34 / 61
34 聖女様の素敵な大冒険 (アナザーサイド)
しおりを挟む
エフィルア達がダンジョンに潜った数時間後。
2番手で第1階層に足を踏み入れるパーティーがあった。
「ああもう忌々しい。なんで聖女たる私じゃなくて、あの男がトップパーティーなのかしらね。やっぱりあの時ちゃんと昇天させておくべきだったんだわ」
まだ若い5人の男女と、その護衛。
中心にいるのは聖女エルリカ。
彼らは町の人々の盛大な声援と見送りを受けながら、迅速に準備を進めここに来ていた。
普段はあまり精力的な狩りをしていない彼ら。
その習熟度からすると些か不安のある旅立ちで、引き留める声も相当程度あった。
だが結局はパーティーを率いるエルリカのゴリ押しによってダンジョンへと足を踏み入れる事に。
彼女にしてみれば、エフィルアのような下等生物が先に進んでいるダンジョンなのだから、自分にも出来ないはずがないという思い込みがあった。
聖女エルリカが他人の意見など聞き入れないというのは、身近な者たちには良く分かっていること。
護衛として同行させられる者たちは、実に余計な仕事を増やしてくれたものだとは思いつつ、逆らう事はない。適当に立ち回って適当に帰ってこようという者がほとんどである。
そして戦いは始まる。
「みんな落ち着いて。暗くて見通しが悪いだけで敵の強さは外の魔物とそう変わらないっ!」
「そ、そうだな聖女の言うとおりだぜ」
慣れない暗闇での戦い。混乱に陥りかけるパーティーメンバーを一応まとめ上げて、ダンジョンを奥へ奥へと進んで行く。
聖女を突き動かすもの。それはエフィルア達への対抗心、嫉妬心、敵愾心。
あのような邪悪で矮小な者に聖女たる自分が遅れをとるなど、この世に存在してはいけない事象なのだ。そんな事があり得るくらいならば死んだほうがましである、いや、むしろ殺す。そういった強い信念が彼女を支える。
「私達こそがこの町を守る英雄となるのです! この私に付き従うのだ!」
「「「おおッ!!」」」
「うおおお、いたぞ! 例の人面獣だ」
メンバーの1人ギャオが、今日の第1目標とする魔物を見つける。
闇に潜んで行動するその魔物はエフィルアのライトを嫌って出てこなかったため、そこかしこに未だ残っている。
「うっ、なんなのですかこの獣! 闇にまぎれて実態が……」
「きゃああ」
エフィルアが戦った時は、その魔物とまともにやりあう事なく殲滅してしまっていたが、人面獣達はようやく今、本領を発揮した。
闇の中で音を殺し、魔素の乱流で撹乱し、集団で襲い掛かる。
その魔物は、聖女ばかりを執拗に狙う。
囲まれ、孤立し、ついには、暗闇の奥に引きずり込まれていった。
護衛の者の守備範囲からも易々と引き離される。
「くそっ、俺がそうはさせないっ」
駆け出し剣聖のシオエラルが間一髪追いすがる。
が、しかし。
「な、なんだと。今度はスケルトン? みんな! アンデッドが大量に湧いている。とても手には負えないっ」
そこには魔物の待ち伏せ。ナルシス系美男子剣聖は傷つくことを恐れて足を止める。
闇に引きずり込まれた聖女は、四肢を噛み付かれ、抑えられ、剥かれ、ついには獣の下腹部先端突起が彼女の下腹部へと迫る。獣のその行動は性衝動から来るものではなかった。それは、聖女たちへの怨嗟が生み出した行動だった。かつて、同じような目にあわされた者達の怨念だった。
「くそがあああああ 獣や骨がこの私にぃぃぃぃ! 我が聖なる魔力で全ての邪悪なる者を浄化してくれるぁあぁ!」
それでも聖女は持ち前の無駄に強い高慢な精神力で闇の中を這いずり回り、魔力を振り絞る。
暗闇の中での乱戦、死闘。
彼女達は明らかに自分達の実力を見誤っていた。
エフィルアに劣るわけがないという、彼への異常な熱情が判断を狂わせる。
聖女のその滾る熱情は、ただでさえ彼女に吸い寄せられるように押し寄せるてくる人面獣達に、よりいっそうの刺激をあたえるのだった。
それは後方から護衛に付いていたはずの一団にとっても誤算であった。事前に集めていた情報を遥かに上回る量の魔物が沸き上がっていた。
それでも戦いに決着がつく。
聖女のメンバー達は、それぞれに酷い傷を負いながらも死者まではださずに済んだ。
アンデッドには聖属性魔法が異常に効果的なこともあり、酷い苦戦を強いられながらも生き残った。
それでも、聖女はさらなる正義と熱情に突き動かされる。
奥へ、奥へ。
ルーキーパーティーとしては異例の速さ、1日で4階層という町の人達が驚く速度で探索を進めるのだった。
「くぅ、これは聖女たる私への神からの試練。必ずやあの邪神エフィルアを……」
度重なる苦難。聖女の中でエフィルアは邪神にランクアップしていた。
自分に降りかかった災厄は全てあの邪悪な存在が元凶であると思わねば、彼女のプライドと精神は保てなかった。
だがしかし、エフィルアは邪神ではなく魔神だった。
それはともかくとしても、厄災に関しては全て自業自得だった。
「すごいぜ… 聖女の執念。このペースならもうエフィルア達に追いつくかもな」
ギャオ。彼は本当はもうすぐに帰りたかった。いや、誰だってそうだろう。
しかし持ち前の太鼓持ち気質が聖女へ愛想を振りまいてしまう。
「いや、もう追い越してるかもしれないね」
そして剣聖は知らない。
激しい乱戦の終盤で、彼の背後から致命傷になりかねない一撃をあびせてきた人間の事を。
聖女からはすでに、"私を助けなかった糞ヘタレ雑魚、絶対殺す”と思われている事を。
「違いないやっ! はっはっはっ」
「「「は~っはっはっは~」」」
聖女達は、ある面では無駄に精神力が強かった。
自分達の正義と優位を信じて疑わない。
たとえ、股のあたりに不具合を感じたとしても、それを打ち消すように湿った笑い声をダンジョンに響かせるのだった。
2番手で第1階層に足を踏み入れるパーティーがあった。
「ああもう忌々しい。なんで聖女たる私じゃなくて、あの男がトップパーティーなのかしらね。やっぱりあの時ちゃんと昇天させておくべきだったんだわ」
まだ若い5人の男女と、その護衛。
中心にいるのは聖女エルリカ。
彼らは町の人々の盛大な声援と見送りを受けながら、迅速に準備を進めここに来ていた。
普段はあまり精力的な狩りをしていない彼ら。
その習熟度からすると些か不安のある旅立ちで、引き留める声も相当程度あった。
だが結局はパーティーを率いるエルリカのゴリ押しによってダンジョンへと足を踏み入れる事に。
彼女にしてみれば、エフィルアのような下等生物が先に進んでいるダンジョンなのだから、自分にも出来ないはずがないという思い込みがあった。
聖女エルリカが他人の意見など聞き入れないというのは、身近な者たちには良く分かっていること。
護衛として同行させられる者たちは、実に余計な仕事を増やしてくれたものだとは思いつつ、逆らう事はない。適当に立ち回って適当に帰ってこようという者がほとんどである。
そして戦いは始まる。
「みんな落ち着いて。暗くて見通しが悪いだけで敵の強さは外の魔物とそう変わらないっ!」
「そ、そうだな聖女の言うとおりだぜ」
慣れない暗闇での戦い。混乱に陥りかけるパーティーメンバーを一応まとめ上げて、ダンジョンを奥へ奥へと進んで行く。
聖女を突き動かすもの。それはエフィルア達への対抗心、嫉妬心、敵愾心。
あのような邪悪で矮小な者に聖女たる自分が遅れをとるなど、この世に存在してはいけない事象なのだ。そんな事があり得るくらいならば死んだほうがましである、いや、むしろ殺す。そういった強い信念が彼女を支える。
「私達こそがこの町を守る英雄となるのです! この私に付き従うのだ!」
「「「おおッ!!」」」
「うおおお、いたぞ! 例の人面獣だ」
メンバーの1人ギャオが、今日の第1目標とする魔物を見つける。
闇に潜んで行動するその魔物はエフィルアのライトを嫌って出てこなかったため、そこかしこに未だ残っている。
「うっ、なんなのですかこの獣! 闇にまぎれて実態が……」
「きゃああ」
エフィルアが戦った時は、その魔物とまともにやりあう事なく殲滅してしまっていたが、人面獣達はようやく今、本領を発揮した。
闇の中で音を殺し、魔素の乱流で撹乱し、集団で襲い掛かる。
その魔物は、聖女ばかりを執拗に狙う。
囲まれ、孤立し、ついには、暗闇の奥に引きずり込まれていった。
護衛の者の守備範囲からも易々と引き離される。
「くそっ、俺がそうはさせないっ」
駆け出し剣聖のシオエラルが間一髪追いすがる。
が、しかし。
「な、なんだと。今度はスケルトン? みんな! アンデッドが大量に湧いている。とても手には負えないっ」
そこには魔物の待ち伏せ。ナルシス系美男子剣聖は傷つくことを恐れて足を止める。
闇に引きずり込まれた聖女は、四肢を噛み付かれ、抑えられ、剥かれ、ついには獣の下腹部先端突起が彼女の下腹部へと迫る。獣のその行動は性衝動から来るものではなかった。それは、聖女たちへの怨嗟が生み出した行動だった。かつて、同じような目にあわされた者達の怨念だった。
「くそがあああああ 獣や骨がこの私にぃぃぃぃ! 我が聖なる魔力で全ての邪悪なる者を浄化してくれるぁあぁ!」
それでも聖女は持ち前の無駄に強い高慢な精神力で闇の中を這いずり回り、魔力を振り絞る。
暗闇の中での乱戦、死闘。
彼女達は明らかに自分達の実力を見誤っていた。
エフィルアに劣るわけがないという、彼への異常な熱情が判断を狂わせる。
聖女のその滾る熱情は、ただでさえ彼女に吸い寄せられるように押し寄せるてくる人面獣達に、よりいっそうの刺激をあたえるのだった。
それは後方から護衛に付いていたはずの一団にとっても誤算であった。事前に集めていた情報を遥かに上回る量の魔物が沸き上がっていた。
それでも戦いに決着がつく。
聖女のメンバー達は、それぞれに酷い傷を負いながらも死者まではださずに済んだ。
アンデッドには聖属性魔法が異常に効果的なこともあり、酷い苦戦を強いられながらも生き残った。
それでも、聖女はさらなる正義と熱情に突き動かされる。
奥へ、奥へ。
ルーキーパーティーとしては異例の速さ、1日で4階層という町の人達が驚く速度で探索を進めるのだった。
「くぅ、これは聖女たる私への神からの試練。必ずやあの邪神エフィルアを……」
度重なる苦難。聖女の中でエフィルアは邪神にランクアップしていた。
自分に降りかかった災厄は全てあの邪悪な存在が元凶であると思わねば、彼女のプライドと精神は保てなかった。
だがしかし、エフィルアは邪神ではなく魔神だった。
それはともかくとしても、厄災に関しては全て自業自得だった。
「すごいぜ… 聖女の執念。このペースならもうエフィルア達に追いつくかもな」
ギャオ。彼は本当はもうすぐに帰りたかった。いや、誰だってそうだろう。
しかし持ち前の太鼓持ち気質が聖女へ愛想を振りまいてしまう。
「いや、もう追い越してるかもしれないね」
そして剣聖は知らない。
激しい乱戦の終盤で、彼の背後から致命傷になりかねない一撃をあびせてきた人間の事を。
聖女からはすでに、"私を助けなかった糞ヘタレ雑魚、絶対殺す”と思われている事を。
「違いないやっ! はっはっはっ」
「「「は~っはっはっは~」」」
聖女達は、ある面では無駄に精神力が強かった。
自分達の正義と優位を信じて疑わない。
たとえ、股のあたりに不具合を感じたとしても、それを打ち消すように湿った笑い声をダンジョンに響かせるのだった。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる