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第八話 ツンデレイフーンユニコーン
人は見かけによらないもので
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レンジャーだという男は『バンビ』と名乗った。その名前を聞いた途端――。
カティをはじめとする全員がマジマジと男を見つめた。
「な、なんだ、その目は」
「……そんな名前、名乗って恥ずかしくないですか?」
「その顔だものねえ。かわいいものに憧れる気持ちもわかるけど、さすがにやり過ぎだと思うなぁ」
カティとリヴァイアサンが口々に言った。その横では幼女姿のフェニックスが『うんうん』とばかりにうなずいている。グリフォンはと言えば――。
いまだに『信用できない!』とばかりに、にらみつけている。
「本名だ。仕方ないだろ!」
バンビという男は叫んだ。顔が真っ赤になっている。
「おれだって似合わないのはわかってる。けど、親がつけてくれた名だ。勝手にかえるわけに行かないんだ」
「あら? 親思いなんですね。そんな顔してるくせに」
「顔のことはもういい!」
バンビはそう言ってふくれっ面をして見せた。そんな表情をすると『やんちゃなガキ大将』といった趣で意外と可愛げがある。
とりあえず男の話を聞こう、と言うことで森のなかで携帯農場を開き、そこで話をしているのだった。
床の上には男の抱いていたユニコーンの子供が寝かされている。様子がおかしいのは一目でわかった。純白であるはずの皮膚は灰色にくすんでいるし、淡い斑点もあちこちに表われている。
なにより、ぐったりした様子で身動きひとつしていない。注意深く観察しないと息をしているのかどうかさえわからない。
そんなユニコーンの子供を見て、フェンリルが言った。
「なるほど。これはたしかに、ウッドテイリル病の症状だな」
「ああ、その通りだ」
フェンリルの言葉にバンビはうなずいた。
「伝染力も強ければ、致死率も高いというやっかいな病気だ。このまま放っておいたらたちまち森中に広まって、森の動物が全滅しかねない。だから、急いで町の魔法医のもとに連れて行くつもりだったんだ」
あのユニコーンに襲われたせいで、町とは反対方向に来ちまったけどな。
バンビはそう付け加えた。
カティが首をひねった。
「あれ? ちょっとまってください。ユニコーンって癒しの聖獣ですよね? その角にはあらゆる怪我と病を癒やす力があるはず。それなのに、治せないんですか?」
「ほとんどの病気ならその通りだ」と、フェンリル。
「ユニコーンの癒しの力をもってすればたいがいの病気はすぐに治る。その効果は人間の回復魔法よりもはるかに強い。しかし、何事にも例外はある。このウッドテイリル病はユニコーンの天敵とも言うべき存在なのだ。この病気だけはユニコーンの癒しの力では治せんのだ」
「はあ、なるほど。そんな病気があるんですね」
「過去にもこの病が流行ったせいでユニコーンが絶滅寸前になったことが何度もある。もちろん、それ以外の普通の動物にとっても致命的な病だ。たしかに、放っておけば森中の動物が絶滅しかねない」
「ああ、その通りだ。おれが一〇年前、この森に赴任したときにもちょうど、この病気が流行りはじめてな。やはり、感染したユニコーンの子供を保護して治療したことがある。
そのときは少なからぬ被害が出てしまったが、今回は発見が早かった。この子以外には感染した様子はない。すぐに隔離して治療すれば感染拡大は防げる」
「治療って……ユニコーンが治せない病気を治療できるんですか?」
「この病気は特殊でな。ユニコーンの癒しの力は効かないが、人間の治療法は効く。回復魔法と薬物投与を併用すれば確実に治療できる。まあ、完治するまで半年ぐらいはかかるけどな」
「なるほど。では、オッサンは本当にその子を助けようとしていたんですね」
「誰がオッサンだ! おれはバンビだ」
「オッサンの方が似合います」
カティの断言に――。
他の一同もそろってうなずいたので哀れ、男の名前は『オッサン』にかわってしまった。
本人もあきらめたのだろう。と言うより、自分でもカティの意見に反論できなかったにちがいない。いきなりの名前変更を受け入れた。
「……とにかく。おれはレンジャーとして森を守るために活動しているだけだ。あんたたちに襲われるようなことはなにもしちゃいない」
「それじゃなんで、あのユニコーンさんに襲われていたんです?」
「知るか! そんなことはおれが知りたい。この子を見つけて連れ帰ろうと思ったらいきなり、襲いかかってきやがったんだ。説明する暇もありゃしない。この子を抱いて逃げるのが精一杯だった」
「そこはやっぱりユニちゃんさらいと勘違いしたんじゃないかしら。ユニちゃんさらいが多いのは事実だし」
「その顔では、勘違いされても仕方がないのじゃ」
リヴァイアサンが言うと、フェニックスも付け加えた。
「顔で判断するな! ……そりゃあ、おれだって悪人面なのは自覚してる。けど、生まれつきこういう顔なんだ。仕方ないだろ」
「その向こう傷はどうしたんです?」と、カティ。
「赤ん坊の頃、ベッドに寝かされているところを、部屋に侵入してきた野良猫に引っかかれた……らしい。赤ん坊の頃のことなんでもちろん、おれは覚えちゃいないがな。お袋がそんなことを言っていた」
「それじゃ、ちっちゃい頃からその顔ですか」
「ああ、そうだよ! ガキの頃から悪人面。おかげで、女の子たちには怖がられるし、妙な連中はよってくるし……一〇代、二〇代になってもそのまんま。だから、おれは人間と関わらずにすむようレンジャーの仕事に就いたんだ。もともと、動物は好きだったからな」
「その顔を怖がらないから?」
「……そうだ」
と、バンビ改めオッサンはカティのツッコみにうなずいた。
「以来、二〇年。幾つもの森に派遣され、レンジャーとしての仕事に精を出してきた。気がついてみれば四〇代。この歳になるまで嫁はおろか彼女ひとりいた試しはない。ずっと、さびしいボッチ暮らし。毎日、真面目に働いてるのに……」
毎日、昼間っからラム酒をがぶ飲みしているのが似合いの風貌とは裏腹に、酒にはかなり弱いらしい。おまけに泣き上戸のよう。振る舞われたシードル一杯でおいおい泣き出してしまった。
「ま、まあまあ、そう泣かないで。世界は広いんだ。きっと、どこかに『オッサンがいい』って言ってくれる女もいるって」
さすがに気の毒になったのだろう。見た目はギャルでも、根は良い子のグリフォンが慰めようとして、そう言った。
「気休めはよしてくれ! それとも、あんたが嫁に来てくれるってのか⁉」
「えっ? あ、い、いや、ほら、あたしはグリフォンで人間とは種族がちがうから……」
グリフォンはあわてて他のみんなを見回した。
「わらわたちも皆、人間ではないからなのじゃ」
幼女姿のフェニックスが視線をそらしながら答えた。
「カティなら人間だけど……」
リヴァイアサンがカティに視線を送った。
カティはキッパリ、ハッキリ、断固として言い切った。
「あたしはチーズと結婚した女です!」
「……いいんだ、いいんだ。どうせ、おれなんて一生、結婚できやしないんだ」
オッサンは涙に暮れながら指先で床に『の』の字を書きはじめた。
――拗ねるなよ。
と、その場にいる全員が心のなかでツッコんだ。
「話はわかりました。とにかく、問題はこの子です。早く魔法医のもとに連れて行ってあげなくてはいけません」
「でも、また、あのユニコーンに襲われたらそれどころじゃないぞ?」
と、グリフォンがもっともなことを言った。
「でも、変ねえ。ユニちゃんたちは人間の言葉がわかるんだから、言えば通じたはずなのに。説明しなかったの?」
「いきなり、あの角を振りかざして突進してきたんだぞ! 説明してる時間なぞあるか」
「やはり、顔が問題なのじゃじゃ」と、フェニックス。
「そうなるとやっかいだな」
フェンリルが言った。
「ユニコーンはただでさえ潔癖で、男嫌い。おまけに仲間意識が強い。ユニコーンさらいと勘違いされているならこれからも見つけたら最後、問答無用で襲いかかってくるぞ」
「それは大変ですね。皆さんで取り押さえられませんか?」
カティは一同を見回して尋ねた。
陸海空、三界の覇者に合成魔獣たるグリフォンまでそろっているのだ。ユニコーン一頭、取り押さえられないはずがなかった。
だと言うのに、カティ自慢のチーズ姉妹たちの反応は一様に歯切れの悪いものだった。
「……もちろん、取り押さえようと思えば、取り押さえられるのだが」
「のじゃのじゃ」
「問題は力の差なのよねえ」
「力の差?」
「リヴァさんとフッちゃん、フニちゃんは最高位の神霊である四神。グリちゃんも合成魔獣。それに比べるとユニコーンは神獣とは言っても霊的位階がかなり低いの。その分、圧倒的な力の差があるわけ。おまけに、ユニちゃんたちは癒し専門で戦闘力は低いからなおさら、ね」
「と言うわけで、わらわたちが出ていくと弱いものいじめになってしまうのじゃじゃ」
「さすがに、陸の覇者として、そのような真似をするのは気が引ける」
リヴァイアサンの言葉のあとにフェニックスとフェンリルも口をそろえた。
カティは納得顔でうなずいた。
「なるほど。『たとえば、落ちこぼれのプロレスラーが小学生の柔道大会に参加するような物語』になってしまうわけですね。それは確かに恥ずかしくてできるわけがありません」
「……カティ姉ちゃん、ときどき訳のわからないこと言うよな」
「ときどきではなく、しょっちゅうなのじゃじゃ」
グリフォンの言葉にフェニックスがすかさずツッコんだ。
「しかし、じゃあ、どうすればいいんだ。この子は一刻も早く魔法医のもとに連れて行って隔離治療を施す必要がある。でないと、感染が広まりかねない。おれたちだって感染する危険があるんだぞ」
「だいじょうぶです!」
カティが自信満々で言った。
「チーズはすべてを解決する! チーズを贈って誤解を解きましょう」
「チーズだと?」
と、オッサン。思わぬ言葉に目をしぱたたかせている。
「……カティ姉ちゃん。本気でチーズがあればなんでも解決できるって思ってる?」
「思っているんじゃありません。単なる事実です。実際、これまですべてを解決してきました」
そう言われると誰も反論できない。チーズによって餌付けされ、カティと一緒に旅をすることになったチーズ姉妹たちである。
「と言うわけでグリちゃん。おっぱいください。とびきりのチーズを作って誤解を解きましょう!」
カティをはじめとする全員がマジマジと男を見つめた。
「な、なんだ、その目は」
「……そんな名前、名乗って恥ずかしくないですか?」
「その顔だものねえ。かわいいものに憧れる気持ちもわかるけど、さすがにやり過ぎだと思うなぁ」
カティとリヴァイアサンが口々に言った。その横では幼女姿のフェニックスが『うんうん』とばかりにうなずいている。グリフォンはと言えば――。
いまだに『信用できない!』とばかりに、にらみつけている。
「本名だ。仕方ないだろ!」
バンビという男は叫んだ。顔が真っ赤になっている。
「おれだって似合わないのはわかってる。けど、親がつけてくれた名だ。勝手にかえるわけに行かないんだ」
「あら? 親思いなんですね。そんな顔してるくせに」
「顔のことはもういい!」
バンビはそう言ってふくれっ面をして見せた。そんな表情をすると『やんちゃなガキ大将』といった趣で意外と可愛げがある。
とりあえず男の話を聞こう、と言うことで森のなかで携帯農場を開き、そこで話をしているのだった。
床の上には男の抱いていたユニコーンの子供が寝かされている。様子がおかしいのは一目でわかった。純白であるはずの皮膚は灰色にくすんでいるし、淡い斑点もあちこちに表われている。
なにより、ぐったりした様子で身動きひとつしていない。注意深く観察しないと息をしているのかどうかさえわからない。
そんなユニコーンの子供を見て、フェンリルが言った。
「なるほど。これはたしかに、ウッドテイリル病の症状だな」
「ああ、その通りだ」
フェンリルの言葉にバンビはうなずいた。
「伝染力も強ければ、致死率も高いというやっかいな病気だ。このまま放っておいたらたちまち森中に広まって、森の動物が全滅しかねない。だから、急いで町の魔法医のもとに連れて行くつもりだったんだ」
あのユニコーンに襲われたせいで、町とは反対方向に来ちまったけどな。
バンビはそう付け加えた。
カティが首をひねった。
「あれ? ちょっとまってください。ユニコーンって癒しの聖獣ですよね? その角にはあらゆる怪我と病を癒やす力があるはず。それなのに、治せないんですか?」
「ほとんどの病気ならその通りだ」と、フェンリル。
「ユニコーンの癒しの力をもってすればたいがいの病気はすぐに治る。その効果は人間の回復魔法よりもはるかに強い。しかし、何事にも例外はある。このウッドテイリル病はユニコーンの天敵とも言うべき存在なのだ。この病気だけはユニコーンの癒しの力では治せんのだ」
「はあ、なるほど。そんな病気があるんですね」
「過去にもこの病が流行ったせいでユニコーンが絶滅寸前になったことが何度もある。もちろん、それ以外の普通の動物にとっても致命的な病だ。たしかに、放っておけば森中の動物が絶滅しかねない」
「ああ、その通りだ。おれが一〇年前、この森に赴任したときにもちょうど、この病気が流行りはじめてな。やはり、感染したユニコーンの子供を保護して治療したことがある。
そのときは少なからぬ被害が出てしまったが、今回は発見が早かった。この子以外には感染した様子はない。すぐに隔離して治療すれば感染拡大は防げる」
「治療って……ユニコーンが治せない病気を治療できるんですか?」
「この病気は特殊でな。ユニコーンの癒しの力は効かないが、人間の治療法は効く。回復魔法と薬物投与を併用すれば確実に治療できる。まあ、完治するまで半年ぐらいはかかるけどな」
「なるほど。では、オッサンは本当にその子を助けようとしていたんですね」
「誰がオッサンだ! おれはバンビだ」
「オッサンの方が似合います」
カティの断言に――。
他の一同もそろってうなずいたので哀れ、男の名前は『オッサン』にかわってしまった。
本人もあきらめたのだろう。と言うより、自分でもカティの意見に反論できなかったにちがいない。いきなりの名前変更を受け入れた。
「……とにかく。おれはレンジャーとして森を守るために活動しているだけだ。あんたたちに襲われるようなことはなにもしちゃいない」
「それじゃなんで、あのユニコーンさんに襲われていたんです?」
「知るか! そんなことはおれが知りたい。この子を見つけて連れ帰ろうと思ったらいきなり、襲いかかってきやがったんだ。説明する暇もありゃしない。この子を抱いて逃げるのが精一杯だった」
「そこはやっぱりユニちゃんさらいと勘違いしたんじゃないかしら。ユニちゃんさらいが多いのは事実だし」
「その顔では、勘違いされても仕方がないのじゃ」
リヴァイアサンが言うと、フェニックスも付け加えた。
「顔で判断するな! ……そりゃあ、おれだって悪人面なのは自覚してる。けど、生まれつきこういう顔なんだ。仕方ないだろ」
「その向こう傷はどうしたんです?」と、カティ。
「赤ん坊の頃、ベッドに寝かされているところを、部屋に侵入してきた野良猫に引っかかれた……らしい。赤ん坊の頃のことなんでもちろん、おれは覚えちゃいないがな。お袋がそんなことを言っていた」
「それじゃ、ちっちゃい頃からその顔ですか」
「ああ、そうだよ! ガキの頃から悪人面。おかげで、女の子たちには怖がられるし、妙な連中はよってくるし……一〇代、二〇代になってもそのまんま。だから、おれは人間と関わらずにすむようレンジャーの仕事に就いたんだ。もともと、動物は好きだったからな」
「その顔を怖がらないから?」
「……そうだ」
と、バンビ改めオッサンはカティのツッコみにうなずいた。
「以来、二〇年。幾つもの森に派遣され、レンジャーとしての仕事に精を出してきた。気がついてみれば四〇代。この歳になるまで嫁はおろか彼女ひとりいた試しはない。ずっと、さびしいボッチ暮らし。毎日、真面目に働いてるのに……」
毎日、昼間っからラム酒をがぶ飲みしているのが似合いの風貌とは裏腹に、酒にはかなり弱いらしい。おまけに泣き上戸のよう。振る舞われたシードル一杯でおいおい泣き出してしまった。
「ま、まあまあ、そう泣かないで。世界は広いんだ。きっと、どこかに『オッサンがいい』って言ってくれる女もいるって」
さすがに気の毒になったのだろう。見た目はギャルでも、根は良い子のグリフォンが慰めようとして、そう言った。
「気休めはよしてくれ! それとも、あんたが嫁に来てくれるってのか⁉」
「えっ? あ、い、いや、ほら、あたしはグリフォンで人間とは種族がちがうから……」
グリフォンはあわてて他のみんなを見回した。
「わらわたちも皆、人間ではないからなのじゃ」
幼女姿のフェニックスが視線をそらしながら答えた。
「カティなら人間だけど……」
リヴァイアサンがカティに視線を送った。
カティはキッパリ、ハッキリ、断固として言い切った。
「あたしはチーズと結婚した女です!」
「……いいんだ、いいんだ。どうせ、おれなんて一生、結婚できやしないんだ」
オッサンは涙に暮れながら指先で床に『の』の字を書きはじめた。
――拗ねるなよ。
と、その場にいる全員が心のなかでツッコんだ。
「話はわかりました。とにかく、問題はこの子です。早く魔法医のもとに連れて行ってあげなくてはいけません」
「でも、また、あのユニコーンに襲われたらそれどころじゃないぞ?」
と、グリフォンがもっともなことを言った。
「でも、変ねえ。ユニちゃんたちは人間の言葉がわかるんだから、言えば通じたはずなのに。説明しなかったの?」
「いきなり、あの角を振りかざして突進してきたんだぞ! 説明してる時間なぞあるか」
「やはり、顔が問題なのじゃじゃ」と、フェニックス。
「そうなるとやっかいだな」
フェンリルが言った。
「ユニコーンはただでさえ潔癖で、男嫌い。おまけに仲間意識が強い。ユニコーンさらいと勘違いされているならこれからも見つけたら最後、問答無用で襲いかかってくるぞ」
「それは大変ですね。皆さんで取り押さえられませんか?」
カティは一同を見回して尋ねた。
陸海空、三界の覇者に合成魔獣たるグリフォンまでそろっているのだ。ユニコーン一頭、取り押さえられないはずがなかった。
だと言うのに、カティ自慢のチーズ姉妹たちの反応は一様に歯切れの悪いものだった。
「……もちろん、取り押さえようと思えば、取り押さえられるのだが」
「のじゃのじゃ」
「問題は力の差なのよねえ」
「力の差?」
「リヴァさんとフッちゃん、フニちゃんは最高位の神霊である四神。グリちゃんも合成魔獣。それに比べるとユニコーンは神獣とは言っても霊的位階がかなり低いの。その分、圧倒的な力の差があるわけ。おまけに、ユニちゃんたちは癒し専門で戦闘力は低いからなおさら、ね」
「と言うわけで、わらわたちが出ていくと弱いものいじめになってしまうのじゃじゃ」
「さすがに、陸の覇者として、そのような真似をするのは気が引ける」
リヴァイアサンの言葉のあとにフェニックスとフェンリルも口をそろえた。
カティは納得顔でうなずいた。
「なるほど。『たとえば、落ちこぼれのプロレスラーが小学生の柔道大会に参加するような物語』になってしまうわけですね。それは確かに恥ずかしくてできるわけがありません」
「……カティ姉ちゃん、ときどき訳のわからないこと言うよな」
「ときどきではなく、しょっちゅうなのじゃじゃ」
グリフォンの言葉にフェニックスがすかさずツッコんだ。
「しかし、じゃあ、どうすればいいんだ。この子は一刻も早く魔法医のもとに連れて行って隔離治療を施す必要がある。でないと、感染が広まりかねない。おれたちだって感染する危険があるんだぞ」
「だいじょうぶです!」
カティが自信満々で言った。
「チーズはすべてを解決する! チーズを贈って誤解を解きましょう」
「チーズだと?」
と、オッサン。思わぬ言葉に目をしぱたたかせている。
「……カティ姉ちゃん。本気でチーズがあればなんでも解決できるって思ってる?」
「思っているんじゃありません。単なる事実です。実際、これまですべてを解決してきました」
そう言われると誰も反論できない。チーズによって餌付けされ、カティと一緒に旅をすることになったチーズ姉妹たちである。
「と言うわけでグリちゃん。おっぱいください。とびきりのチーズを作って誤解を解きましょう!」
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