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第5章 剣の魔導士とそこにあるもの
063 剣の魔導士とそこにあるものⅦ
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マーロスは皿に載せたおにぎりを裕也のすぐ目の前に出し、そのまま手を使わずに裕也自ら自分で食べさせる。
「一つ聞いていいか?」
「なんだね?」
「賢者の石擬きと黒魔法擬きがあるとして、なぜ、白魔法が無いんだ? この世の理として、全ての真理にたどり着くには三つの鍵がいると聞いたことがある」
食べながらマーロスに訊く。
賢者の石、黒魔法、白魔法の三角関係は、魔導士や錬金術師にとっては深く研究されてきたものである。
「それはただの仮説にしか過ぎない。錬金術師が科学者とするならば、魔導士はどう表現すればいい? 私はこう思った。ただの亡者にしかすぎないとね……」
「亡者……だと?」
「そうだ。亡者だ。魔導士は自分の持つ力以外にも欲しくなる生き物だ。錬金術が科学者ならば、魔導士は得体に知れない亡者という事だ」
「なるほどね……。まぁ、考え方は人それぞれだと俺は思う。俺は魔導士も錬金術師も同じ科学者であり、探究者だと思っているさ」
「つまり、君と私では思考が違うようだ」
「そうなるな……」
裕也は食事を終えると、梅干しの種を吐き捨てる。
マーロスはそんな裕也を見て、微笑みながら立ち上がり、再び開いた檻に鍵をする。
囚われの身である裕也にとっては時間がない。
だが、これは自分で選んだ道、外に裕也の遺志を継ぐ三つの魂を残してきた。
運が良ければ、奴に会えるのだろうと考えたのだ。
――――さて、どうやって抜け出そうかな。
「私は職務に戻る。言い忘れていたが、二日後だ」
「二日後?」
マーロスがいきなり二日後と言い出し、裕也はキョトンとする。
「二日後の夜、月は満月になる。知っているかい、満月の月は、不思議な力を与えてくれると昔の本に書かれてある」
「月ね……」
「それまでせいぜい、これまでの人生を振り返る事だな」
そう言い残して、マーロスは地下牢から姿を消した。
取り残された裕也は、深々と溜息を漏らし、天井を見上げる。
「一つ聞いていいか?」
「なんだね?」
「賢者の石擬きと黒魔法擬きがあるとして、なぜ、白魔法が無いんだ? この世の理として、全ての真理にたどり着くには三つの鍵がいると聞いたことがある」
食べながらマーロスに訊く。
賢者の石、黒魔法、白魔法の三角関係は、魔導士や錬金術師にとっては深く研究されてきたものである。
「それはただの仮説にしか過ぎない。錬金術師が科学者とするならば、魔導士はどう表現すればいい? 私はこう思った。ただの亡者にしかすぎないとね……」
「亡者……だと?」
「そうだ。亡者だ。魔導士は自分の持つ力以外にも欲しくなる生き物だ。錬金術が科学者ならば、魔導士は得体に知れない亡者という事だ」
「なるほどね……。まぁ、考え方は人それぞれだと俺は思う。俺は魔導士も錬金術師も同じ科学者であり、探究者だと思っているさ」
「つまり、君と私では思考が違うようだ」
「そうなるな……」
裕也は食事を終えると、梅干しの種を吐き捨てる。
マーロスはそんな裕也を見て、微笑みながら立ち上がり、再び開いた檻に鍵をする。
囚われの身である裕也にとっては時間がない。
だが、これは自分で選んだ道、外に裕也の遺志を継ぐ三つの魂を残してきた。
運が良ければ、奴に会えるのだろうと考えたのだ。
――――さて、どうやって抜け出そうかな。
「私は職務に戻る。言い忘れていたが、二日後だ」
「二日後?」
マーロスがいきなり二日後と言い出し、裕也はキョトンとする。
「二日後の夜、月は満月になる。知っているかい、満月の月は、不思議な力を与えてくれると昔の本に書かれてある」
「月ね……」
「それまでせいぜい、これまでの人生を振り返る事だな」
そう言い残して、マーロスは地下牢から姿を消した。
取り残された裕也は、深々と溜息を漏らし、天井を見上げる。
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