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第四章 新世界編
進級しました!2
しおりを挟むクラスメイト達に交じり移動をすると、教師達は先に講堂に来ていたようだ。
あれ、でも教壇前にずらっと並ぶ教師達の中に見慣れない姿が……ってリュカ先生!?
いつも子供の姿をしていたけど、もう結界を維持する必要がないから魔力量の消費とか考えなくて良くなったのかしら。大人の姿をしているからびっくりしちゃった。
そんなことを思いつつ、席につくと生徒全員が集まったようで式典が始まる。
学園長の挨拶と進級祝いの言葉のあとに現れたのは、長身黒髪の美青年、アルフ義兄様の姿が!
「皆さま、進級おめでとうございます」
ほぇ、生徒会長ってこんなこともしているんだ。
教壇に立ち、堂々とした様子で進級生に向けた挨拶を述べるアルフ義兄様。
そういえば、アルフ義兄様やアーサー様はもう学園を卒業するんだっけ。
確かアルフ義兄様の学年はこれから卒業式典があり、そのあと一月ほど休みが入ってから、最終日に卒業パーティーを行って学園を卒業をするらしい。
アルフ義兄様達はもう授業がないので、進級生は今日の式典が終わったあとに教室を移動する。
そして、一月後に行われる卒業パーティーは進級生と卒業生の最後の交流の場として毎年盛大に行われるそうだ。
こうして学園内で交流出来る日もあと僅かなのか。なんだか感慨深いわね。
アルフ義兄様の挨拶が終わると、卒業生と進級生の入れ替えのために私達は講堂を出る。
外には式典を控えた卒業生が集まっており、ざわざわと辺りに生徒達の声が響く。
その中で赤毛の頭がちらりと見えた。
あ、この長身と体格の良さはアーサー様だわ!
暫く会えていなくて様子が気になっていたけど、いつもと変わらず元気な様子で良かったわ。
でも、以前よりもちょっとでかくなった……?
元々スポーツマン体型だったけど、さらに筋肉が増えたような気がする。
「アーサー様!」
挨拶も兼ねて声をかけると、アーサー様も気付いたようでこちらに向かって手を振って駆け寄る。
「イザベル嬢、暫くお会い出来ていなかったから様子が気になっていたんだ」
「アーサー様、ごきげんよう。実は家に戻ってからすぐに体調を崩してしまって。その後私達の学年は休暇に入ってしまったから学園に来るのが久々なのです」
「ああ、なるほど。それでしばらく顔を合わせることがなかったのか。確か一年と二年では休暇に入るタイミングが違うんだったな」
そうなんだよね、ここの学園はなぜか一年と二年の休暇のタイミングがずれている。
たぶん単位が足りない生徒のフォローとか、進級に向けた準備とか、諸々の兼ね合いでずらしているっぽいけども。
「ええ、そのようですわね。アーサー様はこの後から休暇に入るんですよね」
「ああ、そうなんだよ。これから卒業パーティーまでもうは授業がないが、ここは王宮から近いこともあって新人騎士として学園の護衛を任されることになったんだ。だから、休暇中も変わらず学園を出入りする予定だ」
「まぁ、ついに騎士団に入団されたのですね、おめでとうございます!」
私の言葉を聞いたアーサー様は照れ臭そうに「ありがとう」とお礼を言う。
アーサー様って美丈夫だけど体格がいいからちょっと近寄りがたいオーラが出ているけど、こうやって照れた姿を見ると年相応に見える。ふふ、ちょっと可愛いかも。
そんな事を思っていると後ろからトントンと肩を叩かれる。
振り向くとヘンリー殿下が立っていた。
「イザベル嬢、どこに行ったのかと思ったよ」
「すみません、アーサー様をお見掛けしたのでご挨拶をしていたのです」
アーサー様はヘンリー殿下にペコりとお辞儀をする。
「ヘンリー殿下、先日の入団式ではご挨拶いただきありがとうございます」
「はは、騎士団に入ったからってそんなに畏まらないでくれよ」
「だが」
「いいんだよ、アーサー。お前らしく振舞ってくれた方が私も嬉しい。それより入団おめでとう!」
アーサー様は複雑な様子だけど「ありがとう、ヘンリー殿下」といつもの口調でお礼を言う。
そうか、騎士団って国に忠誠を誓い、その秩序を正す目的で作られたものだから、ヘンリー殿下は上司にあたるってことなんだわ。
だから騎士団に入団したアーサー様はこんなに改まった態度を取っていたのか。
「それとアーサー、皆が動き始めているようだがお前は移動しなくても大丈夫なのか?」
「おっと、まずい。そろそろ移動が必要なようだ。ヘンリー殿下、イザベル嬢、またお会いしましょう」
アーサー様は私達に向かって手を振りながら卒業生に交じり移動を始める。
「ヘンリー殿下は入団式に参加されていたのですね」
「ああ、一応王族は全員参加がしきたりで決まっているんだ。毎度のことだから私は式典慣れしているが、アーサーは緊張してガチガチに固まっていて笑いを堪えるのが大変だったよ」
「ふふ、そうだったのですね」
ああ、なんとなくその場を想像できるわ。
「さて、我々も移動が必要なようだ。イザベル嬢、一緒に行こう」
「はい」
ヘンリー殿下と共に、二年生の教室を目指すことにした。
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