オレンジジュースとケーキとコーヒー

1 オレンジジュースとケーキとコーヒーの自己紹介

「好きな人は誰？」
と聞かれたら私は
「龍斗！」
と即答すると思う。なぜなら龍斗が大好きだから。そして私は龍斗の好きな人も知っている。

私の家と龍斗の家は隣同士。だから小さい時からよく遊んでいた。メンバーは私と龍斗と龍斗の双子の兄の秀夜の3人だった。といっても秀夜は小さい時からクールで、私とはあまり遊ばなかったど…。龍斗は明るくて、元気で、運動神経がよくて、頭もよくて、小学生の頃からリーダーとかたくさんやってて、本当に自慢の幼馴染。秀夜はクールで静かで運動神経がよくて、頭もよくて…でも秀夜のことはよくわからない。幼馴染だけど。
私たちは3人とも同じクラスだけど、いつのまにか距離ができてしまっていた。

「え！咲月まだ、告ってないの？」
親友の凜の大きな声がこの教室にいる人全員を振り向かせた。私は一瞬固まってしまった。
「…………って、え、あ、な、何言ってんのーや、やだなー告るもなにも私に好きな人がいるわけないじゃーん！」
凜の言葉の意味と今の状況をやっと気付いた私はとっさに口を開いた。クラスメイトたちはもとどうりに会話や遊びをはじめたが、今でも心臓が壊れそうだ。この教室には龍斗とかもいるのに凜ったら～！
「あっごめん」
私の目を見た凜が言った。凜は小さい声で言ったから安心した。

放課後になり窓の外は絵の具を使って描いたようなオレンジの空が広がっていた。今日は当番ですっかり遅くなってしまった。
「早く帰ろ……あれ？」
下駄箱を開けると小さな紙が入っていた。その紙には、
『今日の夜9時48分に桜町公園のブランコのところにきて』
と書かれていた。