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背中を預けるには、まだ早い
14.状況確認
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「失礼します。駆除依頼を受注した請負人が到着しました」
オレの目の前でノックの後に開かれた扉の先には、重苦しい空気を纏った壮年の男が三人、大きな机を囲んでソファーに座っていた。
一人は、オレも見たことがあるセルディアのギルド長で、名前はベルハルト……だったはずだ。あとの二人は、汚れのないパリッとした服を着ているから代官所の人間だろう。
オレ達を案内してきた職員が受注証明をギルド長に手渡す間も、険のある視線がオレとガルドさんに注がれたままで居心地が悪いったらない。オレは早々に名乗ることにして、手にしていたタグを胸元まで掲げた。
「銀級請負人リオと、ガルドです」
「良く来てくれたリオ。久しぶりだな」
「随分若いが、本当に銀級か?」
「ベルハルト殿は知っているのかね」
銀色のタグを見せても、まだ信用してもらえないらしい。このタグを偽造したら、近隣数国の斡旋所に手配書が回るし、請負人全員に追われることになるから、実力を疑われるのは不本意だ。まあ、オレの顔は大した迫力もないし、請負人の中では若手なのも重々承知しているから、いちいち腹を立てるようなことはしないさ。
「親しい付き合いはないが、ソロで銀級になって数年。報告書は何度も目にしていて、討ち漏らしはない堅実な請負人だ」
「そうか。ならばギルド長を信じよう」
「鉄級が失敗したから、どうしようかと思っていたが安心できそうだな」
面と向かって話したことはないが、何度かセルディアでも仕事を請けているし、ソロの銀級ってことでオレの顔と名前は覚えられているんだろう。ギルド長の鋭い視線がオレの背後に移り、ガルドさんを観察しているのが分かる。
「ずっとソロだったはずだが、とうとうパーティーを組んだのか。そちらは、初めて見る顔だな」
「我、名前、ガルド。”セラファルドの名に恥じぬ戦いを”」
共通語と獣人語の挨拶だが、獣人語はさすがに分からないだろうから、ヒト語にして伝える。前に仕事で知り合った狼獣人が口にしたときに、覚えておいて良かった。
「請負人として、力を尽くす、と」
本当の意味はもう少し物騒なものらしいが、役人に伝えるならこの辺りが適当だろう。
ギルド長がガルドさんから視線を外すと、ゆっくりと息を吐きソファーに背を預けるのが分かった。緊急依頼の際に出される受託証明には、請負人の名前と等級が書き込まれているから、書かれた通りでしかないのか見定めた上で合格したってことかな。
「儂はここセルディアのギルドを預かるベルハルトだ。こちらが、町長であるローデリヒ代官の側近、マティアス殿とエーリク殿」
ギルド長の紹介に頷く二人に改めて頭を下げ、職員が持ってきてくれた木の椅子にオレが腰かけ、ガルドさんが後ろに立つ。
「請負人稼業が長くて、堅い言葉は得意じゃない。先に謝っておきます。依頼書だと、グラナ村とここで怪我人が出てる。時間を無駄にしたくないんで、状況を教えてもらえますか。」
妙なところで足を引っ張られないように先に断りを入れると、お役人二人は何か言いたそうにしたがギルド長がそれを制した。今は時間がない。
改めて全員の視線が机の上に置かれた簡単な町の見取り図に向けられる。街道、外壁、斡旋所と代官所。外壁の周りに広がる畑と、外柵には何か所か×印が書き込まれている。
「牙猪か町に来たのは、おそらく一巡前。最初にやられたのは、北側の麦畑だ。それから東に移動して芋がやられておる」
重々しい口調で説明したのは、口ひげも立派なマティアスさんて方だ。年齢の割に体つきががっしりしているから、役人の中でも現場に出てるのかもしれない。麦も芋も、大事な食料だし売り物でもある。食い散らかすだけじゃなく、猪は畑をほじくり返すから食べた以上の損害が出ているはずだ。
「怪我人が出た状況は?」
「5日前から鉄級パーティーに畑や町の外周の警邏を依頼しておってな」
「昨日、昼前に外柵の修理をしていたところに再び牙猪が現れ、柵を破壊しその場にいた町民を襲いました。幸い、警護の鉄級パーティーがいて町民は無事でした」
「町民を守り逃がそうとして、請負人が突進を喰らった。一人重症、二人が軽傷だ」
少し線が細いエーリクさんの話しに続き、ギルド長が請負人の話を続ける。ある程度状況が分かっているはずで、その場に3人以上いたはずの鉄級がケガをしたとなると、こちらも油断はできない。
「昼から柵を壊して畑に侵入するようになったって言うんですか?」
「そうだ。襲われた町民や請負人の話では、背丈は大人の腰丈、頭は腹の辺りまである若い雄のようだ。左の牙が欠けて、右より短いという特徴がある。魔物になっておらんのが、せめてもの幸いだ」
「どうだ、すぐに駆除できるか?」
本来は警戒心が強く、夜の間に活動する牙猪が真っ昼間から柵を壊して町の近くに出てくるなんて、普通じゃない。しかも、わざわざ柵を修理している人間を襲っている。
「まずは、現地を見たい。話はそれからだ」
オレの目の前でノックの後に開かれた扉の先には、重苦しい空気を纏った壮年の男が三人、大きな机を囲んでソファーに座っていた。
一人は、オレも見たことがあるセルディアのギルド長で、名前はベルハルト……だったはずだ。あとの二人は、汚れのないパリッとした服を着ているから代官所の人間だろう。
オレ達を案内してきた職員が受注証明をギルド長に手渡す間も、険のある視線がオレとガルドさんに注がれたままで居心地が悪いったらない。オレは早々に名乗ることにして、手にしていたタグを胸元まで掲げた。
「銀級請負人リオと、ガルドです」
「良く来てくれたリオ。久しぶりだな」
「随分若いが、本当に銀級か?」
「ベルハルト殿は知っているのかね」
銀色のタグを見せても、まだ信用してもらえないらしい。このタグを偽造したら、近隣数国の斡旋所に手配書が回るし、請負人全員に追われることになるから、実力を疑われるのは不本意だ。まあ、オレの顔は大した迫力もないし、請負人の中では若手なのも重々承知しているから、いちいち腹を立てるようなことはしないさ。
「親しい付き合いはないが、ソロで銀級になって数年。報告書は何度も目にしていて、討ち漏らしはない堅実な請負人だ」
「そうか。ならばギルド長を信じよう」
「鉄級が失敗したから、どうしようかと思っていたが安心できそうだな」
面と向かって話したことはないが、何度かセルディアでも仕事を請けているし、ソロの銀級ってことでオレの顔と名前は覚えられているんだろう。ギルド長の鋭い視線がオレの背後に移り、ガルドさんを観察しているのが分かる。
「ずっとソロだったはずだが、とうとうパーティーを組んだのか。そちらは、初めて見る顔だな」
「我、名前、ガルド。”セラファルドの名に恥じぬ戦いを”」
共通語と獣人語の挨拶だが、獣人語はさすがに分からないだろうから、ヒト語にして伝える。前に仕事で知り合った狼獣人が口にしたときに、覚えておいて良かった。
「請負人として、力を尽くす、と」
本当の意味はもう少し物騒なものらしいが、役人に伝えるならこの辺りが適当だろう。
ギルド長がガルドさんから視線を外すと、ゆっくりと息を吐きソファーに背を預けるのが分かった。緊急依頼の際に出される受託証明には、請負人の名前と等級が書き込まれているから、書かれた通りでしかないのか見定めた上で合格したってことかな。
「儂はここセルディアのギルドを預かるベルハルトだ。こちらが、町長であるローデリヒ代官の側近、マティアス殿とエーリク殿」
ギルド長の紹介に頷く二人に改めて頭を下げ、職員が持ってきてくれた木の椅子にオレが腰かけ、ガルドさんが後ろに立つ。
「請負人稼業が長くて、堅い言葉は得意じゃない。先に謝っておきます。依頼書だと、グラナ村とここで怪我人が出てる。時間を無駄にしたくないんで、状況を教えてもらえますか。」
妙なところで足を引っ張られないように先に断りを入れると、お役人二人は何か言いたそうにしたがギルド長がそれを制した。今は時間がない。
改めて全員の視線が机の上に置かれた簡単な町の見取り図に向けられる。街道、外壁、斡旋所と代官所。外壁の周りに広がる畑と、外柵には何か所か×印が書き込まれている。
「牙猪か町に来たのは、おそらく一巡前。最初にやられたのは、北側の麦畑だ。それから東に移動して芋がやられておる」
重々しい口調で説明したのは、口ひげも立派なマティアスさんて方だ。年齢の割に体つきががっしりしているから、役人の中でも現場に出てるのかもしれない。麦も芋も、大事な食料だし売り物でもある。食い散らかすだけじゃなく、猪は畑をほじくり返すから食べた以上の損害が出ているはずだ。
「怪我人が出た状況は?」
「5日前から鉄級パーティーに畑や町の外周の警邏を依頼しておってな」
「昨日、昼前に外柵の修理をしていたところに再び牙猪が現れ、柵を破壊しその場にいた町民を襲いました。幸い、警護の鉄級パーティーがいて町民は無事でした」
「町民を守り逃がそうとして、請負人が突進を喰らった。一人重症、二人が軽傷だ」
少し線が細いエーリクさんの話しに続き、ギルド長が請負人の話を続ける。ある程度状況が分かっているはずで、その場に3人以上いたはずの鉄級がケガをしたとなると、こちらも油断はできない。
「昼から柵を壊して畑に侵入するようになったって言うんですか?」
「そうだ。襲われた町民や請負人の話では、背丈は大人の腰丈、頭は腹の辺りまである若い雄のようだ。左の牙が欠けて、右より短いという特徴がある。魔物になっておらんのが、せめてもの幸いだ」
「どうだ、すぐに駆除できるか?」
本来は警戒心が強く、夜の間に活動する牙猪が真っ昼間から柵を壊して町の近くに出てくるなんて、普通じゃない。しかも、わざわざ柵を修理している人間を襲っている。
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