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番外編 新たな時代を切り拓く一歩
かっこよかったよ
しおりを挟む痛くないのか。
聞いたほうがいいのか、聞かないほうがいいのか。そっとしておいたほうがいいとはわかっていても、思った以上に腫れている。
フヤリル令嬢……一体どれほどの力でなぐったのだろうか。
宮殿に無事に帰ってくることができた。正直、フヤリル令嬢がゼラフを殴った後のことが夢か現実か分からないくらいで、気づけば転移魔法によって宮殿まで帰ってきていた。
そして、先ほどからずっと機嫌が悪い彼の背中を追いかける。赤髪が左右に揺れるその様子を眺めながら、言葉をかけるタイミングを見計らっていた。
「ゼラ……」
「んだよ」
「こわっ!? てか、反応早っ!?」
さすがに光の速さすぎる……
俺が名前を言い切る前に、彼の鋭い眼光が突き刺さる。何もそこまで睨まなくていいじゃないかと苦言を呈したいが、彼の気にしていることを最初に行ったのは俺なので、甘んじて受け入れよう。
ゼラフもまさかこんなふうに殴られるとは夢にも思っていなかったんじゃないだろうか。だから、今もまだ放心状態で、現実が受け入れられていないのではないか。
フヤリル令嬢も容赦がない。もしかしたら、本気で顔を傷つけられたことを怒っていたのかもしれない。実際に、彼女の顔は一時的にエルバに張り付いていた。その時に感じた怒りが、また彼女に張り付けられて戻ってきたのではないかと。そんなことが実際にありえるかどうかは分からない。でも、可能性としては考えられた。そうでなくとも、女性の顔を狙ったゼラフに対してふつふつと煮えるような怒りを覚えたのかもしれない。
殴ってもいいといったのはゼラフだ。ゼラフはきちんと自分の発言に責任を持っている……はずだ。殴られて怒っていないところを見ると、そこは大人だと言える。ただ、帰ってからこの調子じゃ、俺もいたたまれない。
俺が止めたらよかったのか? いや、俺の行動はあれで正解だっただろう。
「はあ~~~~俺のことバカだと思うか?」
「い、いや、全然……でも、まさか君があんなこと思うなんて思わなかったよ。どんな心境の変化?」
「悪いと思ったことに対しては謝るだろ。誰だって……」
「悪いと思ったんだ。誰かに言われたんじゃなくて」
「ああ、そうだよ。言われたんじゃねえよ……ったく、気分わりぃ」
舌打ちを鳴らし、頭をかきむしる。
やっぱり黙っておくのが正解だっただろうか。
いつもと行動の違うゼラフのことが少し気になってしまったのだ。そりゃ、人はいつまでも停滞していないし、変わっていく生き物だけど。俺たちの周り以外の人に謝るゼラフなんて初めて見た。これもいろいろと変化があってのことなのだろうか。
ゼラフは、あからさまにため息をついて話しかけるなというオーラを出している。
もうこれ以上は構わないほうがいい。俺だって余計なことを言って飛び火を食らいたくない。
でも、さっきの行動は正直とてもかっこよかったと思うのだ。
俺は、どうしていいか分からないがまずコツンと彼の肩あたりにぶつかってみた。ただ、俺とゼラフではどうしても身長差があるので彼の二の腕あたりに肩がぶつかってしまい「おい」とドスの利いた声が飛んできた。
「ごめん」
「……んだよ。いきなりぶつかってきて。当たり屋かよ」
「あ、当たり屋って……」
この世界にその言葉があるんだ。
馬車にいきなり突っ込んできて金を出せとでもいうのか。しかし、馬車に乗れるような人間は裕福な家のものが多いだろうし、馬車に激突なんて、馬に轢かれるということだ。タダじゃすまないだろう。むしろ、ぶつかってきて撥ねてしまった……以上、とその場で処理されてしまうかもしれない。
頭の中でゼラフの言葉にあれこれ思考を巡らせながら、彼のほうを見上げた。すると、ずっとこちらを見ていたのかローズクォーツの瞳と目が合う。
「俺のこと見すぎ」
「ぶつかってきたやつがよく言うぜ」
「すごい根に持ってるね……かっこよかったと思うよ。さっきの……俺、言い方悪かったね」
「別に……褒められたくてやったことじゃねえし、あんま弄んな」
「弄ったつもりはないんだよ。嫌ならこれ以上言わないけど……ちょっと驚いたんだよ。君が、フヤリル嬢に謝ったの……彼女の顔のこと、気にしていたんだって。ほら、君が攻撃したのはあくまでエルバだったから」
フヤリル令嬢の顔を狙ったわけじゃなくて、実際にエルバを狙った。そこにどんな意図があったかは分からない。俺はあのときにすでに、エルバの魔法によって苦しんでおり、意識が朦朧としていた。彼らが来なければそのまま倒れてしまっていたか、誘拐されていただろう。
だから、セシルと二人で助けに来てくれたこと、あの日の夜のことをすごく感謝している。
俺の言葉にゼラフは黙った。何か考えるように前をじっと見据え、それから俺の肩を抱く。黒いグローブがはめられた手は俺の肩をグッと掴んでいた。
「こんなことしてたら、また勘違いされちまうかもな」
「嬉しそうだね」
「そりゃあ、皇帝陛下を引っかけまわすのは愉しいぜ? あいつは、澄ました顔してるけどよ、本当は腹の中嫉妬で煮えたぎってると思うとな」
「いつか殺されそうで怖いよ。無謀すぎる……」
「面白いことがねえと退屈で死んでしまうたちなんで」
ゼラフはそう言って鼻で笑った。
人生が楽しそうで何よりだ。
スチェーネット伯爵邸から戻ってきてかなり時間が経った。夕日が差し込む廊下は静かで、朝よりも長い影が俺たちの後ろに伸びている。
フヤリル令嬢は完全に復活を遂げたようだし、俺の言葉が届いたみたいでよかった。もちろん、届かなかったとしても俺は伝えるべきことを伝えてあの場を去ろうと思っていた。それがたとえ俺のエゴだと言われようとも、俺がそうしたいからしたのだ。
(……俺は、結構自分の欲に正直に動いてるよな)
昔はそうじゃなかった。
自分よりも他人を優先すること、それこそセシルを守るためなら多少の無茶も喜んでしたし、身体が勝手に動いていた。
でも、セシルと恋人になった後、もっと欲張っていいと言われてからだろうか。俺は、俺の正しいと思った道を突き進んでいる気がする。昔の俺だったら、きっと途中で人の話を聞いてコロッと意見を変えていただろう。それがいい変化なのか悪い変化なのかは分からない。
欲張りになるということはエゴをむき出しにするということではない。しかし、人によってはそう捉えられることもあるし、感情論だけで動いていては誰も後ろについてきてくれない。
俺の政策がうまく進まないのは、安全圏にいる俺が何を言ってもそれはお前だから言えることなんだと言われているからだ。俺の特殊な生い立ち、特殊な血を恐れている人もいるのかもしれない。
どれだけ、ズィーク・ドラッヘンの件やステュルカ聖王国の件を知っている人がいるか分からない。前者のズィーク・ドラッヘンのしようとしていたある恐ろしい目的について、それを達成させるために俺が必要だったこと。あるいはどちらも知らない人もいるかもしれないけど。
ズィーク・ドラッヘンが完成させた魔法陣が完全に発動していたら……俺はその命をもって帝国を一夜にして凍土に変えていただろう。魔力を増幅させ、その魔法の効果範囲を広げる方法。もちろん、使ったがあと、魔法を使った本人は死亡するのだが、一人の犠牲で帝国を滅ぼせる力を持っている人間であることがあの時証明されてしまった。
俺の力は使いようによっては大量虐殺ができてしまう恐ろしい兵器なのだ。
それを知っている人からしたら、俺は本当に脅威そのものなのだろう。
俺が歩くスピードを落とすと、いつの間にかゼラフもそれに合わせ、俺の肩をこついてきた。
「んだよ。暗い顔して。俺が酷いこと言ったからしょげてんのか?」
「ち、違うよ。ちょっと考え事をしてただけ。一個ずつ終わっていくなって……何が正解だとか分からないけど、俺は俺のしたいこと、エゴに従って動いたなって。結果的に、彼女が救われたと言ってくれたからよかったけどさ」
「周りのこと気にしてたら動けなくなっちまうだろ。欲張りや、エゴがあるくらいがちょうどいい。少しは人間らしくなったんじゃねえか?」
「俺は元から人間だよ。どちらかと言ったらセシルのほうが……いや、何でもない」
「俺は欲張りなニルのほうがいいと思うけどなあ? しり込みする必要も、一歩引く必要もなくなったんだしよ。それに、今のお前は皇后なんだ。誰かに道を譲ってちゃ、皇帝陛下の隣にたてねえだろ」
「それはそうだね。ゼラフは昔から自分のことちゃんと理解して、心に従って動いてるよね。今回のこともそうだったんでしょ?」
「また話し戻しやがったな」
あからさまに嫌な顔をしたが、そうだよ、と言わんばかりの顔で俺を見てきた。
素直じゃないな、と思ったが、俺は本当に心の底からさっきの彼の行動がかっこいいと思った。それは嘘じゃないし、相手を侮辱しているわけでもない。
「かっこよかったと思うよ。まあ、フヤリル嬢……思った以上に本気でなぐってたみたいだけど」
「さすがに驚いた。だが、男に二言はねえしな」
「ほら、かっこいい」
「ほ~~~~ん、もっと褒めてくれたっていいんだぜ? つか、いてぇな。ここ、痛みが引くまで触っててくれよ」
調子に乗って俺のほうに倒れてくるゼラフ。歩きにくいし、俺よりもがっしりした彼にもたれかかられると潰れてしまいそうだ。
ここまで調子に乗るなんて……いや、大体いつも彼はそうか。冗談なのか、本気なのかは分からないが、俺は歩きにくいと伝えて彼を押し返そうとした。だが以外にもびくともしない。
「あれ、筋肉付いた?」
「そりゃあ、欠かさず剣を振るってるからな。お前の護衛だし? 何より、あの騎士団長が目を光らせてんだ。少しでも手を抜けば速攻首。一生剣がもてねぇ身体にさせられちまうよ」
「そこまでボコボコにはしないでしょ……」
「今度手合わせしてみるか?」
ゼラフは、俺の頬をつつきながら言う。
今なら俺に勝てるかもしれないみたいな顔を向けられて、胸の中に対抗心が燃える。しかし、今のこれでまったくびくともしないゼラフ相手にどう戦えばいいだろうか。
正直、彼とは相性が悪いと思っている。
セシルは単純な動きだが力強い攻撃が特徴的だ。正面から受け止めたらまず力で押し負ける。流す術を持っていなければならないし、ただ受け止めるなんて言う行動をとった日には剣が折れてしまう。そこに、父上の特別メニューが加わって、セシル自身の弱点も克服しつつある。今のセシルには敵わない気がする。情けない話だ。
逆にゼラフの動きはトリッキーだ。のらりくらりしているようで隙がなく、俺と同じく攻撃が素早い。身のこなしは騎士とは違い暗殺者の類に近く、少し卑怯な戦法を使うのだ。ルール上それが問題なければ、それに対応するだけでこちらの攻撃の隙が与えられない。
早いもの同士の戦いになった時、相手の意表をいかにつけるかが重要だ。となると、少し分が悪い。
かといって最初から負けを認めるのもおかしな話だ。
(けど……自信ないな……)
最近の敵は、単純な魔法降雨劇だけでなく、身体強化魔法で肉体を強化し、さらにある程度の体術を身に着け、剣やナイフを振るいながら魔法を使ってくる。そうなると剣術と体術だけで受け流すのは不可能に近い。魔法攻撃は物理を突き破ってくるからだ。
エルバやトレットンの動きもまさにそれだった。ある程度の体術、そして洗礼された魔法。その二つが組み合わさり、剣だけでは到底防ぎきれない攻撃を仕掛けてくる。
「ニル、あんま自信なくすなよ」
「なくしては、ない、よ」
「嘘つけ」
「……最近の敵は想像以上に強敵だ。もちろん、一人で対処する必要はないけど、時間稼ぎすらできないなんて」
「剣を持っているとどうしてもリーチの問題で懐にもぐりこまれちまうと動けなくなるよな。その至近距離で魔法でも打たれたら溜まったもんじゃねえし」
「ゼラフは、剣を扱いながら魔法を使えるでしょ。君はどうしようもできるんだよ……俺は、君のことそう思っている。対処できるだけの技量はある。懐にもぐりこまれたとしても、君には無詠唱魔法だってあるだろう」
「そんな買いかぶんなよ。俺だってへまする時だってある」
ゼラフはそう言って遠い目をした。
それは対カシュのことを言っているのだろうか。カシュはどちらかと言えば剣よりナイフのようなリーチの短くて動きやすいものを好みそうだ。ゼラフも元は短剣を扱っていたし、身軽に動ける武器を得意としていただろう。そこに魔法を加えて、目に負えない戦いを繰り広げる。
そう思えばカシュもなかなかに魔力量がある。ゼラフは体力はそこそこに、魔力量が無限。でもカシュのほうが体力があるため、魔力切れが先か体力が尽きるのが先かの消耗戦になってしまいそうだ。
「練習付き合ってやろうか?」
「上から目線だね。でも、時間が空いたらお願いしたいな。ああ、でもフィルに見つからないようにね」
「子どもの前で負けたくねえからか?」
「何で俺が負ける前提で話が進んでるんだよ」
「自信がないやつに負けるほど、俺も落ちぶれてねえんだよ。結構俺、根に持ってんぜ?」
「何を」
俺が聞くと、ゼラフは立ち止まった。
先ほどまでツンツンと俺の頬をつついていた指が離れていく。
「モントフォーゼンカレッジの剣魔大会のこと」
「あ、ああ……すごく、昔だね」
口から出た言葉はとても陳腐なものだった。
言われてようやく思い出が引っ張り出される。そこにタイムラグがあり、年を取ったかも……なんて悲しい気持ちになる。
剣魔大会――モントフォーゼンカレッジの伝統行事で魔法科で殿堂入りを果たしたゼラフは、騎士科のトーナメントに出場していた。それが三年生の時だ。四年生は俺たちが留学に言っていたため参加できていないのだが……その時の話はあまり聞いていない気がする。
とにかく彼が言いたいのは、その三年生の時の大会のことだろう。俺が刺客に襲われて撃退したあと、いろいろあってセシルが不戦勝になったやつだ。
あの時も俺はゼラフに舐められていた。もっともそれはトーナメントが始まる前の話で、セシルとぶつかることを知ったゼラフは俺が負けるだろうと予想していた。それがとてもムカついて絶対に倒す、的なことを言ったのをうっすらと覚えている。でも、結果的に俺は棄権。その後、ゼラフとセシルが戦い、見事セシルが勝利を収めたのだ。
とても懐かしい。
ゼラフがその時のことを覚えていたなんて意外過ぎるけど。
「ニルと戦ったことねえんだよな。同じ学科でもあるまいし。だからあのチャンスを逃したこと……ず~っと不満なんだよな。最も、お前が皇帝陛下を倒して上がってくるとは思ってなかったけど」
「結局酷いことを言っているのに変わりないよ。何でそんなこと言えるのさ……君、俺のこと騎士団長の息子だ~とかいって煽った癖に」
「あんときは悪かったよ。子どもは子ども、親は親。血がつながってても一緒じゃねえよな。似てる部分はもちろんあると思うぜ? あのどっかの親子みたいに」
「……似てるけど、違うよ。子どもは親の言いなりにならなきゃいけないものじゃないし。それに、彼は最後の最後で親を裏切ったし」
ライデンシャフト侯爵家のことを言っているのだろう。
あの大会で俺を狙ったのはリューゲだった。俺と戦ったあと、すぐに行動に移していた。命令だったからか、それともちょっとした腹いせだったのか。本人がいない今となってはすべて闇の中に葬り去ら入れてしまったけど。
「あの頃だったら、セシルか俺……どっちが勝つか分からなかったと思うよ。今はすごく悔しいけど、セシルと戦ったら負けるだろうし。も、もちろん、やってみなきゃわからないよ。最初から負けを口にするなんて元騎士として誇りが……」
「強がる必要はねえだろ。現状を理解してるのも大事だぜ」
「……ありがと。いつか手合わせしてね。それまでに練習しておくから」
「楽しみにしてんぜ? 近いうちに、な」
少しだけ間を空け、寂しそうに瞳を揺らした後、ゼラフは俺の頭を撫でた。
見上げれば、彼の顔はまだ殴られたところが赤かったが、その赤みも少し引いているような気がした。やっぱり、どれだけの力でなぐられたんだって話なんだけど。
俺は、彼の殴られたほうの頬に触れる。すると、ゼラフは自らその頬を俺に差し出した。
「ん~やっぱり、気にしてくれんじゃねえか。俺に触れてもいいのか? 何するか分からないぜ?」
「何もしないよ。君はリスクあることはしない」
「分かってんじゃねえか。生殺し過ぎて、下半身いてえ」
「変なこと言わないで。品がないよ」
「なくていいんだよ」
いや、ダメだ。一応腐っても公爵なのだから。
ヴィルベルヴィント公爵は、よくこの自由奔放な彼を党首にしたと思う。歴史の長い家なのに……という言い方はあれか。彼は貴族だが、貴族らしからぬ生き方をしている。でも、それで誰かに迷惑をかけていないのだから、彼の勝手だ。
俺が優しく彼の頬を撫でていると「ニル」と、名前を呼ばれる。しかし、その声は二つ重なっていた。
「ニル」
「セシル……」
「遅かったじゃないか」と言おうとして、彼の殺気を真正面から浴びてしまう。
ちょうど角を曲がったところでセシルと出くわした。まだ距離は数メートルあるのだが、それでも殺気が一瞬にしてぶわっと広がる。俺に向けてではなく、俺が触れている彼へ対しての感情だ。でも、とばっちりを受けてしまう。
サッと手を下ろそうとしたが、案の定ゼラフに掴まれてしまう。すると、さらにセシルの憤怒が燃え上がる。
「ゼラフ、いいことないと思うよ」
「ニルは俺が萎えること言うの上手くなったじゃねえか。でも、残念だなあ? さっきも言ったろ。楽しいことが好きなんだよ」
「……どうなっても知らないよ。そっちの頬も酷いことになるかも」
俺は知らないからね、と言ってため息をつく。それから、セシルのほうを見た。
セシルはあっという間に距離を詰めると、俺の手を掴んでいるゼラフの腕に手を伸ばした――が、寸前のところでゼラフに受け止められてしまう。
「おぉ、つえぇ。気を抜いちまったら、その握った拳が顔面にめり込んじまうな」
「これでも加減してやってるんだ。万が一、この拳がニルにぶつかったら大変だからな」
「じゃあ、手ぇ下ろせよ。そしたら解決する話だ」
「断る。貴様は殴らなければ気が済まない」
「すぐに暴力に走る男は嫌われんぜ~? なあ、ニル。今からでも遅くないから俺に乗り換えろよ」
「ヴィルベルヴィント、貴様まだ言うか!!」
また始まった。
二人に挟まれる俺の気持ちを考えてほしい。いつか、二人にバチバチやりあっている人間同士の間にスッと入れてあげて、俺の気持ちをわからせてあげたい。
俺は、セシルにただいまをいう隙すら与えられず、ぶつかり合う火花にあちっとなりながらため息をついた。
でも、いつもの光景に俺は安堵も覚える。ひと段落したのだな、とちょっとだけ肩の力が抜けた気がした。
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