51 / 57
第4章 灼熱の魔法師
Ⅰ
しおりを挟む
十日後––––
ヴィルヘム国の国境を超え、隣国である南国・キルヒベルク国は、想像を絶する暑さだった。
国境を超えた列車は終点・メルシュヴィルを目指して、レールの上を一直線に走り続ける。
山を越えるたびに、山頂の方では白景色があり、夏から秋へと季節の変わり目を表しているかのようだ。
「ようやく、国境を超えたか……。予定日よりも五日も遅れたな……」
「そうね。でも、いいんじゃない、失うものなんてないんだし、何かは分からないけど……」
「そうだな。今さら急いだって意味がないからな……」
ボーデンとラミアは、最後の列車に乗ってメルシュヴィルの前まで迫っていた。
「しかし、着いたとしても一体どうしたらいいんだろうな」
「どうしてかしら? 目的は決まっているんでしょ」
「そうなんだが……ここに書いている内容だと、これから会う人は、相当面倒な人らしい。なぜ、あの少佐にこんな知り合いがいるのかが不思議だ」
「それは誰だっているでしょ。変な知り合いしかいないのは貴方くらいよ」
「俺が……か?」
ボーデンは首を傾げる。
そんな話をしているうちに列車は、メルシュヴィル付近まで近づいていた。
前に見える山を超えたら、目的地・メルシュヴィルである。
「それにしても長かった旅もそろそろ終わりだな。ラミアは、どうだった?」
「久しぶりに退屈な時間が出来たってことかしら? あの暗闇の中にいるよりかは遥かに楽だったけど……」
「そうか。そういえば、なんでお前はあの檻の中にいたんだ?」
「忘れたわ」
「あっそ……」
二人が話をしているうちにトンネルを抜け、メルシュヴィルの街にたどり着いた。
鉄鉱山の街として有名なこの地には、ボーデン達の目的でもある遺跡がある。そして、
この街にはもう一つやっておかなければならないことがあるのだ。
列車は駅に停車し、そこから次の街へと行く人たちは乗り換えをしなければならないのだ。
「よっと……」
二人はメルシュヴィルの地に足を踏み入れる。
「うわぁ、鉄の臭いが凄いわね」
ヴィルヘム国の国境を超え、隣国である南国・キルヒベルク国は、想像を絶する暑さだった。
国境を超えた列車は終点・メルシュヴィルを目指して、レールの上を一直線に走り続ける。
山を越えるたびに、山頂の方では白景色があり、夏から秋へと季節の変わり目を表しているかのようだ。
「ようやく、国境を超えたか……。予定日よりも五日も遅れたな……」
「そうね。でも、いいんじゃない、失うものなんてないんだし、何かは分からないけど……」
「そうだな。今さら急いだって意味がないからな……」
ボーデンとラミアは、最後の列車に乗ってメルシュヴィルの前まで迫っていた。
「しかし、着いたとしても一体どうしたらいいんだろうな」
「どうしてかしら? 目的は決まっているんでしょ」
「そうなんだが……ここに書いている内容だと、これから会う人は、相当面倒な人らしい。なぜ、あの少佐にこんな知り合いがいるのかが不思議だ」
「それは誰だっているでしょ。変な知り合いしかいないのは貴方くらいよ」
「俺が……か?」
ボーデンは首を傾げる。
そんな話をしているうちに列車は、メルシュヴィル付近まで近づいていた。
前に見える山を超えたら、目的地・メルシュヴィルである。
「それにしても長かった旅もそろそろ終わりだな。ラミアは、どうだった?」
「久しぶりに退屈な時間が出来たってことかしら? あの暗闇の中にいるよりかは遥かに楽だったけど……」
「そうか。そういえば、なんでお前はあの檻の中にいたんだ?」
「忘れたわ」
「あっそ……」
二人が話をしているうちにトンネルを抜け、メルシュヴィルの街にたどり着いた。
鉄鉱山の街として有名なこの地には、ボーデン達の目的でもある遺跡がある。そして、
この街にはもう一つやっておかなければならないことがあるのだ。
列車は駅に停車し、そこから次の街へと行く人たちは乗り換えをしなければならないのだ。
「よっと……」
二人はメルシュヴィルの地に足を踏み入れる。
「うわぁ、鉄の臭いが凄いわね」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる