俺のユニバーサルライフは要するにあまりいいものではなく青春的な展開などあり得ない

ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

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第6章  家庭訪問は結構ストレスが溜まるものであり、それは次第につらくなる

042  家庭訪問は結構ストレスが溜まるものであり、それは次第につらくなるⅣ

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 時間になると、俺は『タスバ』に入る。
「おはようございます!ごゆっくりどうぞ」
 と店員のお姉さんが挨拶をして、俺は真っ先に席の確保をするためにそれを聞き流して歩いていく。
 一番隅っこの個人用の席に場所を取ると教科書とノートを開き、コンセントに充電器を差し込んでスマホを充電する。その作業を終えると、カウンターでカフェオレとちょっとしたお菓子を頼む。
「ええと、これとこれを下さい」
「合計で五三二円になります」
 そう言われると、俺は財布から一〇三二円を取り出して、店員に渡し、五百円にしてもらう。小銭こぜにが多くなると財布には優しくはないからな。
「では、左側の所で少々お待ちください」
 俺は出来上がるまで三分ほど待たされて、プレートと一緒に買った商品が渡された。それを受け取って、自分の席に向かう。すると、珍しい人が俺の隣の席で勉強している。
「この問題は……原核生物?」
「それは真核生物しんかくせいぶつ。初歩中の初歩だろうが」
「……て、なんだ、信司か」
 その声の主は幼馴染の一人である桜井春さくらいはるだ。俺のイメージではいつもゲームばかりしているのに今日は珍しく勉強を一生懸命やっているのだ。
 しかし、それと同時に俺は不覚にも隣の席だということに場所を変えようかと思ったのだが、ここ以外の場所には人が多すぎて移動したくもないのだ。
「それで、何であんたがここにいるのよ」
「普通に暇だったから、それに一か月後には前期試験も近づいているからな……」
「あんた、勉強は真面目にするのね……」
 興味なさそうな言い草で俺の方を見ながら目を細めて言う。
 お前だけには言われたくない!そもそも、ここは読書や勉強を真面目にやる人の聖地であって秋葉原あきはばらとは違うんだぞ。場所を間違ってはいませんかね……。
「まあ、今のうちに復習くらいしておけば後々、焦らなくても対処がいくらでもできるからな。それにここだと本もたくさんあるし、意外とこの場所が好きだからな」
「なら、私の邪魔をしないでよね」
「しねぇ―よ。第一、関わりたくないし」
 どう見ても、お前の方が邪魔をしそうな気がするが……。
「どういう意味よ」
「そのまんまの意味ですよ。これ以上は周りの迷惑になるから小声で話せよ」
 春は態度を変えずに悪戦苦闘で教科書とにらめっこをしている。
「専門過ぎて、漢字が読めない……。何これ、気持ち悪!」
 と、まあ、こんな感じで俺はちょくちょく休憩を入れながら、隣で必死に勉強をしている春を眺めていたのであった。
「お前、少しは調べたりしたらどうだ。ここには多くの本があるし、スマホで検索するとか、色々と手段はあると思うけどな」
「ほら、本を読むと眠たくなるし、スマホは……ゲームアプリで埋まっているから容量の方が……」
 春は俺に自分のスマホのホーム画面を見せてくる。言った通りというか、思っていた通りと言った方が言葉的に合っている。俺はそれを見て、「うわぁ」と驚いた。
「どうなればそんなにプレイしようと気持ちになるんだ?俺でも五個くらいしかアプリを登録していないぞ」
「でも、ほとんどがログインしかしていないし、データを消すのももったいなくてそのまんまって状態」
「じゃあ、本でも探しに行け、それだったら生物分野の所にあるだろうさ」
「じゃあ、あんたが調べておいてよ」
「甘えるな!それぐらい、自分で調べろよ」
 俺はコップに口をつけると中のコーヒーが空になっていることに気づいた。食べかけのドーナツを二口で食べるとコーヒーだけをお代わりにプレートを持って席を立った。
「どこ行くの?」
「カウンター」
「じゃあ、私も行くわ」
「あ、そう」
 俺の後をついてくる春は、楽しそうに歩く。どうしたら、そんなに楽しく歩けるのかねぇ。ほとんどの時間がダラダラとやっていたような気がするが……。
 この新しく出来たこの施設には他にも昔とは変わったところが何ヶ所かある。東口に行く橋が出来たり、うどん屋はつぶれたがその代わりにコンビニが広くなって商品が多くなっている。近くにあるたい焼き屋は消費税増税のせいで値段が上がっていたりしていた。
 あそこの白あんのたい焼き、帰りに買って帰ろうかな。あ、でも、金の方が……。
 俺は頭の中で色々と考えながら、プレートをゴミ箱の上にある専用の置き場に置くと、改めてコーヒーをもう一杯頼もうとした。
「ねぇ、私はこのオレンジジュースとこのチョコドーナツがいい」
「自分で買え。一文たりともおごらないぞ」
「おごりなさい。これは命令よ。私の勉強の邪魔をしたでしょ。だから、おごるのいいわね。絶対よ」
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