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三章 その名は杜ノ王
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不思議な風だった。
嵐のように激しい風なのに相手を吹き飛ばすのではなく吸いつける。なにもかもを呑み込もうとする。それでいてなぜか心地よく、気持ちのいい風だった。
その風に吸い込まれるように鬼たちは次々と呑み込まれていった。これも不思議なことにその風は鬼たちだけを吸い込んでいた。いのりやしらべ、やくもにはなんの影響もなかった。
しばらくの間、風が吹きあれた。あれほどいた鬼の群れは一匹残らず消え果てていた。すべて風の源に呑み込まれたのだ。
風の源。
そこにはひとりの男が立っていた。年の頃は二〇ぐらい。細身だが太刀のような強靱さを感じさせる長身。堂々たる美丈夫だった。
その左腕は鬼の姿をしていた。
ただの鬼ではない。鬼を食らう鬼、羅刹の姿だった。
あっけにとられているいのりの前で男の左腕が徐々に姿をかえ、人間の左腕へと戻っていく。完全に変化し終えると男は左腕の調子をたしかめるように肘を曲げ、手を二、三度、握ったり、開いたりした。
それから、いのりたちを見た。なにもかもを見通すような、そんな目をしていた。
いのりは思わず目を合わせた。クラリ、と、頭が揺れた。めまいがしたのだ。倒れかけ、あわてて足を踏ん張って体勢を立て直す。男と目を合わせた瞬間、その目のなかに吸い込まれそうな気がしたのだ。男の目はそれほどに奥深いものだった。
「斬鬼士、か」
男はしずかに言った。
「鬼を斬り、祓うことを生業とする専門家が鬼の群れに食いつくされようとするとはな。ずいぶんと間の抜けたことだ」
「なんだと⁉」
男の言い草にいのりはたちまち頭に血がのぼる。鬼斬りの太刀を眼前に構え、男に突きつけた。
「お前こそ何者だ⁉ その腕……人間ではないだろう。まさか……お前もひびきに関わりのあるものか?」
「ひびき?」
男はしずかに問い直した。
「まあ、関わりがあると言えばあるんだが……」
「やはり、きさまもひびきの配下か⁉」
いのりはますます気色ばむ。いまにも襲いかからんばかりの勢いだ。
男は肩をすくめて見せた。むしろ、傷ついたような表情になった。
「おいおい、よしてくれ。なんで、おれがひびきの配下にならなきゃいけない? おれはそんな小物ではないぞ」
「なら、何者だ⁉」
「お前たちこそ何者だ? どうも、お前たちからはひびきと同じ匂いがするんだが……」
「なに⁉」
いのりは眉をつりあげた。男の言葉に不自然なほど過敏に反応していた。
「あたしたちのことはいい! それよりお前だ、お前は何者なんだ⁉ 答えろ、答えないとあれば……」
いのりは太刀を握る両手に力を込めた。渾身の力を込めてにらみつけ、一歩を踏み出す。いつでも男に向かって斬りかかれるように。
「……力ずくでも」
いのりがつぶやいたそのときだ。いのりの視界を小さな影がさえぎった。
しらべだった。
しらべが激昂する姉と男の間に立った。男から姉をかばうようでもあり、姉から男をかばうようでもあった。
いきなりのことにいのりはとまどった。
しらべは姉を無視して男に言った。
「ありがとう」
「しらべ⁉」
思いがけない言葉にいのりは叫ぶ。しらべははじめて姉に向き直った。相変わらず眉ひとつ動かすことのない無表情のまま淡々と告げる。
「あの人はわたしたちを助けてくれた。まず、そのことに礼を言うべき」
「うっ……」
あまりに正しい意見なので反論のしようもない。いのりは顔を赤らめ、太刀を収め、居住まいを正した。
「……妹の言うとおりだ。あたしはいのり、こっちは妹のしらべ。それに、麒麟のやくも。あたしとは小さい頃からきょうだい同然に育った大切な相棒だ。助けてくれたことには礼を言う。このとおりだ」
言いながら、礼儀正しく頭をさげる。
「だがっ! お前が何者かは、まだ聞いていないぞ! 返答しだいではたたき斬る!」
叫びとともに再び太刀を抜き、眼前に構える。しらべの前に出た。今度はいのりがしらべを背中にかばう格好になった。
ところが、妹のほうはかばわれている気などなかった。無言のまま前に進み出て再び姉と男の間に立った。
「しらべ⁉」
「いのりは黙っていて。あなたが口を開くとすぐに喧嘩になる」
「うっ……」
いままでにも何度となくそういうことがあったのでなにも言えない。しぶしぶ引きさがる。
「姉が失礼する。この人はどうも単純すぎて」
「たしかに。いかにも単細胞という顔をしているな」
「なんだと⁉」
いのりは怒鳴ったが、しらべも、男も、あっさり無視した。
「あなたは人を見る目がある」
「君は礼儀を知っているようだな。おまけに理知的で冷静だ。本当に姉妹か?」
「わたしもときどき疑う」
「しらべ⁉」
容赦なく言われて、いのりはいかにも『傷ついた』という表情になる。
「でも、この人はたしかに、わたしの姉」
その言葉にいのりの表情がたちまち明るくなる。
「なるほど。では、尋ねるがお前たちはひびきとどんな関わりがある?」
「いま、そこまで、あなたに話す必要はないはず」
「もっともだ」
しらべの言葉に男はうなずいた。
いのりひとりが『わけがわからない』という表情をしている。
いのりたちがひびきとどんな関わりがあるのか。それはあくまでいのりたちの私事だ。それを尋ねるからにはまず自分からひびきとの関わりを話すべき。それを聞いた上で必要と思えばすべて話す。
しらべは言外にそう言ったのだ。
男はその意を汲んで『もっともだ』とうなずいた。
言葉によらない会話だ。いのりひとりがそれを汲みとれずにとまどっている。
「頭がいい同士だと言葉が短くてすむな」
「同感」
ふたりがなにを言っているのか、いのりにはやっぱりわからない。
「さて」
と、男は言った。自分のことを話す気になったのだ。
「おれの名は杜ノ王」
その名前にいのりの眉がビクンとはねあがった。
「ひびきを追っている」
「なぜ?」
「ひびきはおれの杜を狙っている」
「もり?」
「都のことだ」
「都……?」
しらべはいぶかしむような声をあげた。この時代、『都』と呼べるほど大きな人の集まりはまずない。どんなに大きくてもせいぜい数百人。ほとんどは数十人程度の村に過ぎない。この乾ききった石の大地では、それ以上の人の集まりを養うことはできないのだ。
少なくとも常識ではそうだ。もし、杜ノ王の言うとおり『都』と呼べるほど大きな人の集まりがあるなら、そこは、この時代の常識を超えた土地、ということになる。
「それでおれはひびきを追っている。匂いを感じてやってきたらお前たちがいた。そういうことだ」
――つまり、自分の里を守るためにひびきを退治しようとしているわけか。
いのりはそう理解した。だとすれば目的は同じなわけだ。しかし――。
――信じていいのか?
そう思う。
たしかに、『都』と呼べるほど大きな人の集まりがあるならひびきがそこを狙うのは当然と言えた。そこに理由などない。ひびき自身が言ったように『人を殺すからこそ鬼』なのだから。
しかし、なんといっても初対面の相手だ。おまけに、この男自身が鬼だ。他の鬼を食らう羅刹だ。その男の住む都となればそこの住人だってどんなものか。
人間ではないかも知れない。
人間でないならひびきが手を出すことはないはずだ。この男の言うことを信じていいものか。
とはいえ、初対面である以上、自分たちをだます理由もないはずだ。唯一、考えられるとすれば、この男がやはり、ひびきの配下である場合だ。ひびきがまたなにかをたくらみ、罠にかけるべく送り込んだのかも知れない。
しかし、この男は強い。無数の鬼を一呑みにするほどの力。常識離れした能力。それほどの能力の持ち主がひびきに従うとも思えない。
ひびきはたしかに強力な鬼だ。しかし、そこまで強くはない。この男の能力ならひびきといえどひとたまりもなく呑まれるだろう。とすれば、やはり、この男は本当のことを言っているのか?
わからない。
結論が出ない。
考えすぎて頭がかゆくなる。
だいたい、こういう頭脳労働はしらべの担当なのだ。いのりの担当ではない。
そのしらべが男に言った。
「わたしたちもひびきを追っている」
「なぜ?」
「ひびきはわたしたちの里を滅ぼした」
しらべはためらいなく言った。しらべがそこまで言うということはこの男を信用したということだろう。少なくとも『ひびきを追っている』という言葉にうそはない、と、そう判断したということだ。
それと聞いていのりの腹も決まった。この男はともかく、しらべは信用している。そのしらべが男の言葉を信じるというなら自分も信じる。あくまで『しらべの言っていることを信じる』ということで男自身を信じるわけではないが。
「そうか」
と、男。杜ノ王は言った。
「しかし、妙だな」
「なにが?」
「お前たちの匂いはひびきに似すぎている。その程度の関わりで、そこまで匂いが染みつくとも思えないが……」
「どうでもいいだろう、そんなことは!」
いのりがあわてて叫んだ。
「それより、お前、自分の里がひびきに狙われていると言うならこんなところで話をしている場合か⁉ やつはこれまでにもいくつもの村や町を滅ぼしている。グズグズしていたらお前の杜とやらもやられるぞ!」
「もっともだ」
杜ノ王は拍子抜けするほど素直にうなずいた。
「たしかにあまり長く杜からはなれているわけにはいかないな。では、おれはこれで失礼する。興味があれば杜によってくれ。歓迎する」
杜ノ王はそう言うとふわりと浮きあがった。そのまま宙を飛び、空のかなたへと消えていった。
嵐のように激しい風なのに相手を吹き飛ばすのではなく吸いつける。なにもかもを呑み込もうとする。それでいてなぜか心地よく、気持ちのいい風だった。
その風に吸い込まれるように鬼たちは次々と呑み込まれていった。これも不思議なことにその風は鬼たちだけを吸い込んでいた。いのりやしらべ、やくもにはなんの影響もなかった。
しばらくの間、風が吹きあれた。あれほどいた鬼の群れは一匹残らず消え果てていた。すべて風の源に呑み込まれたのだ。
風の源。
そこにはひとりの男が立っていた。年の頃は二〇ぐらい。細身だが太刀のような強靱さを感じさせる長身。堂々たる美丈夫だった。
その左腕は鬼の姿をしていた。
ただの鬼ではない。鬼を食らう鬼、羅刹の姿だった。
あっけにとられているいのりの前で男の左腕が徐々に姿をかえ、人間の左腕へと戻っていく。完全に変化し終えると男は左腕の調子をたしかめるように肘を曲げ、手を二、三度、握ったり、開いたりした。
それから、いのりたちを見た。なにもかもを見通すような、そんな目をしていた。
いのりは思わず目を合わせた。クラリ、と、頭が揺れた。めまいがしたのだ。倒れかけ、あわてて足を踏ん張って体勢を立て直す。男と目を合わせた瞬間、その目のなかに吸い込まれそうな気がしたのだ。男の目はそれほどに奥深いものだった。
「斬鬼士、か」
男はしずかに言った。
「鬼を斬り、祓うことを生業とする専門家が鬼の群れに食いつくされようとするとはな。ずいぶんと間の抜けたことだ」
「なんだと⁉」
男の言い草にいのりはたちまち頭に血がのぼる。鬼斬りの太刀を眼前に構え、男に突きつけた。
「お前こそ何者だ⁉ その腕……人間ではないだろう。まさか……お前もひびきに関わりのあるものか?」
「ひびき?」
男はしずかに問い直した。
「まあ、関わりがあると言えばあるんだが……」
「やはり、きさまもひびきの配下か⁉」
いのりはますます気色ばむ。いまにも襲いかからんばかりの勢いだ。
男は肩をすくめて見せた。むしろ、傷ついたような表情になった。
「おいおい、よしてくれ。なんで、おれがひびきの配下にならなきゃいけない? おれはそんな小物ではないぞ」
「なら、何者だ⁉」
「お前たちこそ何者だ? どうも、お前たちからはひびきと同じ匂いがするんだが……」
「なに⁉」
いのりは眉をつりあげた。男の言葉に不自然なほど過敏に反応していた。
「あたしたちのことはいい! それよりお前だ、お前は何者なんだ⁉ 答えろ、答えないとあれば……」
いのりは太刀を握る両手に力を込めた。渾身の力を込めてにらみつけ、一歩を踏み出す。いつでも男に向かって斬りかかれるように。
「……力ずくでも」
いのりがつぶやいたそのときだ。いのりの視界を小さな影がさえぎった。
しらべだった。
しらべが激昂する姉と男の間に立った。男から姉をかばうようでもあり、姉から男をかばうようでもあった。
いきなりのことにいのりはとまどった。
しらべは姉を無視して男に言った。
「ありがとう」
「しらべ⁉」
思いがけない言葉にいのりは叫ぶ。しらべははじめて姉に向き直った。相変わらず眉ひとつ動かすことのない無表情のまま淡々と告げる。
「あの人はわたしたちを助けてくれた。まず、そのことに礼を言うべき」
「うっ……」
あまりに正しい意見なので反論のしようもない。いのりは顔を赤らめ、太刀を収め、居住まいを正した。
「……妹の言うとおりだ。あたしはいのり、こっちは妹のしらべ。それに、麒麟のやくも。あたしとは小さい頃からきょうだい同然に育った大切な相棒だ。助けてくれたことには礼を言う。このとおりだ」
言いながら、礼儀正しく頭をさげる。
「だがっ! お前が何者かは、まだ聞いていないぞ! 返答しだいではたたき斬る!」
叫びとともに再び太刀を抜き、眼前に構える。しらべの前に出た。今度はいのりがしらべを背中にかばう格好になった。
ところが、妹のほうはかばわれている気などなかった。無言のまま前に進み出て再び姉と男の間に立った。
「しらべ⁉」
「いのりは黙っていて。あなたが口を開くとすぐに喧嘩になる」
「うっ……」
いままでにも何度となくそういうことがあったのでなにも言えない。しぶしぶ引きさがる。
「姉が失礼する。この人はどうも単純すぎて」
「たしかに。いかにも単細胞という顔をしているな」
「なんだと⁉」
いのりは怒鳴ったが、しらべも、男も、あっさり無視した。
「あなたは人を見る目がある」
「君は礼儀を知っているようだな。おまけに理知的で冷静だ。本当に姉妹か?」
「わたしもときどき疑う」
「しらべ⁉」
容赦なく言われて、いのりはいかにも『傷ついた』という表情になる。
「でも、この人はたしかに、わたしの姉」
その言葉にいのりの表情がたちまち明るくなる。
「なるほど。では、尋ねるがお前たちはひびきとどんな関わりがある?」
「いま、そこまで、あなたに話す必要はないはず」
「もっともだ」
しらべの言葉に男はうなずいた。
いのりひとりが『わけがわからない』という表情をしている。
いのりたちがひびきとどんな関わりがあるのか。それはあくまでいのりたちの私事だ。それを尋ねるからにはまず自分からひびきとの関わりを話すべき。それを聞いた上で必要と思えばすべて話す。
しらべは言外にそう言ったのだ。
男はその意を汲んで『もっともだ』とうなずいた。
言葉によらない会話だ。いのりひとりがそれを汲みとれずにとまどっている。
「頭がいい同士だと言葉が短くてすむな」
「同感」
ふたりがなにを言っているのか、いのりにはやっぱりわからない。
「さて」
と、男は言った。自分のことを話す気になったのだ。
「おれの名は杜ノ王」
その名前にいのりの眉がビクンとはねあがった。
「ひびきを追っている」
「なぜ?」
「ひびきはおれの杜を狙っている」
「もり?」
「都のことだ」
「都……?」
しらべはいぶかしむような声をあげた。この時代、『都』と呼べるほど大きな人の集まりはまずない。どんなに大きくてもせいぜい数百人。ほとんどは数十人程度の村に過ぎない。この乾ききった石の大地では、それ以上の人の集まりを養うことはできないのだ。
少なくとも常識ではそうだ。もし、杜ノ王の言うとおり『都』と呼べるほど大きな人の集まりがあるなら、そこは、この時代の常識を超えた土地、ということになる。
「それでおれはひびきを追っている。匂いを感じてやってきたらお前たちがいた。そういうことだ」
――つまり、自分の里を守るためにひびきを退治しようとしているわけか。
いのりはそう理解した。だとすれば目的は同じなわけだ。しかし――。
――信じていいのか?
そう思う。
たしかに、『都』と呼べるほど大きな人の集まりがあるならひびきがそこを狙うのは当然と言えた。そこに理由などない。ひびき自身が言ったように『人を殺すからこそ鬼』なのだから。
しかし、なんといっても初対面の相手だ。おまけに、この男自身が鬼だ。他の鬼を食らう羅刹だ。その男の住む都となればそこの住人だってどんなものか。
人間ではないかも知れない。
人間でないならひびきが手を出すことはないはずだ。この男の言うことを信じていいものか。
とはいえ、初対面である以上、自分たちをだます理由もないはずだ。唯一、考えられるとすれば、この男がやはり、ひびきの配下である場合だ。ひびきがまたなにかをたくらみ、罠にかけるべく送り込んだのかも知れない。
しかし、この男は強い。無数の鬼を一呑みにするほどの力。常識離れした能力。それほどの能力の持ち主がひびきに従うとも思えない。
ひびきはたしかに強力な鬼だ。しかし、そこまで強くはない。この男の能力ならひびきといえどひとたまりもなく呑まれるだろう。とすれば、やはり、この男は本当のことを言っているのか?
わからない。
結論が出ない。
考えすぎて頭がかゆくなる。
だいたい、こういう頭脳労働はしらべの担当なのだ。いのりの担当ではない。
そのしらべが男に言った。
「わたしたちもひびきを追っている」
「なぜ?」
「ひびきはわたしたちの里を滅ぼした」
しらべはためらいなく言った。しらべがそこまで言うということはこの男を信用したということだろう。少なくとも『ひびきを追っている』という言葉にうそはない、と、そう判断したということだ。
それと聞いていのりの腹も決まった。この男はともかく、しらべは信用している。そのしらべが男の言葉を信じるというなら自分も信じる。あくまで『しらべの言っていることを信じる』ということで男自身を信じるわけではないが。
「そうか」
と、男。杜ノ王は言った。
「しかし、妙だな」
「なにが?」
「お前たちの匂いはひびきに似すぎている。その程度の関わりで、そこまで匂いが染みつくとも思えないが……」
「どうでもいいだろう、そんなことは!」
いのりがあわてて叫んだ。
「それより、お前、自分の里がひびきに狙われていると言うならこんなところで話をしている場合か⁉ やつはこれまでにもいくつもの村や町を滅ぼしている。グズグズしていたらお前の杜とやらもやられるぞ!」
「もっともだ」
杜ノ王は拍子抜けするほど素直にうなずいた。
「たしかにあまり長く杜からはなれているわけにはいかないな。では、おれはこれで失礼する。興味があれば杜によってくれ。歓迎する」
杜ノ王はそう言うとふわりと浮きあがった。そのまま宙を飛び、空のかなたへと消えていった。
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