君に真理を問う。

SHIKA

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1. 14歳 9歳

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 ――その学生と会ったのは、もう9年前だ。
 僕は14歳でその子は9歳。
 
 当時、僕は教団に立ったばかりでドギマギしていた。
 教えるのは魔法学。
 14歳で教団に立つ人は僕だけだった。
 何故僕が教団に立てたのかは、僕の養父の力が大きい。
 
 僕の養父はこの国の教育の中枢を担う人だ。
 名前はディズ・グロウン。聞けば教育業界の人なら誰でも分かる。
 
 僕が養父に拾われたのは4歳ごろだったらしい。
 記憶は朧げだったけれど、教会のオメガを受け入れるための児童施設で僕は選ばれたと聞いた。
 僕は魔力の量が人よりとても多く、とても素直で可愛かったと父が言っていた。
 
 父に拾われたその日から、僕はかなり豊かな生活をして来たと思う。
 毎日家庭教師をつけて魔法の稽古をした後、仕事から帰って来た父は今日の成果を聞いて嬉しそうにしていた。
 父の仕事が長期休みの時には必ず外国に行って、歴史の中で作られた様々な建物を見た。
  歴史が創り上げてきたそれらは、僕の思考を巡らせて多くの感動と豊かな感受性を僕に授けてくれたと思う。

 それから、外国の教育学について学びながら、実際に父の後について外国の魔法学への教育を一緒に視察させてもらったりした。
 教育がもたらす効果はその国の個性となり繁栄となることを学んだ。よりよい未来を育てるために、質の高い教育はなくてはならないものだと思った。
 
 僕が父を一番尊敬する所は、父との対話だ。
 父は対話の中で相手の話を聞き入れながら、静かに物事の真理を問うてくるのだ。
 
――「イリス、君の考えはとても素敵だね。
 ……でも、君の言う、その正しさは相手にとっては本当に正しいのことなのかな?」

 僕は父の言葉に何度もハッとさせられて来た。
 僕は自分は父の前ではまだ取るに足りない子供で、真理とは何か、深く考えさせられるのだ。

 僕は父のようになりたいと、魔法学を極めながら人の本質と物事の真理についてずっと考えてきた。
 その甲斐が実って8歳にして僕は「神童」と呼ばれ、14歳にして教団に立つことを許されたと言うわけだ。

 初めて僕が担当したクラスの子達は8歳クラスと9歳クラス。
 この学校に通える子達は推薦されて来ているので、みんな魔力が高い。
 性別によっての魔力量は特に因果関係はないので、アルファもオメガもベータも混ざったクラスだ。
 
 2クラスは僕と歳が近いのもあって、中には天の邪鬼の子もいたけれど、みんな楽しそうに僕の話を聞きながら魔法の座学と実践をしてくれた。
 僕も分かりやすい学びを常に考えながら生徒に教えるのはとても楽しかった。
 
 その中で一人、9歳児クラスでいつもポツンといる子が僕は気になっていた。
 確か名前はオースティン・アルド。アルファの子だったと思う。
 黒髪の長めの前髪から金の目が除いているのが印象的な男の子。魔法学には特に問題はない子だ。
 
 でも僕は特にオースティンの身なりが気になった。
 他の子供たちは制服を綺麗に着こなしているけれど、オースティンは明らかに汚れている制服で、彼はすごく痩せている。
 以前食堂で見かけた時は、食事を一人で食べているのは見たことがあったので、彼の家庭の方に何が問題があるんじゃないかと僕は思っていた。

 そんな時だった。
 ――オースティンが問題を起こしたといって、僕のところに同じクラスの女の子が走って報告に来たのだ。

 
 
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