アーティシャル・インジェンス・リベンジ

ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

文字の大きさ
5 / 5
天才物理少女篇

004  仕組まれた陰謀 Ⅳ

しおりを挟む
 ドンッ!

 手榴弾は放物線を描きながら飛び、地面に落ちると光を放ち、爆発した。

 小さな爆風に砂が舞い上がり、祐斗の方向に小さな痛みが向かってくる。目を凝らしながら、壁の向こう側を見ると、新たな道があった。

 そう、マップに存在していない道がここである。道は奥へと続いており、どこに繋がっているのかもわからない。罠だと言ったら、そうだと言い切れないが確かに怪しすぎる。

 しかし、用心したことに越したことはない。

「見たことないな。一体、この先に何がある……」

 祐斗は、眉を顰めながらゆっくりと前へと歩き始めた。

 一応、誰にも気づかれないように新たな壁を念入りに作っておいた。

 足元をしっかりと確かめ、歩くこと十分、広い場所に出た。人の通った形跡はなく、祐斗が初めてこの場所を訪れたということになるだろう。目の前には、怪しげな大きな扉が立ち構えている。

 広場は明るかった。

「なんだ……ここは……」

 祐斗は唖然とする。

「聞いたことが無い。こんな所に……」

 祐斗は、ランプの灯を消し、アイテムストレージに戻す。ゆっくりと銃を構えながら広場の中央へと足を踏み込んだ。

「舞え、白桜《しろざくら》‼」

 どこからか人の声が反射的に飛び交い、聞こえてきた。

 いつの間にか周囲に無数の白桜の花びらが舞っていた。

 祐斗は気づいていなかった。いつの間にこんな仕掛けをされていたのだろうか。不用意に動くことができない。一つでも触れたら何か攻撃されそうだ。

「人の体とその間をすり抜ける事を三次元的に考え、そして、その動きを封じ込める計算。物理学を全て注ぎ込めば人間の行動範囲を計算できる。重力、速度はもちろん。その計算は複雑。面白い……」

 声は上の方からだった。

 祐斗は、見上げるとそこには、小さな金髪姿の少女が立っていた。歳はおそらく中学生から高校生の間だろう。

「そして、さ迷う餌を捕食する。生き物の世界では、全てが計算されていないようで計算されている。この世界でも同じこと。ふふふ……実に面白い……」

「くっ、お前は一体何者だ‼」

 祐斗は、少女を見上げたまま叫んだ。

「私はここの住人」

「住人……だと?」

 祐斗は、眉を顰める。

「そう。私はこの世界に来てずっとこの場所にいる」

「なんでこんな場所にいるんだ?」

「私が弱いから……」

 少女はそう答えた。

「はぁ?」

 祐斗は、その返答を疑問に思う。彼女は自分の事を『弱い』と言っているが、そうだとは思えない。スキのない散りばめられた花びら。これに触れれば終わり。よく見ると、ステイタスはレベル44。さほど低いってわけではない。普通より少し高いくらいの冒険者レベルだ。

「だったら、なんで俺を襲う⁉ なにも攻撃していないだろ?」

「そんなの関係ない。私の領域に入ってくる人は全て敵。敵なの……」

(相当な警戒心だな……。何かあったか?)

 祐斗は、息を吐く。

「そんなに敵視されたらこちらも手を抜くわけにはいかねぇよな。だったら、俺も本気でいく‼ 知ってること洗いざらい吐いてもらうぞ‼」

 祐斗は、銃を武器ストレージに戻し、腰に差した刀を抜く。

 神経を研ぎ澄まし、一点集中で構える。

「解った。私も手は抜かない。全力で相手をする。向かってくるといい……」

 少女も戦闘態勢に入る。

 敵は、祐斗とは真逆の遠距離型の攻撃を軸にスキを突いてくるつもりだ。そして何よりも今までの話から逆算すると、計算尽くした策略。勝敗をつけるには、少し時間がかかるだろう。

「行くぞ!」

 祐斗は、刀を握りしめ振りかぶった。

 刀が花びらに触れると、思っていた通り爆発した。爆風が強い。一回、一回、相手にしていたらこちらがダメージを受けるだけだ。

 無視してでも相手に近づく。足を止めずに、少女の目の前から姿を消した。

「き、消え!」

 少女はびっくりする。

 当たりを見渡すと、祐斗はいつの間にか壁を乗り越えていた。

「何驚いているんだ? これくらい普通だろ」

 祐斗は、容赦なく遅いかかかってきた。

「くっ……」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...