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第4章 幼馴染と言うものはそれ以上、それ以下でもない
021 幼馴染と言うのはそれ以上、それ以下でもないⅢ
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「さあ、感想戦を始めようか。時間はたっぷりある。日没になるくらいまで付き合ってもらうぞ」
「……はあ?やっぱり、そうなるのかよ……」
俺は善政から目をそらして小声で言い、溜息をついた。頭をガクンと下に向け目を少しつぶった。
ああ……。
鞄を開け何かを探している善政はいくつにも束ねられたA4用紙を重そうに鞄から取り出して、ドンッ、と音を立てながら床に置いた。
身を乗り出してその束の内容を見ると、今までのそれぞれ対局した棋士との棋譜が全てつづられていた。
一番上には将棋界のトップ棋士、羽田四冠の名前が書いてあった。
「うわぁ……何、これ……」
夏目はそれを見てドン引きしていた。
「これは公式戦、非公式戦、その他の対局の記録の一部だ。これはそうだな……三冊目と言ったところか?」
「よう、こんなものを持ち運ぶ気になるな。パソコンにファイルでも作ってデータを作ればいいのにそうすれば今までの全ての棋譜が見れるだろ」
棋譜を初手から一つずつ見ながら俺は意見すると、善政は何も言わずに首を縦に振らず、横に振った。この時代、アナログより地デジですよと言っているようなものなのだが、聞こうとしなかった。
「俺は自分で書いた方がいい。パソコンはいつデータが消えてしまったら困るし、それにパソコンはAIとするために使うものだ。棋譜は棋士にとっては重要なもの手書きで書いて保存しておいた方がいい」
「そう言うものなのか。運営に頼んでコピーでも頼めばいいのに……」
「それはだめだ。しっかりと|模写しながら頭の中に盤上を浮かべ、記録するのが最適なんだ」
善政は自分の意志はしっかりと持ち、お茶を少し飲みながら俺の方を睨みつけた。
それにしても凄い量だ。普通の棋士でも持ち運びはまずしないはずだ。しっかりと作戦を練った準備をしてくる。
「俺が将棋を習い始めたのはテレビを見た時、丁度羽田先生が七冠を達成した時だ。初めは、遊びで始めたが研究会に入り、棋譜や詰め将棋の記録をつけた。それから、今まで付けてきた。今回の対局は絶対に負けられない」
声、でけぇ……。
まあ、こいつは小学校の頃から友達とは遊ばず。暇があれば、うちに来るか、家で引きこもっていたし、もう一人は……今はやめておこう。
その時、扉の方からホックする音が聞こえて、一人の少女がゆっくりと扉を開きながら研究室に入って来た。
「あ……やっぱりここにいた」
俺は溜息をついて、善政は嫌そうな表情を浮かべた。そいつは俺たちの前まで来ると怒った表情で言った。
「二人ともそこで何をしているの?」
研究室に入って来た少女――桜井春。俺と善政の女幼馴染で教育学部初等教育学科一年。姿は左髪を一結びしており端正な顔立ちで気が強く野生のように自分の感で動く少女だ。簡単に言えば、冬月の劣化版だ。
「どちら様でしょうか」
「はぁ?どちら様って……春なんですけどこの顔忘れたんじゃないんでしょうね」
「ど、どうかな……善政は記憶があるか?」
「うむ。俺には信司しか知り合いがいなかったはずだ。どうも、記憶が混乱しているようだ」
俺たち二人はとぼけながら春の話を水に流そうとしていた。こいつと関わると善政以上にロクな目に遭わない
こいつは女だが歩く凶器だ。今にでも襲ってきそうな勢いで言ってくる。
「なるほどね。二人とも記憶がないんじゃ仕方ないよね。なら、今に思い出させてあげましょうか?」
指をボキボキと鳴らしながら春は完璧に怒る寸前まで来ていた。
「あ、思い出した。な、善政」
「あ、ああ。この俺が忘れることが無いだろ。棋士は記憶力がいいからはっきりと覚えている……。うん、覚えている」
善政は冷や汗をかきながら苦笑いをしていた。
お陰で今日はとんだ一日だ。春に用件を聞くと俺ら二人を探していたらしい。理由は話さなかった。
「それで桜井さんは天道君たちを監視してどうするつもりなのかしら」
冬月は冷たい視線で春の方を見ると彼女は後ずさりをしながら尋ねた。
「何で、私の名前を知っているの?一度もあったことないよね」
「だって、あなた入学式、新入生代表で祝辞を述べていたでしょ」
「た、確かにそうだけど……。よく、そんなこと覚えているわね」
春は関心しながら、冬月をまじまじと見つめると隣の夏目の方も見つめていた。研究室は静まり、俺らは小声で話していた。
「ええと、吉井善政と桜井春と言ったかな。どうだ、お前ら二人も我が研究室に入ってみてはどうかな。人数が多いほど、それはいいことがある」
「……はあ?やっぱり、そうなるのかよ……」
俺は善政から目をそらして小声で言い、溜息をついた。頭をガクンと下に向け目を少しつぶった。
ああ……。
鞄を開け何かを探している善政はいくつにも束ねられたA4用紙を重そうに鞄から取り出して、ドンッ、と音を立てながら床に置いた。
身を乗り出してその束の内容を見ると、今までのそれぞれ対局した棋士との棋譜が全てつづられていた。
一番上には将棋界のトップ棋士、羽田四冠の名前が書いてあった。
「うわぁ……何、これ……」
夏目はそれを見てドン引きしていた。
「これは公式戦、非公式戦、その他の対局の記録の一部だ。これはそうだな……三冊目と言ったところか?」
「よう、こんなものを持ち運ぶ気になるな。パソコンにファイルでも作ってデータを作ればいいのにそうすれば今までの全ての棋譜が見れるだろ」
棋譜を初手から一つずつ見ながら俺は意見すると、善政は何も言わずに首を縦に振らず、横に振った。この時代、アナログより地デジですよと言っているようなものなのだが、聞こうとしなかった。
「俺は自分で書いた方がいい。パソコンはいつデータが消えてしまったら困るし、それにパソコンはAIとするために使うものだ。棋譜は棋士にとっては重要なもの手書きで書いて保存しておいた方がいい」
「そう言うものなのか。運営に頼んでコピーでも頼めばいいのに……」
「それはだめだ。しっかりと|模写しながら頭の中に盤上を浮かべ、記録するのが最適なんだ」
善政は自分の意志はしっかりと持ち、お茶を少し飲みながら俺の方を睨みつけた。
それにしても凄い量だ。普通の棋士でも持ち運びはまずしないはずだ。しっかりと作戦を練った準備をしてくる。
「俺が将棋を習い始めたのはテレビを見た時、丁度羽田先生が七冠を達成した時だ。初めは、遊びで始めたが研究会に入り、棋譜や詰め将棋の記録をつけた。それから、今まで付けてきた。今回の対局は絶対に負けられない」
声、でけぇ……。
まあ、こいつは小学校の頃から友達とは遊ばず。暇があれば、うちに来るか、家で引きこもっていたし、もう一人は……今はやめておこう。
その時、扉の方からホックする音が聞こえて、一人の少女がゆっくりと扉を開きながら研究室に入って来た。
「あ……やっぱりここにいた」
俺は溜息をついて、善政は嫌そうな表情を浮かべた。そいつは俺たちの前まで来ると怒った表情で言った。
「二人ともそこで何をしているの?」
研究室に入って来た少女――桜井春。俺と善政の女幼馴染で教育学部初等教育学科一年。姿は左髪を一結びしており端正な顔立ちで気が強く野生のように自分の感で動く少女だ。簡単に言えば、冬月の劣化版だ。
「どちら様でしょうか」
「はぁ?どちら様って……春なんですけどこの顔忘れたんじゃないんでしょうね」
「ど、どうかな……善政は記憶があるか?」
「うむ。俺には信司しか知り合いがいなかったはずだ。どうも、記憶が混乱しているようだ」
俺たち二人はとぼけながら春の話を水に流そうとしていた。こいつと関わると善政以上にロクな目に遭わない
こいつは女だが歩く凶器だ。今にでも襲ってきそうな勢いで言ってくる。
「なるほどね。二人とも記憶がないんじゃ仕方ないよね。なら、今に思い出させてあげましょうか?」
指をボキボキと鳴らしながら春は完璧に怒る寸前まで来ていた。
「あ、思い出した。な、善政」
「あ、ああ。この俺が忘れることが無いだろ。棋士は記憶力がいいからはっきりと覚えている……。うん、覚えている」
善政は冷や汗をかきながら苦笑いをしていた。
お陰で今日はとんだ一日だ。春に用件を聞くと俺ら二人を探していたらしい。理由は話さなかった。
「それで桜井さんは天道君たちを監視してどうするつもりなのかしら」
冬月は冷たい視線で春の方を見ると彼女は後ずさりをしながら尋ねた。
「何で、私の名前を知っているの?一度もあったことないよね」
「だって、あなた入学式、新入生代表で祝辞を述べていたでしょ」
「た、確かにそうだけど……。よく、そんなこと覚えているわね」
春は関心しながら、冬月をまじまじと見つめると隣の夏目の方も見つめていた。研究室は静まり、俺らは小声で話していた。
「ええと、吉井善政と桜井春と言ったかな。どうだ、お前ら二人も我が研究室に入ってみてはどうかな。人数が多いほど、それはいいことがある」
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