みんなの心の傷になる死にキャラなのに、執着重めの皇太子が俺を死なせてくれない

兎束作哉

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第4部2章 炎の王女と氷の騎士

04 君に返すよ◆

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(人間、だったんだよな……)


 刺客として襲ってきたし、倒さなければ俺たちが殺されていただろう。
 明確な殺意を持って襲ってきた相手だ。慈悲をかける必要もない。なのに、最後に聞こえてしまったそれは、人間のもので、誰かによって体内に打ち込まれた血がこの怪物を作り上げ、人間としての理性すら奪ってしまったのではないかと。
 すべて憶測にすぎないが。
 もしそうだったとしたら、助けられたんじゃないかと。過ぎ去ったことを考えても仕方がないのだが、モヤッとする部分があったのは確かだ。


(はあ~~~~てか、派手にやっちゃったな)


 俺のドレスにも、二人同様、べったりと返り血がついていた。鉄臭いというより、その血は生臭かったし、早くシャワーを浴びたい気持ちでいっぱいだ。それで、どうしたものかと剣をしまいながらつけていた手袋を外した。
 報酬とか言っていたけど、これじゃあ、もらったとしても二度と着れない。


「ニル、大丈夫か」
「いや、俺がとどめ刺したの見てたでしょ……てか、あードレスが」
「……残念だが」


 と、セシルは俺が脱いだ手袋を優しく俺の手から引き抜いて、シュンと頭を垂れた。

 怪物を無事に倒せたことよりも、セシルは報酬といわれていた俺が着ているドレスが汚れたことが気に食わないらしかった。
 このまま戦うんだから、そうなっても仕方がないだろうといいたいのだが、かなり傷ついている様子なので、俺が何か言ってさらに傷付けたら申し訳ないと黙っていることにした。


「はあ……ニルのドレスが」
「俺のドレスっていわないで。てか、もう終わったんだし、着替えたい……多分、いないよね、他に刺客は」
「ああ、気配も感じないから、すべて終わったのだろう。はあ……」
「ちょっと、セシル、ため息多いって! れ、レティツィア。俺は、君を守るってその約束、果たせたかな」
「もちろんです。ありがとうございました。さすがに、最後のあれは、一人では対処しきれなかったでしょうし」


 レティツィアは顔についた血を拭いながらこっちにやってきた。
 本当に、王女らしからぬというか、血がついても恐れることがないし、ドレスが派手に焼けこげても恥ずかしがる素振りも見せない。
 この国のすべての女性が、レティツィアのような勇敢で、たくましすぎるわけじゃないだろうから、やっぱり彼女が少し変わっているのだろうか。

 ――約束は果たせたかと聞いた手前、結局俺一人で対処することもできなかったのだから、これでよかったのかといわれたら、俺的には微妙だ。

 セシルの力も借りてしまったし、何ならレティツィアも前線に出て戦っていたし。
 とはいえ、三人がかりでなければ勝てなかった相手ではあったわけだ。三人の連携があってこその結果。誰かがかけていれば、きっと大けがをしていただろう。


「それで、結局、なんだったんだあれは」
「フィアンマの血を取り込んだ元人間です。セシルさんとニルくんも、何やら魔塔とのつながりがあるみたいですが、私も実は……という感じで。これには、王家の歴史というか。魔塔から王家が狙われる理由となっているあることが問題にありまして」
「端的に言うと、なんだ」
「……フィアンマの体の一部を王家が所有しているのです」
「は?」


 俺も思わず、耳を疑ってレティツィアを見た。
 彼女は、言いにくそうに視線を泳がせていたが、何やら聞いてはいけないことを聞いてしまったようで、俺はセシルと顔を見合わせた。
 これは深い事情がありそうだ、と分かったのだが、わかった手前、話が長くなりそうだなということも同時に理解してしまった。
 この夜が明ける前に、その話が終わるかどうか。また、日が昇ってからでも遅くないのではないかと思った。今は、ただ倦怠感でいっぱいで、一刻も早くこの血を落として眠りにつきたい。

 いや、どちらかといえば――


「まさか、不適合者まで送り込んでくるとは思わず……いつもの嫌がらせだと思ってたんですけどね。そのせいで、お手を煩わせる結果となってしまい」
「ドレスが」
「セシル、いいって」
「そう! ドレス! 申し訳ないので、気持ち程度ですが」


 と、レティツィアは深々と頭を下げ、詠唱魔法を唱えた。すると、俺の身体の周りに彼女の瞳に酷似した夜明け色の魔法陣が現れ輝きを放つ。いったい何をすると言うのだろうか、と思えばその魔法陣が俺を包み込み、次に目を開いたときには先ほどよごれ、見るもむごいことになっていたドレスが瞬く間に元通りになってしまった。


「ふぅ……うまくいってよかったです。もう少し、遅かったら元通りに戻せなかったかもしれませんから」
「レティツィア……」
「すごいな。物体にだけ作用する時間魔法か。しかも、高度な」
「お見事、その通りです。セシルさん。我が王家の得意とする魔法は火と時間を操る魔法。その中で、火……炎と突出した魔法を使えるのは私だけです。なので、本来はこっちが本分。まあ、私は時間魔法なんてこれっぽっちしか使えませんが」


 あはは、とレティツィアは笑いながら頭をかいていた。
 にしても、物体だけに作用するとはいえ、数分魔の状態にきっちりそのまま戻せる力なんて珍しいだろう。王族様様といったところか。
 レティツィアはそれに加えて炎の魔法も。

 セシルの服も元通りになっており、後は血を拭えばきれいさっぱり元通りだ。そう思っていれば、セシルが俺の頬についた血を拭い取り、自身についた血は魔法で拭きとっていた。そういえば、セシルは物理面によく目が行くが、魔法の才能もかなりのものだった。
 魔法が制限されていなければ、俺もそれくらいは可能なのだが……今俺が彼らに与えられ、誇れるものといえば剣の技術くらいか。だが、物理特化な二人を見ていると、俺はいらないんじゃとすら思う。
 肩を落としていると、遠くからようやく騒ぎを聞きつけた巡回兵がやってき、レティツィアの名前を呼んでいた。


「王家の話は、後日します。セシルさんにカギは渡してあるので、今夜は好きなようにお過ごしください」
「ああ、そうさせてもらう」
「セシル……? うわぁっ!?」


 ふわりと、身体が持ち上げられ、俺はあっという間にセシルにお姫様抱っこされてしまった。
 レティツィアはひらひらと手を振って、巡回兵を自ら出迎えに行くようだった。
 いつの間にカギを、と思いながらも、顔をあげれば優しく微笑んでいるセシルの顔があり、夜空色の瞳と目があった。その瞳を見ただけで、あれこれとかんがえていたことがすぅっと自分の中からきえていくのをかんじる。何か考え事をするだけ無駄だな、と俺はセシルの首に腕を回し、それっぽく抱き着いてみた。


「大胆だな」
「……レティツィアがわざわざ俺たちを逃がしてくれるんだから。これくらい……早く連れて行ってよ、するんでしょ?」
「よくわかってるじゃないか……愛させてくれ」
「キザな言い方」


 誰も見ていないからとキスを交わし、俺はそのままセシルに連れられ、レティツィアが自由に使っていいといった部屋に移動した。
 部屋は内側からカギをかけられるようになっており、何重にも防御魔法が張ってある部屋だった。だが、大きな窓からは月明かりが差し込み、証明がいらないくらいには部屋の中に光が満ちていた。
 キングサイズのベッドに、俺はゆっくりと下ろされ、上着を近くの椅子に投げ捨てながらベッドに上がってくるセシルを見ていた。


「勿体ない」
「動きにくいだろ? ああ、ニルはダメだ。俺が脱がす」
「やっぱ、ちゃっかりしてる」


 レティツィアもここまで気を使わなくていいのに。
 セシルは、俺の頬を撫で、さらりと俺の前髪をどかすと額に優しく口づけた。くすぐったい、と身をよじればセシルはくすくすと笑う。


「何がおかしいのさ」
「いや? 見れば見るほどきれいだと思ったんだ。似合っている……元通りになってよかった」
「本当なら、ここでもっと考えなきゃいけないことが多くあると思うんだけど」
「後日といっていただろ。今は、俺に集中してくれないか」


 セシルは、俺のドレスの中に手を滑り込ませ、ガーターストッキングの紐をスッと取り外した。あまりにも手慣れた手つきだから、さては女性経験があるな、と睨みつけてやると、セシルはフッと笑うばかりで手を止めようとはしなかった。


「慣れすぎ」
「なんとなく、感覚でやっているだけだ」
「てか、やっぱりドレス姿の俺に見惚れてんじゃん。俺が女の子だったらよかった?」


 卑屈な自覚はあったが、いつもより興奮しているのは事実で、セシルはこういう趣味があるのか、俺が女の子だったらもっと興奮したのか気になってしまったのだ。否定してほしいわけじゃないが、なんだかなーなんて思ってしまう。
 しかし、セシルはぴたりと手を止め、俺を見下ろした。


「ニルだからいいといっているんだ。今のニルが、ニル・エヴィヘットであるお前がな……先ほど会場で声をかけてきた男は気づかないようだったが、どれだけドレスで着飾ろうが、鍛え上げた体は隠しきれない」


 俺の顔の輪郭をなぞり、首に手を這わして、鎖骨、胸、腰……と、セシルはゆっくりと手を滑らせていく。


「肩幅も違うだろう? お前はあまり筋肉がつきにくい身体だが、このドレスの下の腹筋は男性特有のものだ。それと、腰、脚……太ももの筋肉のつき方に、発達したふくらはぎ。ああ、この足の形もそうだな。腰のくびれだって、女性のものとはわけが違う」
「く、くすぐったい」
「もちろん、身体だけがニルのすべてじゃない。その引き締まって努力の見える肉体に宿る精神が、お前をお前たらしめるものだ」
「つまりは、男の俺がいいってこと?」
「性別は些細な問題だ。まあ、でも、しいて言うなら男か……いや、今のニルが好きなんだ。鍛えた後が見えるその体は、何物にもかえられないものがある。俺のために鍛え上げてくれた身体だと思うと、なおさら興奮する」


 俺の背中のコルセットのひもを緩め、するすると取ってしまったセシルはほどけたリボンにキスを落とす。はだけた、胸元に手を忍び込ませ、俺の胸の飾りをきゅっとつまみ上げた。


「ひぅっ」
「慎ましやかな胸も好きだ。小さくて、でも主張してくるピンクの胸がたまらなく愛おしい」
「……恥ずかしいから、いちいち言うな」
「また、ニルが俺にはよくわからない嫉妬をしているみたいだったからな。しっかりと口にしようと思ったんだ」
「もう、しない。嫉妬しないから」


 ドレスはただの布切れになってしまう。
 セシルは、片方の胸をつまみ、もう片方の胸の先を指先でピンピンと弾いていた。与えられる二つの刺激に、腰が浮く。
 触られただけでこんなことになってしまう身体は、もうセシル無しではきっと快感を得られない。


「まあ、俺が一番興奮したのは、慣れない服を着て恥じらうニルの姿だな」
「せ、性癖が曲がりすぎてる……っ、あ、セシル。ちょっと」
「……っ、少し席を外していたが、ドレスの下の下着は女物なんだな」
「さっき、ガーター外した時に気づいてよ」
「だが、はみ出たそれは男のもの……こんなにも、糸を引いて。ニル、お前も興奮しているだろ?」
「言わせんな、バカセシル」


 薄い布を押し上げ、与えられた刺激に俺のペニスは戦慄いていた。
 もじもじと太ももを擦り合わせ、俺はセシルの首に腕を回す。


「積極的でいいな」
「……早くして。てか、やっぱり、動きにくいから、ドレス脱ぎたい」
「それはもったいない。ああ、今度、メイド服でもきてくれないか? 宮廷メイドの服を何着か借りよう」
「ご奉仕させたいの?」
「よくわかったな」
「変態、セシルの変態、むっつり」


 俺なら、何でも望みをかなえてもらえると思っているのだろうか。半分正解だが、俺にも羞恥心というものがある。
 しかも、ただでさえ俺たちは主従関係であるというのに、今度はメイド姿に……少し想像したが、ちょっと乱暴にセシルが俺に奉仕させる姿が浮かんでしまい、さらにキュンキュンとお腹が疼いた。俺も、かなり変態だと思う。
 セシルは、名残惜しそうに、俺のドレスをすべて剥ぎ取って、下着もゆっくりとずらし、ベッドサイドに投げ捨てた。
 そして、俺の脚の間に身体を滑り込ませると、自分の服も脱ぎ始める。普段あまり見慣れない服だからか、それらが一枚一枚脱がされていくのがもったいない。しゅるりと、その首からネクタイをとり、大きくも器用な手が小さなボタンを一つずつ外していく。その仕草一つ一つを目で追ってしまいながら、俺はごくりと喉を鳴らしていた。


「ああ……そんな目で見つめられると、興奮するな。早く抱きたい」
「うっ……見てない」
「もっと見てくれ、ニル。俺を、俺だけを」


 そんなこと言われなくったって、セシルから目が離せるわけがないのに。


(自分のかっこよさ、分かってないじゃん。セシル……)


 どこにいても見つけられる一等星のごとく輝かしい銀色の髪。満天の星が輝く夜空を閉じ込めた瞳。頭からつま先までその美しさは、どこをとっても一級品。皇族だからとは関係なく、手の届かぬ麗しさに、誰の目だって釘付けにしてしまう。本人は対して他人に興味がなく、誰も近寄らないというが、実際のところはそれだけが問題じゃない。
 誰も手が出せない、見ているだけでも呼吸を忘れる美しさを彼が兼ね備えているから。
 届かぬ星に恋い焦がれるような感覚。まさにそれに近い。
 触れたら枯らしてしまうのではないかという、幻の華――
 ああ、もちろん、容姿だけがすべてじゃないが。


「せし……っ、る」 


 俺の太ももを優しく撫でながら、セシルは俺に口づけた。そしてそのまま、ゆっくりと身体を下にずらしていく。
 きれいな指だが、剣だこがあり、乾燥しやすいのか少しカサついた指先。肌を乾燥させるのは、セシル自身が持つ熱ゆえか。
 俺は与えられる刺激がもどかしくて、早くと腰を浮かせることしかできず、快感を逃そうとすれば、セシルは俺を抑え、ガーターの痕が薄らと残った太ももへと口づけ、優しく歯を立てた。


「んッ……」


 足の付け根に、セシルはヂュッと強く吸い付く。そこには、赤い花が咲き、セシルはうっとりとした表情で、俺の足に花を次々に咲かせていく。
 自分の所有物のように、大切に、大切に、壊さないように。
 だが、じれったくて仕方がない。早くほしいのに、お望みのものは手に入らない。


「セシル、じれったいんだよ。早く……っ、俺のこと抱きたいんでしょ」
「……ああ、抱きたい。だが、しっかりと解してからだなっ、傷つけたくない」
「んみぃっ!?」


 後孔に伸びていた指が、ぬぷっとナカにいれられる。何度も入れられたそこは、一本はたやすく飲み込むが、二本目となると、やはり少しきつく感じる。
 それでも、二本、三本とあっという間に飲み込んで、篭絡した後孔はくぱくぱとだらしなく開閉しだす。引き抜かれたセシルの指が名残惜しい。けれど、この後もらえるものに身体は震え、歓喜していた。
 セシルは、ズボンを半分ほどずらし、いきり立った自身のそれを掲げると、俺にふわりとほほ笑んだ。
 笑みは優しいのに、その手に掲げているものが凶悪すぎてあっていない。


「ちゃんと息してろよ、ニル」
「うぅん、ん……んっ、はっ……ぁ」
「こら、締めすぎるな。ナカまで入らないだろ」
「だってぇ……」


 長さも、太さも形さえも一級品のセシルのを受け入れるのは、今だって苦しい。
 でも、一番太い部分さえ入ってしまえばあとはもう快楽に身をゆだねればいい。だが、何度やっても、この最初の難所は、難所のままだ。
 全て受け入れれたとき、あっ、と嬉しさに涙さえこぼれる。それも、いつも一緒。
 ただ、今は、俺と同じように苦しくもがきながらも、腰を進めているセシルの顔を見て胸がきゅうんとなる。


「はい……った……?」
「あと少しだ」


 久しぶりの行為で、まだ少ししか入ってないのに圧迫感がある。でも、その苦しささえ愛おしい。俺は自分の腹を撫でて、今ここら辺まで入っているのか、と確認すると、ナカに半分ほど入ったセシルのが急に大きくなった気がする。
 入り口付近がまたミチィと広がって、ちょっと痛苦しい。


「な、何で大きく?」
「今のは、お前が悪い――っ!!」
「あぁっ……ん! ひ、ひゃっ、あぁああっ!」


 俺何も悪くないでしょ、と反論の余地もなく、ズヂュンッ! と、一気に奥まで串刺しにされる。
 はくはくと、口が動くばかりで、酸素の吸い方を忘れてしまった俺は、快感に身を震わすしかなかった。ぴゅ、とぴゅ、と俺のペニスから白濁が飛び散り、同時にナカが締まるのを感じる。なのにもかかわらず、セシルはお構いなしに、ガツガツと腰を打ち付けてきた。


「まぁ、まってっ! せ、せし、ぅ、まだイったばっかぁ……だからぁ!」
「はぁっ、いい。ニル、かわいいぞ」
「か、かんけいないっ、いいぁけぇっ! ひんっ!!」


 しこりをグリっと押し上げられ、芯を失ったペニスに残っていた白濁が押し出される。


「何度抱いても、っ、ニルの身体はいいなっ……俺の形をしっかり覚えている」
「へっ、あぇっ、ああんっ……」
「――お利口だな、ニル」
「……っ!?」


 耳元で低く囁き、セシルは、チュッとわざと音を立てて俺の耳にキスを落とした。それだけで、信じられないくらい体の熱が上がり、イってないはずなのに、身体がピクンピクンと痙攣した。
 出ていない、ナカだけでイってるわけでもない……はず。
 セシルの声だけで?

「あ、あ……ぁえ?」
「本当に、かわいい、かわいいなぁ、ニル」
「せし、待ってっ! おかしい、なんか、なんか、おかしいっ、からああっ!!」


 待ってを、もっとと勝手に変換し、セシルはいきつく暇もなく、俺の最奥を連続で穿つ。
 叩きつけられる快楽は、頭も体も溶かしていく。
 脚を持ち上げられ、グググッと、さらにナカへと侵入すると、パンパンッと尻が波打つようにセシルは腰を打ち付けてきた。結合部から、ぐちゅ、ぶちゅと水温が響き、ナカをかき回される。


「せし、やっ、せしぅ」


 抱き着こうにも、力の入らない手は空を切る。すると、こっちだというようにセシルは、俺の腰を引き寄せ、自身の膝の上にのせる。自重でずっぽりとはまってしまい、抜け出すことはできなかった。動けば、腸壁をズロロロとセシルの熱く堅いものが動く。その刺激に、ダメだ、と力を抜けば、また奥へと入っていった。
 俺はもうされるがままで、彼の手に導かれるまま首に腕を回した。


「ちゅー?」
「キスしたいのか、ああ、俺もしたい。上も下も、お前を感じたい」


 セシルはそういうと、俺の唇に噛みつくようにキスをする。とがった歯が当たって、少し痛いが、次第に、分厚い舌をつきだし、俺はそれに応えるように、舌を絡ませた。生理的に流れた涙と、口の端からこぼれる涎。上も下もセシルでいっぱいで、深くつながっていると感じる。


「んっ……んむっ」
「はっ……」


 口づけは深くなり、息すらまともにできない。けれど、その苦しさがまた快楽を加速させる。
 セシルのすべてが流し込まれる感覚。息も、酸素も、この人から与えられたもので生きている、つくりかえられている。そんな感覚に、俺は酔いしれる。
 キスにくらくらと酔っていれば、セシルのものがさらに大きくなり俺の中を圧迫した。俺のキスで、おっきくなったのかな、ともう一度腹をさすれば「孕みたいか?」とぎらついた目が俺を射抜いた。


「ぅん、孕ませて。セシルの……あぁあああっ!!」
「俺の、受け取ってくれ、奥の奥にっ!!」


 生まれるわけないよ――分かってるんだけど、分かってはいるんだけど、嬉しい言葉だった。
 俺の腰を指の痕がつくくらいにがっしり掴んで、そのまま俺の奥へ奥へと腰を進める。ずちゅ、ぱちゅん! と響く水音に視界がぐるぐると回っていく。それでも、気持ちよくって、彼から離れたくなかった。
 そうして、一際強く俺の奥に叩き込むと、そこで彼のものがはじけた。ものすごい勢いで流れ込んで、熱いのが広がっていく。
 最後の一滴までと、セシルは器用に腰を動かし、俺のナカに自身の遺伝子を塗り込んでいた。そのちょっとした刺激にも、俺は、「あ、ぁぅ」と声が漏れる。


「……せしるの、いっぱい、だよ」
「ニルっ」


 ぎゅっと、セシルは俺のナカから出て行くのでもなく、抱きしめて、俺の名前を数回呼んだ。
 そのうちに、俺は眠たくなってきてしまい、重たい瞼を閉じる。
 抱きしめられて眠るなんて、なんて幸せなんだろうと、意識を失う前に思いながら、俺もできる限り彼に応えようとその手を彼の背中に回した。


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