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第4章  灼熱の魔法師

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「それで? その例の魔法師は一体何処にいるのかしら?」

 ラミアはエレキに訊いた。

「それが……相当扱いが難しい人で、キレるとそれは怖いと街の七不思議の一つに入るらしい。いやー、考えるだけで怖くなってきた」

「それは七不思議じゃなくて噂じゃないのか?」

 ボーデンはエレキの話にツッコミを入れる。

 街角を曲がり、気の荒そうな魔法師に会いに行く。

「次の道を真っ直ぐに行けば、その魔法使いに会えるのね」

「そのようだな」

 三人は、街の外れにある鉄鉱山に近いポツンと建ってある一軒家を見た。

 外見から見るに、築五十年くらいの古さを感じる。

 煙突から煙がもくもくと燃え上がっており、中に人がいる事は外から見ても分かる。

「どうやら中に人がいるようだな」

「そうね。今の時間帯だったら訪ねても問題ないと思うわ」

「お、俺……腹痛くなってきたんだが……」

「お前みたいな大男がそんな態度を取ると、みっともねぇーぞ」

「好きでこんな体型になったわけではない」

 三人はその一軒家の前に立ち止まると、石階段を上り、扉の前まで来る。

 そして、ラミアが扉をノックする。

 コンコン。

 中から何も反応がない。

「おい、反応ないぞ」

「おかしいわね。確かにいるはずなんだけど……」

「寝ていたりしているんじゃないのか? お前と一緒で」

「はぁ? 誰が寝ているだって?」

「静かにして、二人共。中には人がいるって言ったでしょ」

 ラミアが不思議そうに、頭を悩ませる。

「変われ、俺がやる」

 ボーデンがラミアを押し除けて、扉の前に立ち、何度も扉をノックした。

「おーい、出てこい。いるのは分かっているんだ。出てこねぇーとぶっ壊すぞ!」

 と、言うがそれでも反応がない。

「本当に反応がないぞ」

「いるのか? エレキ、この扉を壊してくれ」
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