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三一章
仲間たちがやってきた
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それからも毎日まいにち、朝から晩まで働いて、夜になると夢も見ずに泥のように眠る。そんな日がつづき、祭りの日はあっという間に迫っていた。
「このたらいの数では足りないのではないか?」
「けど、おれたちだけじゃこれ以上、世話できないよ」
「生き物セットももう少しほしいところだけど……」
「こっちだって手いっぱいよ。とてもこれ以上のペースにはできないわ」
「やはり、人手が少なすぎますな。なんとか補充しないと途中で台無しになりかねませんぞ、お姉さま」
「その通りだな、少年。しかし、ふやすあてもないし……」
「けど、このままじゃとても準備は間に合わない。何とかしないと何もかも台無しになっちまう……」
おれの言葉に――。
いつも無駄に元気な陽芽姉ちゃんやクールな雪森でさえ言葉を失い、うつむいてしまった。鈴沢も、金子も。みんなわかっているのだ。このままでは失敗すると言うことが。何とかしないと。でも、どうやって?
おれがそう思い、唇を噛んだそのときだ。何人かの足音がした。何気なくその方向を見て、おれは驚いた。そこには中学時代のおれの友だち、この近所の農家の息子たちが照れくさそうな顔をしながら立っていた。
「よう、耕一」
と、いかにも『照れてます』的な仕草で鼻の頭などをかきながら挨拶してくる。
「お前たち。なんでここに?」
「いや、テレビで見てさ。お前ががんばってるの見たら放ってもおけなくなって……」
「だからって農家を継ぐ気になったわけじゃないけどな。けど、おれたちだって田んぼで育ったんだ。愛着がないわけじゃない」
「だからまあ、少しぐらいは手伝わせてもらいたいと思ってさ。どうだ、耕一? おれたちも参加させてくれるか?」
「もちろんさ。ありがとう、歓迎するよ」
おれは本当にうれしかった。ひとり、ひとり、手をとって礼を言った。みんな、照れくさそうな、でも、気持ちのいい笑顔を浮かべていた。
「お~い、ふっじっおっかく~ん」
妙に間延びした、聞き慣れた声がした。振り向くと倉木をはじめ、河野や古橋、それにクラスの女の子たちが何人がやってくるところだった。
「倉木。それにみんなも。どうしたんだ、こんなところまで?」
「ん~。あたしたちも~、なにかお手伝いしようと思ってえ~」
「手伝ってくれるのか?」
おれは驚いて尋ねた。
倉木は彼女特有のおっとりした笑顔を浮かべて言った。
「だってえ~。藤岡くんてばメイドさんの格好までしてがんばってるんだものお~。友だちとしては放っておけないでしょ~」
「そうそう。ほら、スクール水着もちゃんと用意してきたしね」
「ウエイトレスなら任せてよ。喫茶店でバイトしてたことあるから」
「みんな……」
「おれたちもいるぞ」
そう言ってやってきたのはサッカー部の連中だった。
「ったく、水くさいぜ、藤岡。こんなことやるなら、最初からおれたちに声かけろよな」
「岸本……。いいのか? 勉強だって大変なんだろう?」
「おいおい。お前に心配されるほどおれは頭悪くないぜ。それに、魚を追いまわすのはサッカーの練習にはうってつけだからな。キャプテンとしてはぜひ利用したいわけさ」
「岸本……」
「なにより、『故郷を復興させたい』という思いはみんな、同じだよ」
岸本の言葉にその場に集まった全員が微笑みとともにうなずいていた。
「みんなが手伝いにきてくれた。それがたまらなくうれしかった。おれは思わず泣きそうになった。唇を噛みしめてグッとこらえ……」
「だから、陽芽姉ちゃん、勝手なナレーションはやめろって」
「だが、ぴったりの描写だったろう?」
「……まあな」
このときばかりは素直に認めた。
「さて。それで何からすればいいんだ? なんでも言ってくれ。なんでもやるぜ」
「よろしい。では、部長の私の指示に従ってもらうぞ。我がSEED部の臨時部員たちよ。みんなで協力して世界一の祭りを手作りしようではないかっ!」
「おおっ!」
と、その場にいる全員が腕を突きあげて叫んだ。
「このたらいの数では足りないのではないか?」
「けど、おれたちだけじゃこれ以上、世話できないよ」
「生き物セットももう少しほしいところだけど……」
「こっちだって手いっぱいよ。とてもこれ以上のペースにはできないわ」
「やはり、人手が少なすぎますな。なんとか補充しないと途中で台無しになりかねませんぞ、お姉さま」
「その通りだな、少年。しかし、ふやすあてもないし……」
「けど、このままじゃとても準備は間に合わない。何とかしないと何もかも台無しになっちまう……」
おれの言葉に――。
いつも無駄に元気な陽芽姉ちゃんやクールな雪森でさえ言葉を失い、うつむいてしまった。鈴沢も、金子も。みんなわかっているのだ。このままでは失敗すると言うことが。何とかしないと。でも、どうやって?
おれがそう思い、唇を噛んだそのときだ。何人かの足音がした。何気なくその方向を見て、おれは驚いた。そこには中学時代のおれの友だち、この近所の農家の息子たちが照れくさそうな顔をしながら立っていた。
「よう、耕一」
と、いかにも『照れてます』的な仕草で鼻の頭などをかきながら挨拶してくる。
「お前たち。なんでここに?」
「いや、テレビで見てさ。お前ががんばってるの見たら放ってもおけなくなって……」
「だからって農家を継ぐ気になったわけじゃないけどな。けど、おれたちだって田んぼで育ったんだ。愛着がないわけじゃない」
「だからまあ、少しぐらいは手伝わせてもらいたいと思ってさ。どうだ、耕一? おれたちも参加させてくれるか?」
「もちろんさ。ありがとう、歓迎するよ」
おれは本当にうれしかった。ひとり、ひとり、手をとって礼を言った。みんな、照れくさそうな、でも、気持ちのいい笑顔を浮かべていた。
「お~い、ふっじっおっかく~ん」
妙に間延びした、聞き慣れた声がした。振り向くと倉木をはじめ、河野や古橋、それにクラスの女の子たちが何人がやってくるところだった。
「倉木。それにみんなも。どうしたんだ、こんなところまで?」
「ん~。あたしたちも~、なにかお手伝いしようと思ってえ~」
「手伝ってくれるのか?」
おれは驚いて尋ねた。
倉木は彼女特有のおっとりした笑顔を浮かべて言った。
「だってえ~。藤岡くんてばメイドさんの格好までしてがんばってるんだものお~。友だちとしては放っておけないでしょ~」
「そうそう。ほら、スクール水着もちゃんと用意してきたしね」
「ウエイトレスなら任せてよ。喫茶店でバイトしてたことあるから」
「みんな……」
「おれたちもいるぞ」
そう言ってやってきたのはサッカー部の連中だった。
「ったく、水くさいぜ、藤岡。こんなことやるなら、最初からおれたちに声かけろよな」
「岸本……。いいのか? 勉強だって大変なんだろう?」
「おいおい。お前に心配されるほどおれは頭悪くないぜ。それに、魚を追いまわすのはサッカーの練習にはうってつけだからな。キャプテンとしてはぜひ利用したいわけさ」
「岸本……」
「なにより、『故郷を復興させたい』という思いはみんな、同じだよ」
岸本の言葉にその場に集まった全員が微笑みとともにうなずいていた。
「みんなが手伝いにきてくれた。それがたまらなくうれしかった。おれは思わず泣きそうになった。唇を噛みしめてグッとこらえ……」
「だから、陽芽姉ちゃん、勝手なナレーションはやめろって」
「だが、ぴったりの描写だったろう?」
「……まあな」
このときばかりは素直に認めた。
「さて。それで何からすればいいんだ? なんでも言ってくれ。なんでもやるぜ」
「よろしい。では、部長の私の指示に従ってもらうぞ。我がSEED部の臨時部員たちよ。みんなで協力して世界一の祭りを手作りしようではないかっ!」
「おおっ!」
と、その場にいる全員が腕を突きあげて叫んだ。
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