みんなの心の傷になる死にキャラなのに、執着重めの皇太子が俺を死なせてくれない

兎束作哉

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番外編SS

使い方これじゃないっていったよね?◆

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「ちょっと、セシル。この使い方はダメなんじゃないかな」
「怒ってるな」
「怒ってないように見えたら逆に怖いんだけど」


 サマーホリデーに入りまだ数日も経っていない。寮にものをとりに行ったのが、ついこの間だった。そんなとき、あの悪夢再来の出来事が起こった。

 サマーホリデー期間は皇宮のほうで鍛錬と、勉強と……いろいろあるため、学園からはそれはもう重い荷物を持って帰ってきた。そのうえで、あいさつ回りや、これまでの報告などを済ませ、昨日は疲れたまま、セシルの部屋で倒れるように寝てしまった。そして、目が覚めたら俺の足はあの枷でつながれていた。

 セシルはベッドの上でうーんと顎に手を当て考えるように俺を見ていた。別にこの枷はセシルの部屋内であれば自由に行き来できるので、ベッドから俺は降りることはできたのだが、なんとなく、降りても引き戻されそうだったので動かないようにしていた。何を考えてこんなことをしたのか聞きたいが、セシルは黙って俺を見つめるばかりなので、聞くタイミングを掴めずにいた。
 俺たちは、まだ親には話していないが恋人同士になった。バレている人にはバレているので、父には「早めに相談するように」と帰ってきたときに肩を叩かれてしまった。いつ、どのタイミングで気付いたのか、それは父としてありな関係なのか。それも聞きたかったのだが、聞き出せず、というかセシルのせいで動けずに俺は朝から彼に拘束されている。
 ヤンデレセシルがまた顔を出したのかと思ったが、彼の顔は依然として普通のままだ。ただ何を考えているのかさっぱりわからない顔で俺を見ている。もしかしたら、この顔は何も考えていないのかもしれないとすら思えてきた。


「これ、ちぎれない?」
「やってみてもいいが、無理だな。頑丈に作ってあるからな」
「あっそう……」


 試しに思い切り引っ張ってみたが効果がなかった。魔法で解除は、魔力をそこまで使わないし……と、試みたがこれもだめだった。やはり、鍵開け……針金で鍵穴を弄らなければあかないのだろうか。それか、セシルが今そのズボンに入れているカギを奪うか。


「それで? 俺に枷をはめて何がしたいの? まさか、サマーホリデー中ずっと軟禁されろっていうわけじゃないよね」
「さすがにそんなことはしない。サマーホリデー明けに野外研修があるからな。そのために体力づくりをするつもりだ。もちろん、ニルと」
「そうだよ。だから、外してほしいんだけど。一分も、一秒も無駄にできないでしょ?」


 と、俺はいってみるが、セシルは何を思ったのかズボンの中に手を突っ込んで鍵を遠くへと投げてしまった。そこは、ぎりぎり俺につながれている枷でいけない場所で届かないところだった。


「な、何のつもり?」
「せっかく、だ。だから、その……」
「……セシル、さすがに、俺はそういうプレイまだちょぉーと早いかなって思うんだけど」


 言わんとしたいことが分かった。

 抱きたいとか、ヤリたいとか恥ずかしくて言えないタイプなのだろうか。しかし、そんな乙女のような顔をされてもわかる。彼の夜を詰め込んだ瞳には熱と欲が渦巻いており、今すぐにでも俺を抱きたいというのが嫌でも伝わってくるから。頬を少し染めて、俺に同意を求めようとしてきた。
 だが――!


(拘束プレイっていきなりレベルが高すぎるよ。セシル!!)


 俺はプレイに関してはわりかしノーマルなタイプというか、好きな相手とつながれるならそれをよしとするタイプだ。だから、まさかセシルがそういう趣向を持ち合わせていたなんて知りもしなかった。いや、親友の性癖を聞くほうがどうかしているのだろうが。
 いや、そもそも、前もって教えてくれ! といえるような内容でもなく、今発覚して、俺もあせっている。だが、セシルは前々からこれがしてみたかったというように、そわそわとしているのだ。いったい、彼はいつ性癖がねじ曲がったのか。


「ダメか?」
「ダメじゃない……けど! セシル、そうやって目を輝かせても、ちょっと、今は、今はね!」


 朝だし。
 いや、問題はそこじゃないんだろうけど。

 心の準備ができていない。拘束プレイをするような思い切りが俺にはない。だが、逃げようにも枷をはめられてしまえば逃げられないわけで、俺はただ食われるしかないのかとすら思う。まあ、この枷は長いので拘束プレイといってもただつながれているだけの普段通りのプレイになるのかもしれないが。
 セシルは、しゅんと耳を下げるようにし、こちらを見つめてきた。


「嫌か?」
「……い、嫌だとかじゃなくて」


 と、言ったときに彼の尻尾がゆらゆら揺れたのが見えた。ゆらゆらじゃない、きっとブンブン振り回している。
 ああ、彼はどうしても俺を逃がさない気だ。もう、外堀を埋められてしまえば俺に逃げ場はなくなるわけで。それに、俺だってセシルとそういうことをしたいという欲はあるわけで……いやでも! 流されそうになる。


(これはちょっと早急すぎやしませんかね!?)


「いや、ほんとね! セシル。いつからそうなっちゃったの!?」
「いつからだろうな。だが、この間、ニルを軟禁したときに衝撃を受けた。鎖でつながれるお前の姿を見て……そこから、目覚めたのかもしれない」
「あ~~~~手遅れすぎて、何も言えない」


 本当に救いようがなかった。俺が生死の狭間をさまよって、セシルの情緒が不安定になったときだ。しかも、あのとき、といわれてしまえば、それはもう俺のせいではなくセシルのせいだ。勝手に軟禁したセシルが、勝手に性癖をこじらせただけだと。


「それで、ダメか?」
「うぅ……痛いのとか、なしだよ。俺は、いたってノーマルなんだから」
「そうか」
「いや、何でちょっと悲しそうなの?」


 うきうきで、拘束プレイしたい! といってもらいたかったのだろうか。俺がそんなMに見えるのだろうか。
 わからない。ただ、プレイ決行に同意してしまったので、もう後には引けないと思った。セシルと恋人同士になれたことは、俺もちょっと浮かれているし、彼の願いは全部かなえてあげたいくらいには、俺だってセシルのことが好きなんだ。だから、彼の特殊な性癖もすべて包み込んであげようと思ったのだ。
 今のところ、枷がはめられているのは足だけだし、これくらいなら……と、思った俺がばかだった。


「今度は、ニルの好きなプレイをしよう。それでチャラだ」
「チャラって……っ!?」


 ふいっと指を動かしたかと思えば、しゅるりと俺の手にリボンが巻き付く。それは俺の手を拘束し、ベッドの柵に括り付けられる。慌ててたじろいだが、先ほどまで長かったはずの足枷の鎖が短くなったような気もして、動きにくかった。


「セシル、まっ!」
「暴れるな。痕が残るぞ」
「いや、残るなら外してって……」


 聞いてない。そんなことを思っていると、セシルは俺にキスしてきた。軽く触れた唇は濡れていて、少し熱い。
 セシルが近くにいると、彼の鼓動が聞こえてくるようで、ドッドッドと自分もそれに呼応するように心臓が脈打つ。もう、プレイは始まったのか、なんて役者じゃないんだから演じる必要はないのに、身構えてしまう。セシルの理想のプレイを提供してあげたい、なんていう俺のちっぽけな従者心というか。恋人心か。
 セシルとのキスは長く、そして優しく溶けるようだった。激しいキスではなくて、ついばむような。何とも言えないもどかしい刺激が唇をふやかしていく。
 そんなキスをしながら、セシルは俺の服をプチプチと外し、あらわになった俺の肌に手を置いた。


「すべては脱がせないな」
「当たり前でしょ。拘束されているんだから。引きちぎって脱がそうとしないでね」
「さすがにしない。だが、着衣プレ……はだけているのもなんだか、そそるな」
「新しい、扉開かないで」


 拘束されているせいで中途半端にしか服が脱げない。汗で張り付いた布をすべて取っ払いたいが、脱ぐことはできず、下だって足かせをはめているせいで、脱げない。考えればわかることなのだが、セシルはそうか、と今気づいたようにポンコツ具合を見せる。
 だが、それに興奮したと、主張した俺の突起をぎゅっとつねって、もう片方に舌を這わせたぬるっとしたセシルの舌に、俺の身体は正直にピクッと動く。


「あっ……ん」
「感じるか?」
「そ、んなこと聞かなくてもわかるでしょっあぅ!」


 乳首の先端をねっとりと舌先で弄りながら、セシルは俺の身体を愛撫する。いつもなら、シーツを掴んだりできるのだがそれができず、刺激がダイレクトに伝わってくる。直接脳に響くような刺激を、逃がすことはできずに、体をよじるしかなかった。しかし、その自由さえも許されない。


「もう、勃っているな」
「い、つもより、刺激が、強くてっ……」
「かわいいな。ニル」
「なーにが、かわいい、だぁっ……ああっ」


 足枷が俺の足を閉じないようにしてあるから、必然的に刺激が逃げられずセシルの愛撫を受け止めてしまう。乳首を口に含みながら、俺の下半身へと手をかける。もうすでに勃起しているそれをズボン越しにゆっくりとなぞる様にして触れてきた。そのたび、ピクン、ピクンと自分でもわかるくらい反応してしまって恥ずかしい。
 手で口を押えることができず、漏れる声を必死に噛んで殺す。だが、あまりの刺激に口は開きっぱなしになり、嬌声が漏れ出る。


「あっ……ん、あぅ……」
「気持ちいいか?」


 そんなの聞かなくてもわかっているくせに、と俺はキッと彼をにらんだ。しかし、彼はどこ吹く風で、俺を見つめ返すだけだった。
 快楽に耐えていると、ズボンは剥かれ下着があらわになる。といっても、すべてをずらせるわけではなく、中途半端に、ズボンは足に引っかかっている感じで気持ち悪かった。
 セシルはするりとそこに指を這わせて、ゆっくりと輪郭をなぞるように触る。少し硬くなったそれを、布越しに刺激し指ではじくのだ。直接触ってほしいのに、セシルはまだ焦らす気だ。そして、そのもどかしい愛撫に俺の腰も自然と動いてしまう。もっと強い快感が欲しいと身体が勝手に動くのだ。しかし、それはまだお預けのようで、俺はまたキッと彼をにらみつけた。


「セシル!」
「布越しでも、糸をひいているな。気持ち悪いだろ、脱がしてやる」
「だから、脱げないんだって最後まで!」


 最後まで、というとセシルは「そうだな」と思い出したように俺の下着をずらす。やっぱり、中途半端にしか下がらなくて、気持ち悪かった。だが、外気に触れた俺のそれは、たらたらと先走りを垂らしながら、上を向いている。まるで、セシルに主張するように。
 そんな主張が、セシルを駆り立てたのか、彼はそのまま自分の口へと俺のそれを持っていく。


「まって、まって!! 今、舐められたらぁっ!」


 俺はあまりの刺激に頭が真っ白になる。生暖かいものがねっとりとした感触とともに俺を襲う。彼の熱い舌が、裏筋を舐め上げるように動き、そして亀頭を口に含みながら舌で先端をつつかれる。逃がすことのない刺激はダイレクトに脳を焼いてくる。そして、破裂しそうなそれは、待ったをかける余裕もなく暴発してしまった。


「……~~~~っ!」


 勢いよく飛び出たそれは、セシルの白い肌をさらに白く汚した。
 さすがに、皇太子に……いや、恋人に何も言わずに顔射なんてと血の気が引いていく。自分ではどうにも止めることができず、イクとも口にする暇もなく、出してしまった。
 セシルは白濁とした液をぬぐうと、俺にその指をくわえさせるように入れてきた。青臭い匂いに、俺は眉をひそめる。しかし、それを彼は嬉しそうに見つめて、俺の舌に指を絡ませた。


「んっ……んぐ」
「……濃いだろ?」
「さい、あく……」


 濃いだろじゃない。おいしくないし、自分の精液なんて舐めたくない。
 確かに、濃いというか濃縮されてるみたいな感じはあるけれど、そうじゃない。そうじゃないんだ、セシル……と、俺はむせながらセシルのほうを見た。


「ごほっ! てか、いや、ごめん! ほんとごめん! 目とかに入ってない?」
「ああ、大丈夫だ。それに、別に嫌だとは言っていないだろう。それくらい気持ちよかったってことだろ? すぐにイクぐらい」
「そりゃ、抵抗も何もできませんでしたからねぇ……セシルさん」


 誇らしげに笑うセシルの顔が気に食わなくて、俺はプルプルと体を震わせながら言ってやるが、セシルにはノーダメージだったようだ。
 俺は、ものの数秒で射精したことと、親友であり恋人であるセシルの顔に顔射したという二つの罪悪感に襲われて死にそうだった。顔を隠すこともできないし、真っ赤で無様な顔をセシルにさらすことになってしまった。それをじっと見るセシルの夜色の瞳が俺を射抜く。


「恥ずかしすぎてしぬ……」
「死ぬな。軽々しくその言葉を口にするな、ニル……だが、まあ、今のはよかったぞ。俺は、ニルのかわいい顔が見えて嬉しい」
「嬉しくないし、かわいくもない! セシルのアホ、バカ……うぅ」


 穴があったら入りたいとはこのことか。とにかく恥ずかしくて死ねる。もういっそ殺してほしいとさえ思った。
 だが、セシルはそんな俺を気にした様子はなく、むしろ嬉しそうにしているから始末に負えない。気持ちよくなかったわけじゃないし、実際にイったのだからまぎれもなく気持ちよかったと、隠すことはできない。


「次は俺の番だな」


 そんな声が聞こえたかと思えば、彼はカチャカチャとベルトを外し、俺の身体をひっくり返した。一瞬何が起こったのか理解できずに振り向こうとしたが、身体が思うように動かなかった。


「へ?」


 そしてそのまま、俺の腰を持ち上げる。まるで、お尻を突き出すような格好に、俺は何が起こるのかが想像できた。


「ちょ! セシル!」
「大丈夫だ。痛くはしない」
「いやそういう問題じゃ……っあぅ!」


 もうすでに硬くなっているそれを、俺の後孔に擦り付けてきた。ぬちぬちといやらしい音を立ててこすりつけてくるそれは、俺の中に入ってくることはない。ただ、その熱の感覚は俺をさらに興奮させた。
 俺は前からが好きだから、何をされるかわからないこの状況に恐怖と、困惑……けれども、わからないからこその興奮を感じておかしくなりそうだった。顔が見てやりたい。でも、拘束されている今は抵抗という抵抗ができないのだ。
 いまだに、快感を逃すすべはない。


「まっ、てっ……まだイッたばっかで、つらいからぁ! ちょっと、タイムで。ね?」
「俺はもう限界だ。ニルが可愛すぎて」
「かわっ! かわいいとか、ないからぁっ……」


 セシルのそれは、俺の後孔にこすりつけられ、そしてゆっくりと離れていく。その感覚にもどかしさを感じつつも、俺は必死に声を殺した。だが、そんな努力は無駄のようで、彼はまた俺の腰を持ち上げると今度は彼のそれをあてがい、そのままずぶりと中に入ってきた。タイミングがつかめなかったため、一瞬だけ呼吸が止まる。


「あぁっ! はぅ……」


 ゆっくりと入ってくるそれを、まるで中へ中へと招くように締め付けてしまった。彼にもそれが伝わったのか、俺の背中にキスしながらゆるりと腰を動かす。また、ピリピリと脳が焼かれていく。


「んぁっ……あっ」
「痛いか?」
「い、たくはないけどっ。顔、見えないから、さみ、しっ」
「かわいいこというな。だが、少し、このままで――ッ!」


 先ほどやられたばかりなので、まだつらいかもしれないと、セシルは少し動きを止めたがすぐにまた動き始める。今度はさっきよりも少し早く腰を打ち付ける。その刺激に俺は声を抑えるのに必死だった。
 パンパンと肉と肉がぶつかり合う音、ぬちぬちと彼のそれが後孔から出入れされる音が俺の耳を犯す。まるで女の子にでもなったかのように、甘い声しか上げられず、はしたないと思った。だが、それですら興奮材料であるのかセシルの動きは速くなる一方だ。そして次第には俺は声を我慢できなくなっていた。


「あっ、ひ……いっ、ダメ、いったん、いったんとまって、セシルッ!」


 快楽に脳の処理速度が追い付かなくなったかのように、頭が真っ白になる。快楽を逃すすべはない。
 中を抉られ、気持ちいいところを掠めて押し上げて。奥へ奥へと入ってくるセシルを、俺は押し返すこともできなくなっていた。


「ニルの中は熱いな」
「うぁ! そこ、だめっ……でちゃ、でちゃうからぁっ!」


 セシルの指は俺のペニスに絡みつき、後ろと一緒に擦りあげてくる。ただでさえ辛いというのに、前も弄られたらどうなるかわからない。すぐにでも出てしまうと焦っていれば、彼はさらに激しく中を刺激してきた。


(クソ、こいつ聞いてないし……!)


 こっちも気持ちいけど、話くらい聞いてほしい。
 ぐりっと弱い部分を刺激され、そして前をぎゅっと強く握られる。気持ちよくしようとしてくれているのはわかっていても、それがかえって毒なのだ。これ以上の刺激はいらない。それに、後ろからはやっぱり嫌だった。拘束よりも、俺はセシルの顔が見えないのが嫌だ。


「な! んでぇ……っ、セシル、顔、顔見せて。やぁだあっ! 顔見えないの、怖い、から! せしるっ」
「……っ! ニルはずるいな」


 ずるりと後孔から抜かれ、俺の身体はぐるっと反転させられる。正面に彼の顔を見れば俺は心から安堵したように微笑んでしまった。セシルも苦笑し、そしてそのまま優しくキスをしてくれる。
 必死になった、真っ赤な顔は俺しか知らないセシルの、俺にしか見せない顔。


「ごめん……セシルの、したいこと、させてあげたいのに。俺っ……」
「いや、俺に付き合ってくれているんだ。こんなのわがままのうちにもはいらない。それに、かわいすぎて、今は抱き着いてほしいとさえ思う。これも、俺のわがままだな」


 そう言うと、彼は俺と真正面から向き合う体勢にし、ずぶりとまた挿入した。セシルに抱き着くように、リボンの拘束は形を変えて、セシルの頭の後ろで再び拘束される。密着しすぎて、これはこれで恥ずかしいし、やはり自由に快楽を逃すことはできない。
 でも、さっきみたいに顔が見えるのは安心する。ぎゅっと彼の頭を抱きしめて、セシルから与えられる刺激に喘いだ。今度は彼に抱き着きながら、嬌声を上げ続ける。セシルの腹に自分のそれをこすりつけてしまって、それもまた気持ちよくて腰が止まらない。


「あっ……あぅ! いいっ……」
「んっ……はぁ、俺もだ」


 強く抱きしめあいながらするセックスは気持ちいいし心地が良い。何度目かわからない絶頂に達しそうになっても、俺はそれを我慢した。
 もう何度もイキっぱなしだからいい加減辛いが、それでもまだこの快楽に浸っていたくて、ぐっと我慢する。だが、セシルの腰は止まってくれなかった。いつもより余裕がなさそうな顔に、彼の限界も近いのだとわかる。


「せ、しるっ、いっしょに……っ」
「ああ、わかった。ニルの中が良すぎてもう我慢できそうにない」


 セシルの腰の動きが速くなった。ずんずんと激しく中を突き上げられ、そして俺のそれは強く押しつぶされる。前も後ろも責められて、俺はまたすぐにでもイッてしまいそうになった。


「あっ……あぅ! ああっ!」


 もう抵抗する気力もなく、彼にされるがまま揺さぶられ続け、そうしてようやく彼は俺の中に熱いものを放ったのだ。と同時に俺も全身を痙攣させ果てた。中からセシルはゆっくりと引き抜いて、ふぅ、と息を吐く。セシルは俺の中からこぼれてくる精液を見て、また興奮しそうになったのか、それを見ないようにすぐに俺の足を拘束していたリボンを解いた。
 そして、俺はそのまま彼の胸の中に倒れこむ。彼は優しく俺を受け止めてくれたが、その刺激でまた感じてしまったのがばれて恥ずかしかった。身体に異常なまでに蓄積した快楽は、いった後もピクンピクンと痙攣をおこさせる。


「まだやるの?」
「いや、今日はこの辺で。また、使えるな」
「もう、使わないで。あの足枷も、魔法も禁止!」


 枷を外すよう命令しながら、俺はそのまま彼にもたれかかるように体を預ける。すると彼は優しく俺の頭を撫でてくれた。セシルの趣味に付き合った俺を褒めてほしいくらいだ。だが、いろいろと文句を言う体力も残っていなかったので、俺はそのまま目を閉じる。

 次起きたとき、あの足枷がセシルの部屋から出てきたのはまた別のお話だ。

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