俺のユニバーサルライフは要するにあまりいいものではなく青春的な展開などあり得ない

ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

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第6章  家庭訪問は結構ストレスが溜まるものであり、それは次第につらくなる

045  家庭訪問は結構ストレスが溜まるものであり、それは次第につらくなるⅦ

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 それは心外だ。俺は別に友達など周りと関わろうとするのはそこまで好きではないのである。というか、むしろ嫌いだ。でも、ダメな子はないでしょう。これでも大学生だからね。
「俺の事はどうでもいいので、進学の話をしませんか?」
「そうだったな」
 話の話題性を根本的に忘れている。
「それで、第一志望が教育学部、第二希望が文学部、第三希望が経済学部。要するに文系の学部だな。成績もそうだがお前、理系科目から逃げたいだけだろう」
「いや―、そこまで褒められるとは思ってもいませんでしたよ」
「誰も褒めてねーよ」
 釘宮先生は不満そうに俺ら兄妹を見て、また、溜息をついたのであった。足を組み、ズボンが食い込むところがここから少し見える。ソファーに乗りかかり、両手を合わせながら考える。どこかの探偵たんてい気取りなのだろうか?
「で、先生は文系科目を勉強しているのはいいと思っているが、もう少し、数学や科学も勉強しないといけないな。勉強しろ」
 出たよ。勉強している奴に勉強しろと言う先生。
 佑理ゆりだって勉強はしているが……頭が少々残念だけであって、そこは大目に見てほしい所ですね。でも、先生も分かって言っているだろうから心配はないと思うけどさ、そこはもうちょっと、言葉を……。
 しかし、先生が言っていることは的確であって言い返せる言葉が何のだ。少なくとも数学と化学は俺からするともう少し点を取ってほしいと思ったところだ。
 釘宮先生は紅茶を飲みながら、その後にフォークと皿を持って、ケーキをパクパクと食べ始める。本当に俺の家なら何してもオッケー何ですね。昔からその性格、変わっていませんね。
「最後に学校生活だが、そこは問題ないな。お前よりかはしっかりと青春をしているようだ。兄と似てなくて本当に良かったと思っている」
「そうですか。それは俺に対する嫌がらせですかね?」
「いやいや、人は普通、あんな寂しい人間ではないぞ。あ、でも、そうでもなかったか。お前には二人の友達がいたな」
「あれは幼馴染みであって友達ではない」
 このセリフ、ついこの前言ったような……。
「しかし、あの二人も元気でやっているのか?」
「ええ、一人は相変わらず将棋しょうぎ指していますが、もう一人はバカです」
「だろうな。ま、でも、今度、あいつの家にも行くんだけどな」
「へえ、先生もあいつの妹の担任だったんですね」
「お前、妹から何も聞かされていないのか?」
「まあ、全く学校の事は聞いていませんからね」
「てか、お兄ちゃんが知ったところで意味ないじゃん」
 佑理が言う。
 そうだね。俺が聞いたところで話してくれる人じゃないもんね。
 釘宮先生は、面白そうに俺を見て笑った。
「まあいい。じゃあ、これが本当の最後だ」
 先生は一つ間を開けて言った。
「しっかりとこれからの人生を考えろよ。私から言えるのはこれだけだ」
「はい」
 先生らしいこと言うんですね。想定外《そうていがい》の事でしたよ。
「色々と山や谷があるがそれを乗り越えてこそ。自分のつかみたいものがあるかどうかがはっきりしてくるからな。これは人生の先輩の言葉だと思って受け取ってくれ」
 資料など自分の荷物を持って釘宮先生は立ち上がる。もう、時間になったらしい。この後にもまだ、他の生徒の家庭訪問でもあるのだろう。
「それじゃあ、またな」
 玄関の扉を開けると、先生は挨拶をして帰ってしまった。
 俺は佑理と顔を見合わせて、立ったまま玄関で話した。
「はぁ―、結局、ぼろくそに言って帰って言ったな。あの人」
「いや―、さすがにお兄ちゃんのも凄かったよ。半年ぐらい、先生とあってもいなかったのにあれだけの話が出来るとは、佑理は思ってもいなかったけどね」
「あれはただの学習しただけだ。あの人と真っ向勝負を挑もうとしても勝ち目はないからな」
「お兄ちゃん、でも、佑理の成績を見て自分の妹を守ってくれなかったのは悲しかったな。あそこは『頑張っているな』と言ってほしかったよ」
「そうですか」
 俺が面倒くさそうに言い返した。
「うん、そうだよ」
 佑理は微笑みながら俺に言う。
 もうそろそろ、リビングに帰りたい。それにこの後一時間くらい寝たいしな。せっかくの休日をこんな形で終わらせたくないし。
「それじゃあ、家庭訪問も終了したことだし」
「寝ますかね」
 俺は佑理の言葉に連想ゲームのように付け加える。
「ちょっと待って!」
 二階に上がろうとする俺を引き留める佑理はにこにこと笑っていた。
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