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それから僕はオースティンとの放課後の学びを再開した。
オースティンとは、役に立つ魔道具の開発の議論と論文を進めた。僕と彼は議論する所が似ていて正直気が合うと思う。
その時間はやっぱりとても楽しかった。
僕は次の発情期にこっそり抑制剤を飲んだ。
父の言っていた人間の摂理に反する事で、身体に良くない物ではあるのかもしれないけど、発情してあの熱が身体を襲わない事は、こんなにも楽なのかと僕は涙が出た。
――その翌週あたりだった。
父と夕飯を食べている時だった。
「……イリス、抑制剤が少しなくなっているんだが、君は抑制剤を飲んだのか?」
僕はギクリとした。父は僕の発情期の周期を知っている。いつもより長い周期に疑問を持って薬の数を調べたのだろうと思った。
僕は強張りながら自分の意見を述べた。
「……父さん。僕は抑制剤を飲んで、発情がない事はこんなにも楽なんだと――」
「――イリス。何を言っている。」
父を見れば父は明らかに怒っている表情で僕を見ていた。僕はその表情に息を呑んだ。
「……アルファと事故にならないために、一応抑制剤を持っていたが……抑制剤があったのは失敗のようだな。」
そう言うと父は抑制剤を捨てようとしていた。
「――やめてください!」
僕は父に逆らうのは怖かったけど、抑制剤が無くなるのはもっと怖かった。
「……もう飲みません。飲まないから…捨てないで。
父さんの鞄から…勝手にとってすいませんでした。」
父はため息を吐くと僕を疑うような目で見る。
「イリス、……本当か?」
「……はい。」
僕は父の言葉に答える。そしてそのまま自分の本当の願いを伝えてみる事にした。
「……父さん、抑制剤は飲まない。
でも、父さんと…その…寝ることは辞めたいんだ…。」
父は怒りながら僕の頬を殴ってきた。僕は突然の出来事に受け身を取れず、そのまま床に転がる。
「……イリス!!俺がお前のために今までどれだけしてきてやったと思ってるんだ!!」
僕はあまりの恐怖に身体が強張ったまま父を見つめる。
父は怒りの形相のまま僕に覆い被さる。
「…相手がいるのか!?」
そう言って思い切り肩を掴まれる。
僕は恐怖で声が出なくて、首を振るのが精一杯だった。
「……イリス、脱ぎなさい。」
「……え?」
父は鬼のような形相のまま僕に脱げと言ってくる。
僕は何故脱がなければいけないのか分からなかったけど、恐怖に手を震えさせながら服を脱ぐ。
父はそのまま僕の身体に手を這わせる。僕は何をされるのか察した。恐怖と嫌悪感で涙が出て、震える声で父を咎める。
「……父さん。…っお願い、…やめて。」
父は僕の言葉が聞こえていないように行為を続ける。
「……っ父さんっ!」
僕が声を荒げれば顔面を掴まれて床に叩きつけられた。
口が切れて血が出ている気がする。痛みと恐怖で僕は固まった。父はそのまま後ろに指を入れてくる。
でもそこは発情しているわけじゃ無いから濡れていない。僕は痛みに声を殺しながら呻き声を出す。
父は舌打ちしてクリームを掴むと、再びそこに指を入れてくるのが分かって、僕は次に何をされるのか理解して恐怖を覚える。
「……っやめて…。」
聞こえるか聞こえないか分からないような小さな声で呟けば、父はそれを無視して僕を貫いた。
僕は、あまりの痛みに背中の筋肉が強張って呻く。
そのまま激しく動かれるので、胃をかき混ぜられるような不快な感覚に、吐き気を催して口を塞いだ。
「……イリス、お前が誰かと番うのは…許さない。」
父の声が降ってくる。
僕は痛みと吐き気を感じながら涙が出た。
……父を尊敬していた。今でも尊敬している。
僕は父の教育観を信じている。子どもたちへ教えるための教育の源は間違いなく父だ。
父と見てきた世界はとても美しくて、父との対話で物事の真理を掴む事で、僕の心は満たされた。
僕は痛みの中で目を閉じて、ある疑問を残してひたすら耐えながら意識を失った。
――僕の信じてきた父は、本当に正しいのだろうか。――
オースティンとは、役に立つ魔道具の開発の議論と論文を進めた。僕と彼は議論する所が似ていて正直気が合うと思う。
その時間はやっぱりとても楽しかった。
僕は次の発情期にこっそり抑制剤を飲んだ。
父の言っていた人間の摂理に反する事で、身体に良くない物ではあるのかもしれないけど、発情してあの熱が身体を襲わない事は、こんなにも楽なのかと僕は涙が出た。
――その翌週あたりだった。
父と夕飯を食べている時だった。
「……イリス、抑制剤が少しなくなっているんだが、君は抑制剤を飲んだのか?」
僕はギクリとした。父は僕の発情期の周期を知っている。いつもより長い周期に疑問を持って薬の数を調べたのだろうと思った。
僕は強張りながら自分の意見を述べた。
「……父さん。僕は抑制剤を飲んで、発情がない事はこんなにも楽なんだと――」
「――イリス。何を言っている。」
父を見れば父は明らかに怒っている表情で僕を見ていた。僕はその表情に息を呑んだ。
「……アルファと事故にならないために、一応抑制剤を持っていたが……抑制剤があったのは失敗のようだな。」
そう言うと父は抑制剤を捨てようとしていた。
「――やめてください!」
僕は父に逆らうのは怖かったけど、抑制剤が無くなるのはもっと怖かった。
「……もう飲みません。飲まないから…捨てないで。
父さんの鞄から…勝手にとってすいませんでした。」
父はため息を吐くと僕を疑うような目で見る。
「イリス、……本当か?」
「……はい。」
僕は父の言葉に答える。そしてそのまま自分の本当の願いを伝えてみる事にした。
「……父さん、抑制剤は飲まない。
でも、父さんと…その…寝ることは辞めたいんだ…。」
父は怒りながら僕の頬を殴ってきた。僕は突然の出来事に受け身を取れず、そのまま床に転がる。
「……イリス!!俺がお前のために今までどれだけしてきてやったと思ってるんだ!!」
僕はあまりの恐怖に身体が強張ったまま父を見つめる。
父は怒りの形相のまま僕に覆い被さる。
「…相手がいるのか!?」
そう言って思い切り肩を掴まれる。
僕は恐怖で声が出なくて、首を振るのが精一杯だった。
「……イリス、脱ぎなさい。」
「……え?」
父は鬼のような形相のまま僕に脱げと言ってくる。
僕は何故脱がなければいけないのか分からなかったけど、恐怖に手を震えさせながら服を脱ぐ。
父はそのまま僕の身体に手を這わせる。僕は何をされるのか察した。恐怖と嫌悪感で涙が出て、震える声で父を咎める。
「……父さん。…っお願い、…やめて。」
父は僕の言葉が聞こえていないように行為を続ける。
「……っ父さんっ!」
僕が声を荒げれば顔面を掴まれて床に叩きつけられた。
口が切れて血が出ている気がする。痛みと恐怖で僕は固まった。父はそのまま後ろに指を入れてくる。
でもそこは発情しているわけじゃ無いから濡れていない。僕は痛みに声を殺しながら呻き声を出す。
父は舌打ちしてクリームを掴むと、再びそこに指を入れてくるのが分かって、僕は次に何をされるのか理解して恐怖を覚える。
「……っやめて…。」
聞こえるか聞こえないか分からないような小さな声で呟けば、父はそれを無視して僕を貫いた。
僕は、あまりの痛みに背中の筋肉が強張って呻く。
そのまま激しく動かれるので、胃をかき混ぜられるような不快な感覚に、吐き気を催して口を塞いだ。
「……イリス、お前が誰かと番うのは…許さない。」
父の声が降ってくる。
僕は痛みと吐き気を感じながら涙が出た。
……父を尊敬していた。今でも尊敬している。
僕は父の教育観を信じている。子どもたちへ教えるための教育の源は間違いなく父だ。
父と見てきた世界はとても美しくて、父との対話で物事の真理を掴む事で、僕の心は満たされた。
僕は痛みの中で目を閉じて、ある疑問を残してひたすら耐えながら意識を失った。
――僕の信じてきた父は、本当に正しいのだろうか。――
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