41 / 45
第4章
10 もう一度あの夜のやり直しを◇
「最高の夜だな」
「はい。昨日の今日であんなことがあったのに、しっかりとパーティーも行われましたし、それに、ゼインが次期皇帝に……」
「即位式はもう少し先だろう。それと、貴様も俺の妻になるのだから、その自覚も持ってほしいものだな」
「持っています! その、うれしくなっちゃって。私が、ずっと夢見てきたというか、ゼインが皇帝になるのを夢見てきたので」
誕生日パーティーは滞りなく終わり、私たちは祝福に包まれながら部屋に戻ってきた。
慣れないヒールでずっといたせいか、足が痛くてすぐに脱いでしまったのがもったいなかったが、ドレスもすべて可愛いと言ってくれて、それが何よりもうれしかった。
殿下もまんざらでもない顔でそうだな、とあの時の誓いを思い出すように笑い、ベッドサイドに腰かける私の横に腰を下ろすと、私の手に自身の手を重ねてきた。
「ペチカ、覚えているか」
「何をですか? 誓いのことなら……」
「そ、そうじゃない。その、俺が貴様に少し前に言ったことだ」
と、殿下は顔を染めて言うのではて? と首を傾げたら、殿下は我慢ならないというように私の手を掴んで叫ぶ。
「一年の間に俺に惚れなかったら、婚約破棄しようという話だ。その、貴様は俺に惚れただろ」
「その言い方好きじゃないです。けど、まあ、そうですね」
何を言い出すかと思えば、ずいぶんと昔のことだった。殿下は、はあ……とため息をついて「覚えていないだろ」と言いながら私をちらりと見る。確か、私が一人二役がばれるのが怖くて婚約破棄したくてというところから始まって、それで……
「あっ」
と、そこまで思い出し、この賭けで殿下が勝ったら何を所望されるか思い出し、私はあご先から頭のてっぺんまで徐々に赤くなって殿下を見た。殿下はやっと思い出したか、とフンと鼻を鳴らす。
「胸をもませろといった」
「そ、そういえば……そうでしたね。でも、もうすでに揉んでいるのでは?」
「そ、それはそうだが。そうじゃなくて、あれは治療の一環でだな。だから、その、ようやく、というか」
殿下がどんどん小さくなっていくのでおかしくなった。
確かにもう何度も揉まれたし、必要以上にもまれた気がするし、おかげで大きくなった気もするのだが、そういう賭けの報酬とかは一切考えずにだったので、この際その賭けの報酬をプレゼントとして殿下に送るのもいいかと思った。まあ、私の負けなのだが。
(そんなところから始まったのに、こんなふうになるなんて思いもしなかった……)
ずいぶんと昔のことのようにも思える。でも、今でも思い出そうと思えば、その時のことをはっきりと思いだせるというか、殿下の変わっていく表情を、変わっていく自分を。
殿下のほうを見れば、だめか? と押してくるような顔で私を見つめていた。それがかわいくて、思わず笑みがこぼれてしまう。
「いいですよ。惚れてしまった私の負けですし」
「こうなる運命だったんだ。受け入れろ」
そう言って殿下は私を押し倒す。ボフンとベッドが私たちを受け止め、殿下は黄金の髪をかき上げる。耳から越智ら髪の毛を目で追いながら、私は今から抱かれるんだと胸の前で手を交差する。
「……今から貴様を抱く、ペチカ」
「はい」
「…………やっと、貴様にやさしくできるな」
「いつも優しいじゃないですか」
「そうか、そうか?」
「そうですよ」
そう言い合った私たちは、唇を重ねる。
殿下は私を抱くときひどくしたことなんて一度もない。私の同意を得て触るし、私が嫌がることは一度もしたことがなかった。ただ、胸への口づけは執拗以上だったのだがそれ以外は、まるで壊れ物を扱うように丁寧に暴いていく。その手で何人人を殺したのだとか、考えてしまうけれど、そんな人の手とは思えないくらい優しくて、溶けてしまうような手つきで。
離れていく唇が名残惜しい。私たちをつなぐ銀色の意図がぷつんと切れて、殿下は悩まし気に吐息を漏らす。
「胸に、触れてもいいか……?」
「は、はい。あの、ゼインはなんで私の胸が好きなんですか?」
「ん? なんでだろうな……貴様が初めて俺に触れさせてくれた部分だからか?」
と、殿下はあいまいに答える。確かにあの時は婚約破棄をと囚われて、嫌われようと触れさせたが殿下がそんなふうに思っているなんて知らなかった。また、そんなふうに執着するようになるなんても思わなかったし。さらしでつぶしていた胸がやわらかくて気持ちいとかそんなことを言ってくれるのは殿下だけだろう。
殿下は、恥ずかしそうにそう言った後、我慢できないと、私の下着を剥ぎ取って、胸に向かって手を伸ばす。外気のひんやりとした空気に触れ、私の胸の先端はツンと主張する。それが彼に触ってほしいと言っているようで恥ずかしく隠したくなったが、その前に殿下の手が到達して、弧を描くようにもみ上げる。
「んんんっ」
「大きくなったな」
「誰のせいだと」
「俺だな」
「あっ」
殿下は、やわやわと胸を触りながらその先端をつまむ。私は思わず声を漏らして口を押えるが殿下はそれを許してくれない。
「声を聞かせろ」
「で、でもっ……恥ずかしい……」
「貴様のすべてを知りたいんだ。だから、我慢するな。俺にすべて見せろ」
「んぁっ!」
胸の先端をぎゅっと摘ままれて、私の口からあられもない声がこぼれた。殿下に散々いじられたそこは敏感になっていて、少しの刺激もすくいあげ体に伝っていく。殿下はそれに気をよくして、口に含み、器用な舌先でころころと転がし、優しく噛んだ。
「あぁっ! だ、だめっ」
「ハッ、どの口が言う。俺にこうされるのが好きなくせに」
誰のせいだと、と言いたかったが、口から洩れるのは喘ぎ声で、殿下は口に含み舌で転がして甘噛みして私の胸を余すことなく刺激していく。私はもう最初の恥ずかしがっていた自分は忘れ、もっと気持ちよくしてほしいと殿下に懇願するように腰を揺らした。
「そんなに欲しがって、ペチカはそんなエッチな女の子だったか?」
「エッチな女の子とか言わないでください。日に日に卑猥になっていってます。ゼイン」
「言葉でなぶられるのが嬉しいくせに……ほら、こんなに溢れてる」
殿下はそう言って、胸への刺激を続けながらもう片方の手で下着の上からその指先を当てる。そこはもうすっかりと濡れていて、殿下は足から抜き取った下着に絡みつく銀糸を見て悪い顔をする。
くちゅりとえっちな音がして、私はそれに恥じらい顔を背けた。だが、それが殿下の加虐心を煽ったのか、ぬぷりと指を沈みこませ、すぐに二本目と本数を増やし、ばらばらに動かし始めた。
「い、やっ、ああっ」
いきなりやってきた刺激に私は思わず腰が浮き、快感を逃そうと腰を動かすが、殿下はそうさせてくれず、私の腰を押さえつけてさらに深く指を沈みこませる。長い指は奥へ奥へと侵入し媚肉を刺激する。くちゅくちゅと水音が大きくなっていくのが恥ずかしくて耳を塞ぎたいのに、殿下はそれを許してくれない。それどころか、もっと聞かせろと言わんばかりに指の動きを速める。それに呼応するように私の腰の動きも激しくなり、もう何が何だか分からなくなってきた。
「も、ゼイン、や……ゼインの」
「かわいいおねだりだな。なら、応えてやらなければならないな」
じゅぷっ、と音を立てながら彼は指を引き抜き、自身の熱くなったそれを掲げ私に見せつけてきた。反り立つそれは、やはり槍のようで、太く赤黒くグロテスクだ。いつもこれが私の中に入っているのだと思うと、おなかの奥がきゅんと疼く。もうすっかり、彼のそれに夢中になってしまっているのだ。
殿下は、それを数回しごいた後、私の秘所にあてすぐに入れず、ぬちゃぬちゃと塗り付けるようにじらす。小さな蕾を執拗に刺激すれば、私の体はすぐに反応して、膣口をひくつかせる。
「ほしいといえ。そしたらくれてやる」
「なんで、上から」
「いらないのか?」
「…………い、るから。ほしい、ほしいの、ゼインのすべては、私のものだから!」
「ハッ、貴様も傲慢だな、ペチカ」
殿下のお気に召したようで、彼はゆっくりと熱い剛直を沈みこませる。先が入ってしまえばそれからは飲み込んでいくように、中へ中へと入ってくるそれに私は思わず息をのんだ。指よりもさらに大きな質量に体が悲鳴を上げるが、その痛みも快感となって私を襲う。もう何度も受け入れたそれは、すぐに私の最奥に到達してこつんと子宮口を叩いた。
「あぁあっ! おくっ、ふか」
「ああ、ここが、ペチカの奥だ。俺の形になじんでるな、いい子だ」
と、殿下は言い終えないうちに腰を振り始める。奥をガンガンとえぐられていく快感に私は何も考えられなくなり、ただ喘いで中にあるものを強く締め付けることしかできなかった。その状態で何度も中へと穿たれればあられもない声をあげ、殿下を喜ばせる。
優しくするといっているのに、その腰使いは激しくなっていくばかりで、でも、幸せそうな殿下を見ているとこっちまで胸がいっぱいになって満たされる。
「あぁっ、あ! んっ、ああっ」
「ん……そんなに締め付けるな」
「そ、んなのっできなっ……! あぅ!」
先ほどとは比べ物にならないくらい中がきゅううと収縮し、殿下に絡みつく。それを振り払うように彼は腰を動かし続ければ、私はまた大きな声をあげながら達した。何度も達していれば、もう達するのがつらいと、けれども中を擦られれば嬉しそうに甘くわななく。
「あ、あああっ。ひっ、あんっ、やあっ」
どれだけ、もう苦しいくらい気持ちいといおうとしても、口から洩れるのは母音ばかりで、伝わっていない殿下は止まってくれなくて何度も腰を打ち付けられる。もう何度イったか分からなくなってきて、行き過ぎた苦しさも、すべてが開館となって遅い、私はもっともっとと強請るように腰を揺らした。
「あ! あんっ! ああぁ!」
「かわいいな、ペチカ……」
「ひゃああっ! あああっ」
ぐちゅんっと子宮口を強く突かれて私の頭が真っ白になる。きもちいいことしか考えられなくなり、殿下にもっとたくさん突いてほしくて足を彼の腰に絡ませる。それに気をよくしたのか、彼はさらに激しく腰を打ち付け始めた。ぱんっぱんっと肌のぶつかりあう音と水音が混じり合い、もう羞恥心なんて微塵もなく私はただ殿下を求める。もっと気持ちよくなりたい、突いてほしいと淫らなおねだりをして彼のものに絡みつく。
「あ! ああぁ! ゼインっ」
「ああ、ペチカ……俺の……」
「もぅ、だめっ……! イっちゃ……!!」
もう何度目になるかわからない絶頂が私を襲う。中が痙攣して彼を締め付ける。それに呼応するように彼も私の最奥に精を吐き出した。熱いものが中に注がれて、その感覚に体が震える。殿下はすべてを吐き出すように緩く腰を振り、何度かそこを押した。避妊魔法は繰り返しかけているが、そのうちそれらもいらなくなる。でも、そんなこと関係ないというように殿下は最後の一滴まで私の中に擦り付けて、ゆっくりと腰を引いて出ていく。
ぬぽんと彼の熱が抜け、中から大量の白濁があふれ出す。それがなんだか悲しくて、まだ中にいてほしくて、すりっとおなかを撫でれば、殿下がごくりと喉を鳴らしたのが分かった。
「ペチカ……」
「い……まだ、ゼイン」
「だが、これ以上は……」
「まだ一回、じゃないですか。そんな……! 私は、まだ欲しいです。ゼインが」
「くっ、そ、あれだけイきたくないと喚いたくせに。負けず嫌いか!?」
そういいつつも、殿下は私を優しく回しうつぶせにすると、おしりを高く持ち上げて、再び熱を取り戻した自身のそれを殿下の精があふれて止まらない蜜口に当てる。
「こうなったら朝まで付き合ってもらうからな。ペチカ。泣き言はなしだぞ」
「はい、望むところです。ゼイン」
「まったく、これを決闘かなにかと間違っているか知らないが……これは、俺たちの、愛をはぐくみ、確かめるための行為だからなッ!」
と、殿下は勢いよく私を突き刺す。串刺しになったように私は口から音のない悲鳴を漏らす。目の前で星がちかちかと飛んで、快楽に降りてこれなくなる。だが、殿下はそんな私を気遣う様子もなくまたガツガツと腰を進めた。
そうして、何度か体位を変えて、精を吐き出し、ベッドに沈み込むころには、殿下の言った通り日が昇っており、最後の吐精のあと、殿下は私を包み込むようにして倒れこんだ。
「ペチカ、生きているか」
「生きてます、なんとか……」
「そうか……好きだ。ペチカ。ようやく、俺のものに……」
「ゼイン?」
すーすーと幸せそうに、彼が耳元で寝息を立てるものだから、私は動かない体をどうにか動かして、彼の顔を見る。横で子供のように眠る殿下の顔を見て、私は愛おしくて汗だくの体で彼に抱き着き、行儀悪く足で毛布を手繰り寄せ彼が寒くないようにとかけてやる。
日が昇ってしまったが、私も睡魔に襲われ、彼の胸の中で小さくなって目を閉じる。この幸せも、温かさも、きっと明日も続くのだろうと多幸感に包まれながら私は深い眠りへと意識を落とした。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
お兄様はやさしく笑って、逃げ道だけをなくしていく
星乃和花
恋愛
縁談に悩む子爵令嬢リゼットが助けを求めたのは、名門侯爵家の長男アルフレッド。
穏やかでやさしく、理想のお兄様のような彼は、「君のことは僕が見ている」と甘く手を差し伸べてくれる。
送り迎え、花や手紙、完璧なエスコート。
守られているだけのはずが、気づけば周囲には「彼女はもうノースウェル侯爵家のもの」という空気ができあがっていて――。
ふわふわ優しいのに、実はかなり策略家。
やさしく逃げ道をなくしてくるお兄様系ヒーローに、恋愛に疎い令嬢がじわじわ囲い落とされていく、甘くて幸せな溺愛ラブストーリー。
――「待つよ」と言いながら、外堀はきっちり埋めてくる――
(完結済ー本編10話+後日談2話)
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
すれ違いのその先に
ごろごろみかん。
恋愛
転がり込んできた政略結婚ではあるが初恋の人と結婚することができたリーフェリアはとても幸せだった。
彼の、血を吐くような本音を聞くまでは。
ほかの女を愛しているーーーそれを聞いたリーフェリアは、彼のために身を引く決意をする。
*愛が重すぎるためそれを隠そうとする王太子と愛されていないと勘違いしてしまった王太子妃のお話
世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました
由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。
——皇子を産めるかどうか。
けれど私は、産めない。
ならば——
「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」
そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。
毒を盛られても、捨てられず。
皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。
「お前は、ここにいろ」
これは、子を産めない女が
ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。
そして——
その寵愛は、やがて狂気に変わる。