壊れたオルゴール ~三つの伝説~

藍条森也

文字の大きさ
195 / 411
第二部 絆ぐ伝説

第七話最終章 おれたちの時代だ!

しおりを挟む
 戦いは終わった。
 建国以来、闇の領域に潜み、ローラシアを影から支配してきた〝賢者〟たちは滅びた。
 その〝賢者〟たちが作りあげた一〇万を超える化け物たちも、ことごとく討ち果たされた。
 もう、ローラシアを脅かすものはいない。
 脅威から解放されたのだ。
 人々はそのことを喜び、宴を開き、騒ぎ立てた。とは言え――。
 『いそがしさ』という点では、戦いが終わってからが本番だった。
 とにかく、やるべきこと、やらなければならないことが山積だったのだ。
 まずは、一〇万に及ぶ化け物たちの死体の処理をしなくてはならなかった。まさか、これほどの数の死体を放置しておくには行かないし、ビーブの集めた肉食獣たちも、自然の摂理せつりに反したこの化け物たちの肉を食うことは、断固として拒否した。と言って、単純に穴を掘って埋める……というわけにもいかない。
 「どんな術を使って作り出されたかわからない化け物たちよ。土に埋めたりしたら、その身から出た毒素によって大地が汚染されかねないわ」
 現代の天命てんめい博士はくしたるメリッサがそう警告したからだ。
 そこで、メリッサの提言に従い、化け物たちの死体は灰になるまで丹念に焼き払い、残った灰は海に流すことにした。これだけの数の化け物の死骸を人の手でいちいち浄化することはできない。火で焼き、海に流すことで、自然の浄化力に委ねるしかなかったのだ。
 これだけでも何十日という時間のかかる大作業だった。一〇万の死体を焼き払うための膨大な量の燃料を集め、毎日まいにち死体を焼き払う。焼却場所とされた平原からは毎日、濛々もうもうたる煙が立ちのぼり、空を覆い隠すほど。灰を流された海は灰色に濁り、水の流れも滞ってしまうのではないかと思うほどにドロドロになった。
 そして、匂い。化け物を焼くときの匂いは、これがまたすさまじいものだった。そのあまりの悪臭にあたりの人々は鼻をつまんで逃げ出したほどである。焼却の担当となった人々はその匂いに対抗するために鼻のまわりに何重もの布を巻きつけなくてはならなかった。
 その作業の間、ホクホク顔で喜んでいたのは、燃料を運ぶ仕事で特別手当を奮発されることになったブージぐらいのものだった。
 それから、戦いで死んだ兵士たちの名簿を作り、葬儀をあげ、埋葬する。家族に連絡し、遺髪を届け、一人ひとりの名前を刻んだ慰霊いれい建立こんりゅうする。慰霊のための祭儀を執り行えるよう教会を建てる計画を作りあげる。
 〝賢者〟たちの引き起こした殺戮さつりくの犠牲者たちを調べあげ、やはり、名簿を作って葬儀を執り行い、瓦礫がれきの山となった町の再建計画を立てる。
 避難していた人々に事態の終結を知らせ、帰還を促す。生活基盤を破壊された人々が再建に取り組めるよう一時金も支給しなくてはならないし、犠牲となった人々の親類縁者を探し出して報告もしなくてはならない。
 それに、山ほどの負傷者の治療、〝賢者〟たちが支配していた時期に起きたいくつもの凄惨な事件の捜査、混乱に乗じた犯罪の防止……。
 やるべきこと、やらなければいけないことはいくらでもあったのだ。
 再建するにしてもローラシアの統治機構はすでに壊滅してしまっているので、ゴンドワナ商王しょうおうこくやレムリア伯爵領から官吏を派遣してもらわなくてはならなかった。ドク・フィドロは膨大な負傷者たちを前に配下の医師団を率いて奮闘ふんとうを重ね、寝る間もないいそがしさ。
 「ろくに食事をする暇もないからのう。メスなんぞ握っているとついつい、目の前の患者をばかでかいステーキに見えてくるわい」
 と、笑えない冗談を飛ばすほど。
 〝ブレスト〟、プリンス、ボーラ、ヴァレリと言った軍指揮官たちは秩序を回復し、治安を守るために兵たちを指揮してやはり、不眠不休の活動をつづけていた。
 従軍記者のハーミドもまた、一連の出来事を記事としてまとめて人々に知らせるべく、休む間もなく現場を走りまわり、取材に当たっていた。
 そのハーミドの活動によって自由の国リバタリア兵士によるいくつかの略奪、暴行が発覚した。ロウワンは前もってハーミドに言っていたように、それらの兵士たちを草の根分けても探し出し、自らの手で首をねた。残酷なようでも、そうしなくては自由の国リバタリアが信頼を得ることはできない。
 そして、そのロウワンは自由の国リバタリアの主催として誰よりも激しい職務に追われていた。
 次からつぎへと舞い込む報告と書類。各地からあがってくる報告を聞かされすぎて、耳にできたタコがタコ踊りをはじめるほどだったし、無限とも思える書類を決裁し、署名することをつづけたせいで目はショボショボ、背筋はガチガチ、ペンを握る右手はブルブルと震え、食事用のナイフもろくにもてなくなるありさま。職務に忙殺ぼうさつされる日々がつづくなかで、一気に一〇〇歳も歳をとってしまったかのような肉体の不自由を感じる羽目になったほどだった。
 そのなかでただ三人、それらのいそがしさはどこ吹く風と昼間から風呂に入り、酒を飲み、のんべんだらりと過ごしているものたちがいた。
 ビーブ、野伏のぶせ行者ぎょうじゃである。
 この三人の職務はあくまでも戦場におけるものなので、戦いが終わってしまえばやることがないのである。
 と言うわけで、この三人は今日も今日とて昼間から温泉につかり、持ち込んだ酒を酌み交わしながら呑気に呟いている。
 「いやあ、みんな、いそがしくて大変だねえ。その分、僕たちがゆっくり休んであげよう」
 実際に現場で生き地獄のような激しい職務に追われている人間たちが聞けば、殴り殺したくなるようなことを平然たる笑顔で言って、心地良さげに息をつく行者ぎょうじゃであった。
 「まったくだ。人が汗水流して働いているのを眺めながら温泉につかり、酒を飲む。人生の幸福、これに尽きる」
 「キイ、キキキ、キイ」
 ――そろそろ、子どもが生まれる頃なんだよなあ。名前、考えておかないとなあ。
 三者三様のあまりにも呑気な振る舞いに――。
 ロウワンがキレた。
 「そんな呑気なことを言ってる暇があるなら少しは手伝ってくれ!」
 しかし、行者ぎょうじゃはキザったらしく指など振って答えて見せた。
 「他人の職域は侵さない。それが、粋なおとなの礼儀だよ」
 「おれはしょせん、突撃隊の隊長に過ぎないからな。戦後の事務処理やらなにやらは提督たる〝ブレスト〟やプリンスの仕事だ。おれは関係ない」
 ――いそがしいときに借りるのはネコの手だろ。サルの手を借りようとするなよ。
 と、てんで『自分も働こう』などという殊勝しゅしょうな態度は示さない三人だった。
 その態度にロウワンはさすがに歯がみしたが、
 「そいつらに期待しても無駄よ、ロウワン! それより、早く戻って。あなたが処理するよりも三倍は速く、新しい書類が来てるんだから! サボっていたら書類の山に埋もれることになるわよ!」
 「わ、わかったよ、メリッサ師」
 なし崩し的にロウワンの秘書役をこなしているメリッサに呼ばれ、ロウワンは職務室に駆け戻っていった。
 そのロウワンの姿を見送りながら、三人は異口同音に言った。
 「せっかくの親密度を増すための時間だ。邪魔するのは粋ではないからね」

 さしもの無限につづくかと思われた職務も、担当した人々の必死の努力によって、ようやく一段落ついた。そんななか、〝ブレスト〟のもとで様々な雑務に奔走ほんそうしていたセシリアがロウワンを尋ねてきた。ロウワンがビーブ、野伏のぶせ行者ぎょうじゃの三人を前になにひとつ仕事を手伝ってくれなかったことを延々と愚痴っていたときのことである。
 「セシル? 君はセシルなのか?」
 ロウワンは訪れたセシリアを見て、驚きに目を丸くした。一瞬、誰かわからなかった。セシリアが貴族の令嬢らしく、派手ではないがさりげない高級感のある――行者ぎょうじゃならば『粋だね』と言いそうな――女性用のドレスを着ていたからである。
 驚くロウワンに向かい、セシリアは生真面目に答えた。
 「ロウワンさま。そして、皆さま。いままで隠していて申し訳ありませんでした。これが、わたしの本来の姿。わたしの本当の名はセシリア。ローラシア伯爵の娘、セシリアです」
 「なんだって⁉ 君は女の子だったのか」
 「はい。年端もいかない娘と知られれば危険にさらされる。そのことを思い知らされたために男の振りをしていました。ですが、もうその必要もありません。これからは、本来の姿であるローラシア貴族の娘として、ルドヴィクス兄さま、アルバート兄さまの妹として、ライン公国の再建に取り組む所存。ですから、皆さまをだましていたお詫びも兼ねて、ご挨拶に参りました」
 セシリアはそう言って優雅なカーテシーを披露して見せた。
 荒っぽく切られた短い髪。
 南国の日差しと潮風に鍛えられ、赤く染まった肌。
 数々の手仕事によってすっかり荒れ果て、ゴツゴツになった手と指。
 いずれも、かつての蝶よ、花よと育てられた貴族令嬢であった頃のセシリアからは考えられない姿。それでも――。
 そうして、挨拶をするセシリアの姿はやはり、誇り高き貴族令嬢のものだった。
 「そ、そうだったのか……」
 と、ロウワンは本気で衝撃を受けている。
 ふたりとも大真面目なので、まわりのおとなたちとしてはどうにも反応に困ってしまう。結局、そのことを口にしたのは同性であるメリッサだった。
 「あの……セシリア。気分、出しているところを悪いんだけど、あなたを男と思っていたのはロウワンだけだから」
 一瞬――。
 ロウワンとセシリアはともにキョトンとした表情になった。それから、なんとも間の抜けた声をあげた。
 「えっ?」
 「はっ?」
 「だからね。あなたが女の子であることはみんな、最初からわかっていたの。ロウワン以外はね」
 「そうなのか⁉」
 「そ、そうだったんですか……⁉」
 ロウワンとセシリアが同時に叫んだ。
 行者ぎょうじゃが苦笑しながら付け加えた。
 「セシリア。君は男として振る舞っているつもりだったんだろうけどね。立ち居振る舞いはどこからどう見ても貴族の令嬢のままだったよ。あれでだませるのは、よほどの朴念仁ぼくねんじんだけだよ」
 「そ、そうだったんですか……⁉ でも、誰もそんなこと……」
 「本人が男の振りをしているなら、あえてだまされてやる。それが、海賊たちの流儀というものだ」
 「おれは気付かなかったぞ!」
 ロウワンが叫ぶと、ビーブが言った。
 ――お前が『よほどの朴念仁ぼくねんじん』だってことを知らないのも、お前だけだよ。
 きょうだい分のその言葉に――。
 呆然ぼうぜんとして我を忘れるロウワンだった。
 「と、とにかく。これでもう、似合いもしない男装なんてしなくてすむんだし、よかったわね、セシリア」
 同性のよしみだろう。メリッサがセシリアを慰めるつもりでとどめをさした。
 メリッサの言葉にセシリアは真っ赤になって身をちぢこませた。決死の覚悟で告白しにきたというのにすべてバレバレだったなんて……バツが悪くて仕方がない。
 「と、とにかく……!」
 気を取り直したようにロウワンが叫んだ。
 「いったん、タラの島に戻ろう。これからのことを決めるんだ!」

 同じ頃――。
 ローラシアの一角において、もうひとつの物語がはじまっていた。
 プリンス。自由の国リバタリアの指揮官たる若者はいま、貴族の御曹司の前に仁王立ちになっていた。その目は怒りと憎悪にたぎっており、怯えた表情を浮かべてうろたえるばかりの貴族の御曹司といちじるしい対照を成していた。
 「……ようやく、見つけた」
 そう呟くなかにどれほどの思いが込められているか、余人にわかるはずもない。
 「な、なんだ、なにを言っている? お前は誰だ、私になんの用だ?」
 「これを見ればわかるか?」
 プリンスはそう言って服を脱ぎ、背中を見せつけた。無数の傷跡が走るたくましい背中を。
 「そ、その傷……まさか、お前は……」
 「そうだ。おれはプリンス。子どもの頃、散々お前にむち打たれた奴隷の子だ」
 「その、その奴隷がいまさらなんの用だ⁉」
 「お前を捕えに来た」
 「なに⁉」
 「お前だけではない。奴隷を使ってきたローラシア貴族すべてを捕える。そして、おれの国において刑罰を与える」
 「お、お前の国……? 刑罰だと?」
 「そうだ。おれの国だ。おれは自分の国を作る。そして、王となる。奴隷など存在しない国をだ。お前たちはその国で自分たちのしてきたことの意味を思い知ることになる。自分が奴隷として使ってきた人間のもとで、奴隷として使ってきたのと同じ期間、奴隷として使われることになる。むち打たれ、命令され、服従を強制され、朝から晩まで一時いっときも休む間もなく主人のために働かされる。そんな生活を送ることになる。自分たちのしてきたことの意味を思い知るために」
 「ば、馬鹿な……! 奴隷風情がなにを言うか⁉ 私は栄えあるローラシア貴族だ! 貴族に対して、そんな扱いは許されんぞ!」
 「かつての世界ならその通りだな」
 プリンスは無慈悲なほどにはっきりと、そう告げた。
 「かつての、秩序が固定され、揺らぐことのなかった平和な時代ならばその通りだ。だが、そんな時代は永遠に去った。これからは秩序が固定されず、かわりつづける世界となる。おれたちがそんな世界を作る。奴隷が王となり、貴族が奴隷となる。そんな世界をだ。お前たちの時代はすでに終わった。これからは――」
 プリンスは大きく息を吸い込むと、ひとつの事実を宣言した。
 「おれたちの時代だ」

第二部第七話完
 第二部第八話につづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。 選んだ職業は“料理人”。 だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。 地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。 勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。 熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。 絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す! そこから始まる、料理人の大逆転。 ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。 リアルでは無職、ゲームでは負け組。 そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

処理中です...