやかにその言葉をくれる。
……期待されたいけど、してほしくない。それは僕をがんじがらめにして、僕の視野をじわじわと狭めていく。
いつの間にか、僕は自分が一体何をしているのか分からないという感覚に陥った。
今月の日程表を見る。そこには、小テストという言葉の代わりに、ある文字が書かれていた。
……実力テスト。
出題範囲が指定されていない、その人の本当の能力が試される試験。
僕は目的も目標も失った勉強を、ひたすらにこなすだけだった。
実力テストーー4位。
………。
僕は絶望した。
涙は出ない。悔しいわけではないからだ。
怒りもない。結果に不満があるわけではないからだ。
悲しくもない。誰かに傷つけられたわけではないからだ。
嫉妬もない。誰かが羨ましいわけではないからだ。
……ただただこの現実に、失望した。
今までの小テストは努力すればそれに見合う結果を得られていた。
しかし自分の本当の実力が試された今回のテストは、努力だけじゃどうにもならない要素を含んでいる。
僕は痛感する。
ーー上には上がいる。
今まで視野が狭まっていたため気づかなかったが、僕の学校よりもレベルの高い学校はごまんとある。僕はそういった学校に在籍する生徒たちを越えられるイメージが全く湧かなかった。
……じゃあ僕はどこまで這い上がればいい?
多くの犠牲を払った。友達との時間、漫画を読む時間、ゲームをする時間、テレビを見る時間。
それらの犠牲の先に、僕は何か得ることができたのか?
分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。分からないーー。
どこかでプツンと糸が切れるような音が聞こえた。
そして僕は壊れ、自分を見失った。
もう頑張れない。そんな僕に価値はない。
ーーもういっそこの世から居なくなってしまいたい。
生きる意味を喪失した僕は、抜け殻のような状態でーー。
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