子持ち主婦がメイドイビリ好きの悪役令嬢に転生して育児スキルをフル活用したら、乙女ゲームの世界が変わりました

あさひな

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第四章 新世界編

進級しました!3

一年と二年の教室は別棟となっており、廊下で繋がっている造りだ。
名門の学園なだけあって、どちらも内装も外装も豪華である。
目新しさのあまり、きょろきょろしながら歩いていると柱に掲示物があるようで人だかりが出来ていた。

うーん、確認したくてもこの人混みでは何が掲示されているのか分からないわね。

そう思っていると、人だかりの中から紫髪とピンク髪の女性徒がこちらに向かってくるのが見える。

あの姿は、クロエ様にマリア様だ!

「お姉……イザベル様! あら、ヘンリー殿下もご一緒だったのですね。ごきげんよう」
「イサベル様! ヘンリー殿下!」
「お二人ともごきげんよう」
「二人ともおはよう」

二人に会うのも約一月ぶりだけど、お元気そうでよかった!
お二人とも怪我等はなかったようだけど、マリア様なんて特に浄化の魔法を使って世界を変えた張本人だし、あの後の体調面は大丈夫だったのかしら。

「クロエ様、マリア様、お元気そうでなによりですわ。お二人ともあの後は大丈夫でしたか?」

一応私達は留学していたことになっているので、言葉を選びつつ近況を訪ねてみる。
ちなみにヘンリー殿下は私が熱を出した時からお見舞いと称して頻繁にアルノ―家を出入りしていたし、アルフ義兄様は家業の手伝いで家と学園の往復をしていたのでしょっちゅう顔を合わせていたのよね。

「ええ、私は家柄的に他の令嬢達よりは体力がある方なので寝たら大丈夫でした」
「私は実は戻ってから数日は体がだるかったのですが、翌週にはいつも通りでした!」

案の定マリア様は身体に負荷がかかっていたようで、私と同じく回復に数日かかったようだ。
本当は休暇中の近況など聞きたいところだけど、ここは人の目もあるので他の人がいないところでゆっくり会話しようかしら。
二人とも事情を既に聞いているようで、それ以上の深い話は聞いてこない。

「ヘンリー殿下もお元気そうですわね」
「ありがとう。まぁ、我々男衆は普段から鍛えているし、怪我や病気がなければ食事と睡眠で大体は回復するよ。それより二人とも元気そうでなによりだ」

何気ない会話だけど、皆と学園で会えたことで日常に戻れたことを改めて実感する。

「それより一つ聞きたいのだが、あそこにある掲示物は何だろうか」

ヘンリー殿下はあまり深い話にならないよう、それとなく別の話題を振る。
確かにあの掲示物が何なのか確認できずにいたから気になっていたのよね。

「あれは新しいクラスの人数割りですわ。なんと! 私達全員同じクラスでした!」
「まぁ、そうなんですね!」

マリア様は勢いよく掲示物を指しながら興奮した様子で説明する。
おお! ヘンリー殿下、クロエ様、マリア様と一緒だなんて凄いわね。
流石にこれだけ乙女ゲームの世界が変わってしまったので、今まで気にしていた断罪フラグについてはほとんど心配していない。
特にクロエ様は去年クラスが別だったから、みんな一緒になれて良かったわ。

「まぁ、皆さん一緒だったのですね! 嬉しいです」
「そうだったのか。私はイザベル嬢とはクラスを一緒にして欲しいと進言したがまさか全員同じクラスになるとは奇遇だな」

えええ、ヘンリー殿下はまた去年と同じ事をして私と同じクラスにしたの!?
ってことは、席も隣なのかしら……。

「私もマリア様と見て来ましたけど席順については教室内に掲示があるらしいですわ」

なんとなく嫌な予感がしつつも皆と教室へ入ると、教壇前に席順の掲示がある。
他のクラスメイト達に混じって確認すると、ああ、やっぱり。

「ヘンリー殿下、ずるいですわ」

クロエ様はジト目でヘンリー殿下を見る。
席順を確認したマリア様も声を荒げてヘンリー殿下に抗議する。

「あ! ヘンリー殿下、またイザベル様の隣じゃないですか!」

当の本人はそんな女性陣の批難など諸共せず、いつもの淡々とした様子だ。

「私はイザベル嬢の婚約者だからね。交流を深めるための配慮をしただけだよ。さ、他のクラスメイト達もいることだし、早く席に着こう」

ヘンリー殿下は二人の抗議をさらりと受け流し、私をエスコートしながら窓側の席へ移動する。

って、これじゃあ去年の流れと一緒じゃない! もう、ヘンリー殿下ったら、また権力の無駄使いをして。
でも、去年と違って、お互いに気持ちを通じ合った今ではヘンリー殿下が隣にいることに違和感がないし、ちょっと嬉しかったりするんだけど。
あれ? そういえばこの席順も去年と同じような。

「去年と同じ席順ですね」
「ああ、それは、イザベル嬢は去年は度々窓の外を見て考え事をしているようだったし、窓側の席の方が落ち着くかと思って同じ席順に出来ないか進言したんだよ」

物想いに耽っていたのは、断罪フラグを回避するために色々画策していたせいです、とは言えないので胸の内にしまっておこう。

「まぁそうだったのですね。ご配慮をいただいてありがとうございます」
「まぁ、それと私が単純にイザベル嬢の物思いにふける姿を眺めているのが好きだったこともあるけど。ははは」
「も、もう! ヘンリー殿下ったら」

そんなやり取りをしている内に教師がやってきたようだ。
私達は一旦会話をやめ、教師の声に耳を傾けることにした。

☆ ☆ ☆
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