俺のユニバーサルライフは要するにあまりいいものではなく青春的な展開などあり得ない

ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

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第5章  同じ日に同じ夢を見るということは非合理的な空想論である

030  同じ日に同じ夢を見るということは非合理的な空想論であるⅢ

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「はいはい」
 ほめてねぇ——よ。
「善政、なら、夢を見るのはどう思うだろう」
 これを置きについでに訊いてみた。
「ん?」
 少し困った表情をする。いきなり声を掛けられて急いでいるのに道を尋ねられた若者が嫌な顔をする表情だ。
「夢を見るなんて、また、夢の話。つまりフィクションであり、妄想、想像、仮説、その他などとさっきも言ったが、何もない方がお前にとっていいだろ」
 俺は善政よしまさに優しい視線を向けられて、ちょっと複雑になった。バスは話している間に大学に入る道路を走行していた。今日もまた、一日が始まる。四月から入学して、俺の日常は少しずつ変わってきていると自覚症状じかくしょうじょうが表れたのかもしれない。校門をくぐると、善政と別れて、各学科の教室に向かった。


 今日の授業は教育学部と合同講演会であった。春はあまりにも講演の長さにぐったりとしていた。配られた感想用紙には『眠かった』。たったこの一言だけだった。
「信司、退屈だわ」
 確かにそこは同意見。
「後半、外でさぼってもいいかしら」
「無理だろ。後半も出席を取るらしいし、さぼるのは不可能だろうな。それにお前、ずっと寝ていただろ」
 スマホを操作しながら春はヤンフージャパンでニュース欄を見ていた。
「何か、楽しいことはない?」
 ないと言われてもね……。音楽を聴く……無理。ネット動画配信も無理。ゲーム……音量を消せば少しは可能だろう。
「スマホ内のゲームは一通りログインはしたし、BGMがないとやる気が出ないでしょ。もう、退屈よ」
 俺は隣に座る春がどうにか静かにならないのか考えていた。
 隣で座っている俺を見ながら、頬を指で突いてくる春はそうとうっとうしくて、
「何かないの?」
 と言った。自分で少しは考えろよ。ほら、もうそろそろ講演会も始まることだし、後、感想をもっといい感じでまとめることが出来ないのか?
「早く、終わんないかしら」
 春は理屈をグダグダ言いながらもやっぱり忍び込ませていた『3DC』をやり始めた。

 長時間に渡って行われた講演会は午後三時ごろにようやく終了した。
 隣の席で船を漕ぎながら、起きているように見せかけている春の肩を揺すった。講演が終わると学生は自分の荷物を整理して、会場から出ていく。
「ああ、やっと終わったのね」
 起きて最初に言った言葉である。
「何で大学生になってまで人のくだらない話を長々と聞かないといけないのかしら、それなら効率的に希望者だけ集まって講演会すればいいのよ」
 欠伸をしながら、ゆっくりと立ち上がり出口に向かってのろのろと歩き始めた。
 早く、歩けよ。
「しかし、無駄ではないところもあるだろ」
 講演会は資料の方が役に立つ時がある。時があるんだぞ。
「そんなの言い訳にしかならないわ」
 そうかい。でもなあ、いつかはそういう時が来るさ……。
「それじゃあ、私は少し用があるから先に行っておいて」
 来なくてもいいけどな。でも、少し、静かな時間が過ごせるのはありがたいことで、俺は頷いて春と別れた。

 四階の静かな廊下をゆっくりと歩き、部屋に入る。俺よりも先にいるのはいつもの冬月だった。ついでに夏目まで横で座っていた。
 いつもの指定席でページをめくる冬月は俺の事なんか眼中になく集中していた。今日は何分後に気づいてくれるのだろう。
「お菓子いる?」
 テーブルの上に置かれたお菓子を夏目は取り出して、袋を開けた。手に油がつかないように割り箸を使いながらポテチを取り出す。
 俺は向かい側に座って、用意されたお菓子の中から饅頭まんじゅうを貰った。日本人ならやっぱり和菓子に限る。そして、ここに熱いお茶があったならどれだけよかったことだろう。
 スマホの電源を入れ、ロック画面を解除する。今日の日付、時間、気温、天気が表示され、俺はインターネットで物理的法則性ぶつりほうそくせいについて調べた。
「へ——、他にもこんなのがあるのか」
 朝、善政と話した物理的みたいなことを色々と調べてみた結果、俺には理解できる範囲ではなかった。
「何調べているの?」
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