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――僕が教室にたどり着いた時には、教室はすごいあり様で驚いた。
机は至る所に転がっており、物が散乱している。
真ん中にいるのはオースティンと、ソルド・ルーマンという男の子だ。他の子供達はみんな教室の端の方にいたらしく、僕が教室に来たら怖かったのかすぐに集まって来た。
「……何があったのかな?」
僕は周りの子たちを宥めながら、しゃがみ込んで二人に聞いてみた。
「オースティンが魔法を出して来たんだ!それで周りがぐちゃぐちゃに!」
ソルドが僕に説明してくる。
「…オースティン、どうして君は魔法を出したのかな?」
僕は事の経緯を教えてもらうためにオースティンに声をかけたけれど、オースティンは口を開かない。
しばらくして僕は周りに聞いてみることにした。
「…みんなはオースティンが何故魔法を使ったか、知ってる?」
周りの子供達もわからないようで、僕も首を捻る。
「…ソルド、君は近くにいた様だけど分かる?
君は彼と何かを話していたのかな?」
僕は近くにいたソルドに聞いてみる。
「…オースティンとは来週の親子交流会の話をしていたんだ…。そしたら、急に…。」
僕はなるほど、と思った。来週は確かに親子交流会がある。普段の授業の成果を子供達が親に見せるのだ。
「……そうか。…オースティン、それで合っているかい?」
オースティンに確認すれば、彼は頷く。
「……どうして魔法を使ったのかな?」
そう聞いてもオースティンは話さないので、このままでは埒が開かないと僕は思った。
「……分かった。みんな教えてくれてありがとう。
後は僕が片付けるから大丈夫。」
そう言って僕は風の魔法の詠唱を唱えると全ての物を元の位置へと片付ける。
みんなはその様子をキラキラとした目で見ていたので、僕も頬を緩めた。
「…オースティン、歩きながら少し話さないかい?」
そう言って僕はオースティンの手を取って歩き出した。
――僕が連れ出したのは中庭の木陰だった。
ここはベンチがあるので二人で腰掛ける。
「……オースティン、君は風の魔法が得意だったね。
さっきの魔法、結構威力があったんじゃないかい?」
そう言ってニヤリとオースティンに笑えば、オースティンは驚いた表情をする。
「……僕はね、風の魔法が一番好きなんだ。
空に浮かぶ時のあの感覚が大好きだ。
オースティン、授業ではまだやっていないけど
…君はできるだろう?」
そう問えばオースティンは目を丸くする。
「……俺は、できないよ。」
「いや、君はできるさ。本当は君の魔力はもっと出せる。……教室では隠している。違うかい?」
そう言ってにこりと笑うとオースティンは動揺した表情をする。
「……確かに、教室では本気を出してない…。
でも、空に浮く事は俺はできないよ。」
「いや、君はできるよ。」
そう言って僕はオースティンに風の魔力を調整するコツを教える。全身に風を送らせる。自分の体が空気みたいに軽くなる様に想像する。
そして、詠唱を教えればオースティンはすぐにできた。
「……できた。」
オースティンは驚いている。
「君は魔力の調整がとても上手だもの。
オースティン、君は素晴らしいよ。」
そう言ってオースティンに拍手を送れば、オースティンは浮かない顔をした。
「……俺は素晴らしくなんてない。
……俺は出来損ないだもの。」
僕はその様子に不思議に思った。オースティンは出来る子だ。現にすぐに空に浮く魔法を会得した。
「……誰がそんな事を言ったのかな?」
オースティンは罰が悪そうにポツリと答える。
「…母さん。」
「……何故だろう?
オースティンはとても出来る子だと思うけど。」
「……俺は出来ないよ。今日も怒って魔力を出しちゃった。」
「……どうして、怒ってしまったのかな?」
僕はそっとオースティンに聞いてみた。
「……ソルドが俺の親は来ないって言ったら、しつこく聞いてくるんだ。……何度も。
普通は来るんだって言ってきて、それで俺……。」
僕は事の経緯を理解した。
「……なるほど。オースティン、教えてくれてありがとう。ソルドは君が気になって聞いたんだろうけど、君はそれが嫌だったんだね。」
オースティンは僕の言葉に頷く。
「……オースティン、このままだと君は誤解されてしまうから、僕と一緒に明日ソルドと話をしないかい?」
「……誤解されても別にいいよ。」
オースティンは暗い表情でそう言う。
僕は彼を見て話す。
「……でも、それはソルドの成長にもならない。
人には聞かれたら嫌だと思うこともあると言う事を、ソルドも学ぶ必要がある。」
僕がそう諭せば、オースティンは渋々と頷く。
僕はニコリと彼に微笑む。
「ありがとう、オースティン。」
彼は僕をみる。
長めの前髪の間から金の目がキラリと光って見えた。
机は至る所に転がっており、物が散乱している。
真ん中にいるのはオースティンと、ソルド・ルーマンという男の子だ。他の子供達はみんな教室の端の方にいたらしく、僕が教室に来たら怖かったのかすぐに集まって来た。
「……何があったのかな?」
僕は周りの子たちを宥めながら、しゃがみ込んで二人に聞いてみた。
「オースティンが魔法を出して来たんだ!それで周りがぐちゃぐちゃに!」
ソルドが僕に説明してくる。
「…オースティン、どうして君は魔法を出したのかな?」
僕は事の経緯を教えてもらうためにオースティンに声をかけたけれど、オースティンは口を開かない。
しばらくして僕は周りに聞いてみることにした。
「…みんなはオースティンが何故魔法を使ったか、知ってる?」
周りの子供達もわからないようで、僕も首を捻る。
「…ソルド、君は近くにいた様だけど分かる?
君は彼と何かを話していたのかな?」
僕は近くにいたソルドに聞いてみる。
「…オースティンとは来週の親子交流会の話をしていたんだ…。そしたら、急に…。」
僕はなるほど、と思った。来週は確かに親子交流会がある。普段の授業の成果を子供達が親に見せるのだ。
「……そうか。…オースティン、それで合っているかい?」
オースティンに確認すれば、彼は頷く。
「……どうして魔法を使ったのかな?」
そう聞いてもオースティンは話さないので、このままでは埒が開かないと僕は思った。
「……分かった。みんな教えてくれてありがとう。
後は僕が片付けるから大丈夫。」
そう言って僕は風の魔法の詠唱を唱えると全ての物を元の位置へと片付ける。
みんなはその様子をキラキラとした目で見ていたので、僕も頬を緩めた。
「…オースティン、歩きながら少し話さないかい?」
そう言って僕はオースティンの手を取って歩き出した。
――僕が連れ出したのは中庭の木陰だった。
ここはベンチがあるので二人で腰掛ける。
「……オースティン、君は風の魔法が得意だったね。
さっきの魔法、結構威力があったんじゃないかい?」
そう言ってニヤリとオースティンに笑えば、オースティンは驚いた表情をする。
「……僕はね、風の魔法が一番好きなんだ。
空に浮かぶ時のあの感覚が大好きだ。
オースティン、授業ではまだやっていないけど
…君はできるだろう?」
そう問えばオースティンは目を丸くする。
「……俺は、できないよ。」
「いや、君はできるさ。本当は君の魔力はもっと出せる。……教室では隠している。違うかい?」
そう言ってにこりと笑うとオースティンは動揺した表情をする。
「……確かに、教室では本気を出してない…。
でも、空に浮く事は俺はできないよ。」
「いや、君はできるよ。」
そう言って僕はオースティンに風の魔力を調整するコツを教える。全身に風を送らせる。自分の体が空気みたいに軽くなる様に想像する。
そして、詠唱を教えればオースティンはすぐにできた。
「……できた。」
オースティンは驚いている。
「君は魔力の調整がとても上手だもの。
オースティン、君は素晴らしいよ。」
そう言ってオースティンに拍手を送れば、オースティンは浮かない顔をした。
「……俺は素晴らしくなんてない。
……俺は出来損ないだもの。」
僕はその様子に不思議に思った。オースティンは出来る子だ。現にすぐに空に浮く魔法を会得した。
「……誰がそんな事を言ったのかな?」
オースティンは罰が悪そうにポツリと答える。
「…母さん。」
「……何故だろう?
オースティンはとても出来る子だと思うけど。」
「……俺は出来ないよ。今日も怒って魔力を出しちゃった。」
「……どうして、怒ってしまったのかな?」
僕はそっとオースティンに聞いてみた。
「……ソルドが俺の親は来ないって言ったら、しつこく聞いてくるんだ。……何度も。
普通は来るんだって言ってきて、それで俺……。」
僕は事の経緯を理解した。
「……なるほど。オースティン、教えてくれてありがとう。ソルドは君が気になって聞いたんだろうけど、君はそれが嫌だったんだね。」
オースティンは僕の言葉に頷く。
「……オースティン、このままだと君は誤解されてしまうから、僕と一緒に明日ソルドと話をしないかい?」
「……誤解されても別にいいよ。」
オースティンは暗い表情でそう言う。
僕は彼を見て話す。
「……でも、それはソルドの成長にもならない。
人には聞かれたら嫌だと思うこともあると言う事を、ソルドも学ぶ必要がある。」
僕がそう諭せば、オースティンは渋々と頷く。
僕はニコリと彼に微笑む。
「ありがとう、オースティン。」
彼は僕をみる。
長めの前髪の間から金の目がキラリと光って見えた。
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