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第三章 魔王編
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え、まさか、近くに何かいるの?
「ポチ、我の近くに来い」
威嚇をしながらポチがラウルの側へ寄ると、ガサガサと藪が揺れた。
そして、中から鋭い鉤爪のついた熊の様な動物が姿を出した。
これ、きっと魔獣だよね?
「我に何の様だ」
「グルルル……にん、げん……」
「我もイザベルもお前達を束ねる立場。お前はそれを理解した上での行動か」
「にん、げん……くう……!」
えええ、ちょっと待って。
人間食うって、もしかして私を食べる気!?
どうしよう、とアワアワしている私を他所に、ラウルはため息を吐くと私の手を強く握った。
「ダメだ、先程から我の魔力を流しているが統率が出来ん。イザベル、悪いがお前の力を借りるぞ」
「え!? わ、私!?」
いきなり話振られても、私は一体どうしたらいいの!?
ただでさえ目の前に現れた魔獣でパニック状態なのに!
「落ち着け。ただ魔力を出すだけで良い。後は我が何とかする、発動方法は分かるだろう?」
「は、はい!」
「よし、では出してみろ」
えーっと、確か……内にある熱を意識して、身体を巡り、手から出す……!
「えいや!!」
「そうだ、それで良い」
うっ!? 身体の熱が吸い取られる!
急激な脱力感に見舞われながらも必死に魔力を出し続ける。
ラウルは反対の手を前へ翳すと辺りが一瞬黒い光りで覆われた。
わっ! 凄い!!
そうこうしている内に黒い光はパンッと弾け跡形もなく消えていった。
「さぁ、森へ帰れ」
ラウルが再び魔獣へ話しかける。
すると、目の前の魔獣は威嚇を止め、再び森へと帰って行った。
「イザベル、見ていただろう。これがお前が必要な理由だ」
なるほど、魔力の増大とは本当の事だったのね。目の前で見せつけられては、その話が嘘だとはもう言えないわ。
「……はい」
「さ、これでもう周囲の魔獣達は我に近寄らないから安心しろ。ポチ、もう先へ行っても大丈夫だが先に行き過ぎて迷子になるなよ」
「分かった!」
ポチはウォン! と元気良く鳴き、再び森の中へと進んで行った。
「ポチ、我の近くに来い」
威嚇をしながらポチがラウルの側へ寄ると、ガサガサと藪が揺れた。
そして、中から鋭い鉤爪のついた熊の様な動物が姿を出した。
これ、きっと魔獣だよね?
「我に何の様だ」
「グルルル……にん、げん……」
「我もイザベルもお前達を束ねる立場。お前はそれを理解した上での行動か」
「にん、げん……くう……!」
えええ、ちょっと待って。
人間食うって、もしかして私を食べる気!?
どうしよう、とアワアワしている私を他所に、ラウルはため息を吐くと私の手を強く握った。
「ダメだ、先程から我の魔力を流しているが統率が出来ん。イザベル、悪いがお前の力を借りるぞ」
「え!? わ、私!?」
いきなり話振られても、私は一体どうしたらいいの!?
ただでさえ目の前に現れた魔獣でパニック状態なのに!
「落ち着け。ただ魔力を出すだけで良い。後は我が何とかする、発動方法は分かるだろう?」
「は、はい!」
「よし、では出してみろ」
えーっと、確か……内にある熱を意識して、身体を巡り、手から出す……!
「えいや!!」
「そうだ、それで良い」
うっ!? 身体の熱が吸い取られる!
急激な脱力感に見舞われながらも必死に魔力を出し続ける。
ラウルは反対の手を前へ翳すと辺りが一瞬黒い光りで覆われた。
わっ! 凄い!!
そうこうしている内に黒い光はパンッと弾け跡形もなく消えていった。
「さぁ、森へ帰れ」
ラウルが再び魔獣へ話しかける。
すると、目の前の魔獣は威嚇を止め、再び森へと帰って行った。
「イザベル、見ていただろう。これがお前が必要な理由だ」
なるほど、魔力の増大とは本当の事だったのね。目の前で見せつけられては、その話が嘘だとはもう言えないわ。
「……はい」
「さ、これでもう周囲の魔獣達は我に近寄らないから安心しろ。ポチ、もう先へ行っても大丈夫だが先に行き過ぎて迷子になるなよ」
「分かった!」
ポチはウォン! と元気良く鳴き、再び森の中へと進んで行った。
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