子持ち主婦がメイドイビリ好きの悪役令嬢に転生して育児スキルをフル活用したら、乙女ゲームの世界が変わりました

あさひな

文字の大きさ
54 / 55
第四章 新世界編

転入生3

しおりを挟む
「ええ、そうですね。私も甘い物が好きなので、ヘンリー殿下と外出する時はスイーツのあるお店に行くこともありますわ」
「えーー、いいなぁ。私も甘い物が好きなので今後は仲間に入れてください!」
「お茶は談笑しながら嗜むものですし、人数も多い方が会話も弾みますわよ」

ヘンリー殿下と二人の時間も好きだけど、皆と一緒に過ごす時間も好きなのよね。
それに、卒業すると皆で集まる機会も減るかもしれないと考えると、皆との時間も大切にしたい。
でも、ヘンリー殿下はどう思っているのかしら。
ちらりと様子を見ると、複雑な表情のヘンリー殿下と目が合う。

「やれやれ、イザベル嬢は人から好かれる才能でもあるのだろうか」
「もう、ヘンリー殿下ったら」
「ははは、そんな顔をしないで。まぁ、私はイザベル嬢の意見を優先するよ」

ヘンリー殿下って良く私の意見を聞いてくれる。
その配慮と優しさが嬉しい。
ここは、私の意見を言っちゃっていいかな。

「ではお言葉に甘えて。予定が合えば皆さんと一緒の時間も大切にしたいですわ」
「わぁい! やったぁ」
「マリア様、はしゃぎすぎですわよ。でも、ご一緒できるのはとても嬉しいですわ。……ふふふ、これでもっとお姉様との接点がふえるわね」

二人とも嬉しそうだし、ヘンリー殿下もやれやれといった様子だけど私の意見を肯定してくれるみたい。
ふふ、これから卒業までの時間も大切にしていきたいな。
そんな事を思っていると、馬車の速度が落ち始めていることに気付く。
ああ、もうすぐ着くのかしら。

「さて、もうすぐ到着するようだ。ここからは私が先に降りて案内しよう」

馬車が止まるとヘンリー殿下は先に降りて、女性陣をサポートする。
今日はドレスじゃないから簡単に乗り降りできるんだけど、エスコートに慣れているヘンリー殿下は自然と身体が動いてしまうのかしら。
ヘンリー殿下の手を取り馬車から降りると、目の前にはカントリー風の外観のカフェがある。

「さ、中に入ろうか」

ヘンリー殿下の誘導でカフェに入りると、メニュー表を持った店員の女性が席まで案内する。
店側の配慮なのか窓際の眺めのいい席に通される。

「オススメはこちらのケーキになります」
「あ、これ美味しそうですわ」
「色んな種類があるんですね! どれも素敵♡」

思っていたより品揃えが豊富なようで迷うなぁ。
マリア様もクロエ様もメニュー表を見ながら楽しそうにスイーツを選んでいる。

「ちなみにここのカフェでは芋を使ったケーキが最近出て、甘さも丁度良くてオススメだ。あとはフルーツがたくさん乗ったこれとか見た目も良かったし味も良かった。これは中にチーズが入った変わり種だが紅茶と合わせると美味しかったぞ」
「ヘンリー殿下、凄い詳しいですね」

マリア様が不思議そうな様子でヘンリー殿下に尋ねる。
ヘンリー殿下はスイーツ好きだから、きっとこのカフェも何度か来た事があるんだろうな。

「ここは王宮までの道中にあるしメニューも豊富だから立ち寄ることが多くてな。大体のメニューは食べたかもな」
「えーー凄い! それならヘンリー殿下のオススメしたこちらします」

思ったより頻繁に来ていたのね、それなら詳しいはずだわ。

「じゃあ、私はこちらにします。お芋のスイーツ気になっていたので」
「私はチーズ入りのにしますわ」

皆がメニューを選び終えると、店員は足早にカウンターに戻る。
そのまま皆で談笑をしているとスイーツ達が運ばれてきた。

「まぁ、かわいい」
「美味しそうです~!」

テーブルに並ぶ色とりどりのスイーツ達。
ああ、見ているだけで心ときめくしどれも美味しそう。

「ではいただくとしよう」

私が選んだスイーツは紅イモのような小さくカットされたお芋が乗っており、上にざく切りした木の実が散らされている。その下には芋を混ぜたのか、やや黄みがかったクリームが塗られている。断面にも木の実のようなものが見えるので、クリームと木の実がサンドされているのだと思う。
一口分をフォークですくって食べてみると、ザクザクした食感とお芋の優しい甘みが口いっぱいに広がる。

ああ、美味しい……!

「これ、とても美味しいですわ」
「だろう? 一見シンプルだが食感に変化を付けていて飽きないし、芋の素朴な甘みが紅茶とも良く合うんだ」

ヘンリー殿下はそう言うと、どこか嬉しそうな様子で私に微笑む。

「フルーツが瑞々しいし、下のタルトもサクサクしていておいひいですぅ♡」
「私のはチーズが入っているからさっぱりしていて食べやすいですわ。でも、コクがあるから紅茶と合わせても美味しいし、どんどん食べられそうですわ」

二人とも美味しいスイーツに思わず笑みがこぼれるようだ。
うんうん、甘い物食べている時って幸せだよねぇ。

至福の時間を噛み締めつつ、マリア様やクロエ様の近況を聞いたりして談笑する。
女三人寄ればかしましいとはよく言ったもので、私達も漏れなくおしゃべりに花が咲く。

ヘンリー殿下はドレス好きなお母様で慣れているのか、女性達の会話にも積極的に参加してくれたお陰で楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

「さて、そろそろ場所を移動しようか? あまり暗くならないうちに建設中の保育園も見学しに行こう」

ちらりと店内の時計を見ると、既に二時間も経っていた。
あら、本当だわ。もうこんな時間!

「まぁ、本当ですわ」

いつの間にかお会計が済んでいたようで、私達は席を立ち再び馬車に乗り込む。
イザベルは令嬢だから財布は持たないしそのあたりは大体侍女達が済ませてくれているのだけど、当たり前のように何から何までしてもらって何だか申し訳ない。
前世の癖というのは中々抜けないものね。

そうこうしているうちに馬車は建設中の建物の前で止まる。

「ここが建設予定の保育園だよ」
「まぁ、凄い立派な建物ですね!」
「ここら辺は住民も多いから、それに合わせて建物も広めのものにしたんだ」
「もしかして、ヘンリー殿下もこの計画に関与されていらっしゃるのでしょうか」
「ああ、実務については家臣に任せているが建設予定地含めた指揮は私が行っているんだ」
「そうだったのですね!」

そうか、だからヘンリー殿下は建設予定地や進行状況とかの詳細情報を知っていたのか。

「まだ中に入れないのだが、完成したらイザベル嬢にも見てもらう予定だよ」
「それは楽しみですわ」

クロエ様もマリア様も建設中の建物に興味があるようで、二人で周囲を見学しているようだ。

「少しだけ耳を貸してもらえないか」

ヘンリー殿下が小さい声で耳打ちする。

「ここに来る前、教室で転校生に見られていただろう。私もちらりと確認したが、彼女は何かを知っているような気がする。メルロー家という貴族に聞き覚えもないが、イザベル嬢は顔見知りか」

ヘンリー殿下は私の違和感に気付いていたんだ。

「いいえ、顔見知りではないですし、メルロー家のことも存じ上げませんわ」
「そうか……。話してくれてありがとう」

ヘンリー殿下はマリア様とクロエ様が戻って来る様子をちらりと確認すると不自然にならないように私の耳元から顔を離す。

「さて、視察はこのくらいでいいだろうか。あとは帰って明日に備えよう」
「ええ、そうですわね」
「楽しかったです~!」

私達は馬車に乗り込み寮まで戻ることにした。
しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。