28 / 55
第三章 魔王編
【アルフレッド視点】
しおりを挟む
「何っ!? それは本当か!?」
寮に帰るや否や影から急ぎの報告を受け、愕然とする。
ヘンリーが側にいながら、アイツは何をやっているんだ! くそっ!
恐らくヘンリーは現在、エスタ卿や国王陛下と共にベルの奪還に向けての議論を行なっているはずだ。
アイツは魔王に目の前で喧嘩を売られたのだ。間違いなく奪還のメンバーに加わるだろう。
しかし、ベルの奪還をヘンリーだけに任せておくのは危険だ。魔王から奪還した後、ベルに手出しをされては困るからな。
最近のアイツはベルに近付き過ぎだ。
そのせいで、周囲からは「美男美女カップル」やら「理想のお二人」などと下らない噂まで立ち始めている。
更には、生徒会の役員決めに口出し、事もあろうにベルの副会長役を阻止してきた。
……いや、あれはヘンリーだけではなかったが。
まさか、生徒会メンバー全員がベルを狙っているとは想像していなかっただけに、予想外の展開に頭を悩ませていたところだった。
そんな中、ベルの連れ去り事件が発生した。
はぁ、僕も油断していた。
まさか学園の校門前、それも白昼堂々とベルを連れ去るとは。
学園内はエスタ卿の強力な結界が張られている。
恐らくその結界の外に出たタイミングを見計らい、連れ去ったのだろう。
魔王の余裕のない行動から察するに、魔獣の増殖に魔力が追い付かなくなってきているのだろう。
それに、こちらと交渉をするつもりがないということは、マリア嬢の『浄化』の力が発動されない限り、魔王はベルを手放さないつもりなのだろうな。
エスタ卿やマリア嬢の話から推測するに、マリア嬢はまだ力を使いこなせていないはずだ。
そうすると、残された道は奪還以外にないだろう。
しかし、魔王城は魔の森にあり、魔王は魔獣の統率者だ。
大人数で攻め込めば、たちまち魔獣と国同士の全面対立になるだろう。
そうなると、莫大な金が掛かる上に、貴重な兵力が失われる。
普通の感覚を持つ統率者であれば、そのような事態は避けるだろう。
となれば、恐らく少数の精鋭部隊を組み、魔王城まで隠密に行動し、魔王や魔獣の隙を突いてベルを奪還する作戦を取ると予想される。
……生憎、僕は指を咥えたまま見ているだけなんて真似は出来ない性格でね。
どんな手段を使っても奪還のメンバーに加わることにしよう。
こう見えても僕の魔力は強く攻撃魔法は得意分野である。
剣技は騎士や現役の猛者達にはやや劣るものの、それなりに鍛錬を積んでおり、魔獣との実戦経験もある。
少なくとも足手纏いにはならないだろう。
ベルに手出しをしたヤツには、きっちり制裁を加えねば。
ベル、必ず君を連れて帰る。
そして、ベルに手出しをした魔王には、二度と手出しなど出来ぬよう、地獄を味わって貰おう。
さぁ、まずは義父上の説得だ。
そして、魔王に関する情報を早急に集めよう。
これからやるべき事を整理しながら、自室の扉を開け、義父上の執務室を目指した。
寮に帰るや否や影から急ぎの報告を受け、愕然とする。
ヘンリーが側にいながら、アイツは何をやっているんだ! くそっ!
恐らくヘンリーは現在、エスタ卿や国王陛下と共にベルの奪還に向けての議論を行なっているはずだ。
アイツは魔王に目の前で喧嘩を売られたのだ。間違いなく奪還のメンバーに加わるだろう。
しかし、ベルの奪還をヘンリーだけに任せておくのは危険だ。魔王から奪還した後、ベルに手出しをされては困るからな。
最近のアイツはベルに近付き過ぎだ。
そのせいで、周囲からは「美男美女カップル」やら「理想のお二人」などと下らない噂まで立ち始めている。
更には、生徒会の役員決めに口出し、事もあろうにベルの副会長役を阻止してきた。
……いや、あれはヘンリーだけではなかったが。
まさか、生徒会メンバー全員がベルを狙っているとは想像していなかっただけに、予想外の展開に頭を悩ませていたところだった。
そんな中、ベルの連れ去り事件が発生した。
はぁ、僕も油断していた。
まさか学園の校門前、それも白昼堂々とベルを連れ去るとは。
学園内はエスタ卿の強力な結界が張られている。
恐らくその結界の外に出たタイミングを見計らい、連れ去ったのだろう。
魔王の余裕のない行動から察するに、魔獣の増殖に魔力が追い付かなくなってきているのだろう。
それに、こちらと交渉をするつもりがないということは、マリア嬢の『浄化』の力が発動されない限り、魔王はベルを手放さないつもりなのだろうな。
エスタ卿やマリア嬢の話から推測するに、マリア嬢はまだ力を使いこなせていないはずだ。
そうすると、残された道は奪還以外にないだろう。
しかし、魔王城は魔の森にあり、魔王は魔獣の統率者だ。
大人数で攻め込めば、たちまち魔獣と国同士の全面対立になるだろう。
そうなると、莫大な金が掛かる上に、貴重な兵力が失われる。
普通の感覚を持つ統率者であれば、そのような事態は避けるだろう。
となれば、恐らく少数の精鋭部隊を組み、魔王城まで隠密に行動し、魔王や魔獣の隙を突いてベルを奪還する作戦を取ると予想される。
……生憎、僕は指を咥えたまま見ているだけなんて真似は出来ない性格でね。
どんな手段を使っても奪還のメンバーに加わることにしよう。
こう見えても僕の魔力は強く攻撃魔法は得意分野である。
剣技は騎士や現役の猛者達にはやや劣るものの、それなりに鍛錬を積んでおり、魔獣との実戦経験もある。
少なくとも足手纏いにはならないだろう。
ベルに手出しをしたヤツには、きっちり制裁を加えねば。
ベル、必ず君を連れて帰る。
そして、ベルに手出しをした魔王には、二度と手出しなど出来ぬよう、地獄を味わって貰おう。
さぁ、まずは義父上の説得だ。
そして、魔王に関する情報を早急に集めよう。
これからやるべき事を整理しながら、自室の扉を開け、義父上の執務室を目指した。
103
あなたにおすすめの小説
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。