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50 飛ぶ
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聖女神殿での全てが終わったあと、俺達は再び古城へと戻ってきたのだが……
なんというか、古城は宙に浮き、空を飛んだ。
全く奇妙なことばかりが起こる日々だ。
地獄の大鬼は語る。
「この地はリナザリアの守護神獣殿が治める土地であるから。邪魔をしてはならぬと思うてな」
大鬼さんは生真面目そうな事を言った。
守護神獣ムーニョは大空を飛翔する。その隣で、アンデッドの巣食っていた古城が、遥か上空へと昇ってゆく。
守護神獣は語る。
「そこまでの気遣いはして頂かなくても良かったのだが。しかしせめて、この地の空は自由に使ってもらおうか。恩を受けた相手を外に追いやったとあっては土地神の沽券に関わる」
守護神獣はこの土地の管理力を取り戻したことをとても喜んでくれている。
聖女神殿の連中がやっていた禁術は、それだけこの土地を侵していたようだ。
彼らはどこか他所の神の力を呼び込んでもいたらしく、古くからの土地神からしたら迷惑千番な連中だったようだ。
古城は上昇しながら、その姿を徐々に地上の人々から隠していった。
城の周囲は、灰色の粒子と漆黒の雲でおおわれてゆく。
黒雲には雷鳴が鳴り響き、立ち昇る積乱雲からは炎と氷の投擲槍までもが吹き荒れる始末。
まるで浮遊大陸の魔王城。そんな趣を醸し出し始めていた。
「ここは私共の地上での核ともなる依代にして神域。これくらいの防備は必要になるかと思います」
地獄の死霊王は真面目そうな顔をしてそう言い、地獄の統率者は頷いていた。
そう、いまやこの城は彼らの依代であり棲家となった。
冥府や魔界や地獄といった幾つもの地下界の神々。彼らが地上に顕現するために必要な神域になったという。
地界の神々はトカマル君のように地上で生まれなおしたのではなく、あくまで一時的に実体化しているにすぎない。
地上で実体化して力をふるうためには、この神域と魔力の供給が必要。
いちいち面倒くさそうな話である。
しかし彼らからしてみれば、そんな手間よりも、地上での活動の足がかりを構築できたことの方が遥かに大きな偉業だといって喜んでいる。
「エフィルア様。今回の多大なるご協力に感謝し、特別な品をご用意させていただきました。お納め下さい」
ダフネさんが小さな包みを手渡してくれる。開けてみると、そこにはレンコンのような植物が入っていた。いや、これはまさにどう見てもレンコンである。
「実はエフィルア様が植物食を好むと聞き及びまして、至急取り寄せました。地獄のとある地方で良く育つ植物でして、その根は食用にもなるのです」
「なるほど、いやこれはありがたいですね」
思いも寄らぬところで、貴重な野菜の2品目が手に入ってしまったぞ。
「エフィルアよ、我らはこの城の一部を借り受けて仕事をさせてもらうが、こちらの事は気にせずに好きにすごして欲しい。けして貴殿の生活の邪魔はしない」
「まあ何かお互い協力できることがあればその時は、ですね」
「それは願ってもないことだ」
こうして俺達の、少しばかり奇妙な同居生活が始まった。
「エフィルア様。僕達もここに住むんですか?」
「ああトカマル君、俺たちは城のほうじゃなくて、その下にくっついているコボルトさん達の街に住ませて貰おうと思っているのだけど。どうかな? 俺はあそこがなかなか気にいっているのだよ」
「うーん、城の方がかっこいいですけど、坑道街も素敵ですからね。僕はどっちでも大丈夫ですよ」
「それは良かった。ロアさんはどうです?」
「私としては…… もう少し大きなベッドが欲しいっていうくらいですかね」
「ええとそれは? もしかしてまた一緒に寝るつもりですか? その大狼姿で?」
「もちろんです。だめでしたか?」
「いえ、まあ、とりあえず大きなベッドを探す必要はありますね」
「はいそうしましょう」
そんな感じで俺達は、浮遊古城の下にくっついている土の部分。その中にあるコボルト街の小さな一軒屋で暮らすことになった。
聖女神殿のその後についてだが、あの施設は組織ぐるみで違法な禁忌の魔法実験を繰り返していたとして、正式に取り潰される事になった。
禁術そのものも危険なものだったが、その裏で膨大な一般庶民が犠牲になっていたことも明るみになった。
被害者の多くは旅の行商人や流れの冒険者。あるいは、俺のようにどこか別の場所から飛ばされてきた人もいたようだ。
ダウィシエさんはそのことに気がついていたが、しかし、冒険者ギルドは基本的に政治に不介入な組織である。その町の領主の許可した範囲でしか仕事ができない。彼女は1人密かに抗っていたらしい。
ギルドは国際的な大組織だが、それでも各支部は国や町の領主の許可を得て設置されている。町の領主が是としているものに口出しは出来ない。べつにギルドは正義の組織でもなんでもないのだ。
散り散りになった聖女エルリカの残骸は、地獄勢力が行方を追っている最中だ。
そうそう、1つ重要なことが。
近々俺も人間の町に気軽に遊びに行けそうなのである。この頭に生えた立派な角を、引っ込める新たな方法が見つかったのだ。
実は、この城を浮かせたり地獄勢を召喚しておいたりすることで、俺には嬉しい副作用があったのだ。
もてあまし気味だった俺の魔力を、城の維持や召喚のほうにまわして活用することで…… 角を引っ込めることに成功したのだよ。獣足だってもとの人間足に戻った。
もちろん、その分だけ俺自身の魔力は低下してはいるのだけれど、それでもちょっとした冒険をするのに必要なだけは確保できている。むしろ十分すぎるくらいだ。
それにもしも必要になったときは浮遊古城や召喚先から魔力を回収して使えば良い話である。
ちなみに今使っている魔力を全て回収したのときの俺のレベルは、概算で107万になるそうだ。レベル107万。
地獄の死霊王の計算による推測値だ。
聖女神殿の一件を片付けるために地界から送られてきた魔法的エネルギーが、そのまま浮遊古城や俺に定着しているらしい。
しかし107万とはまたメチャクチャなことを言うものである。
話が大きすぎていまいちピンと来ない感じもする。
これだけ無駄にエネルギーが有り余っていると、使い道がなさそうにも思えた。
だがダフネさん達の話によると、あまった魔力を活用すれば、城や土地の開発も出来るのだとか。
それなら夢が広がるな。まずは風呂だろうか? そういう物も整備できるのだろうか?
なにせこちらの世界に来てから一度も温かい湯船には浸かっていない。
地下に地熱の溜まっている場所はたくさんありそうだし、大きな温泉なんかが造れたら最高である。
農園も作れるだろうか? ただ土地は限られている。浮遊した城の下側にくっついている部分だけになる。しかも農業技術が未発達なこの世界でどこまでできるのやら。
どうやら害虫とかも凄く強いのだよね。ふつうに虫型モンスターなのだから。害虫から農作物を守るだけでも、それなりの設備は必要になりそうだ。
とまあそんな事を考えながら、俺は新しい生活をはじめてゆくのだった。
なんというか、古城は宙に浮き、空を飛んだ。
全く奇妙なことばかりが起こる日々だ。
地獄の大鬼は語る。
「この地はリナザリアの守護神獣殿が治める土地であるから。邪魔をしてはならぬと思うてな」
大鬼さんは生真面目そうな事を言った。
守護神獣ムーニョは大空を飛翔する。その隣で、アンデッドの巣食っていた古城が、遥か上空へと昇ってゆく。
守護神獣は語る。
「そこまでの気遣いはして頂かなくても良かったのだが。しかしせめて、この地の空は自由に使ってもらおうか。恩を受けた相手を外に追いやったとあっては土地神の沽券に関わる」
守護神獣はこの土地の管理力を取り戻したことをとても喜んでくれている。
聖女神殿の連中がやっていた禁術は、それだけこの土地を侵していたようだ。
彼らはどこか他所の神の力を呼び込んでもいたらしく、古くからの土地神からしたら迷惑千番な連中だったようだ。
古城は上昇しながら、その姿を徐々に地上の人々から隠していった。
城の周囲は、灰色の粒子と漆黒の雲でおおわれてゆく。
黒雲には雷鳴が鳴り響き、立ち昇る積乱雲からは炎と氷の投擲槍までもが吹き荒れる始末。
まるで浮遊大陸の魔王城。そんな趣を醸し出し始めていた。
「ここは私共の地上での核ともなる依代にして神域。これくらいの防備は必要になるかと思います」
地獄の死霊王は真面目そうな顔をしてそう言い、地獄の統率者は頷いていた。
そう、いまやこの城は彼らの依代であり棲家となった。
冥府や魔界や地獄といった幾つもの地下界の神々。彼らが地上に顕現するために必要な神域になったという。
地界の神々はトカマル君のように地上で生まれなおしたのではなく、あくまで一時的に実体化しているにすぎない。
地上で実体化して力をふるうためには、この神域と魔力の供給が必要。
いちいち面倒くさそうな話である。
しかし彼らからしてみれば、そんな手間よりも、地上での活動の足がかりを構築できたことの方が遥かに大きな偉業だといって喜んでいる。
「エフィルア様。今回の多大なるご協力に感謝し、特別な品をご用意させていただきました。お納め下さい」
ダフネさんが小さな包みを手渡してくれる。開けてみると、そこにはレンコンのような植物が入っていた。いや、これはまさにどう見てもレンコンである。
「実はエフィルア様が植物食を好むと聞き及びまして、至急取り寄せました。地獄のとある地方で良く育つ植物でして、その根は食用にもなるのです」
「なるほど、いやこれはありがたいですね」
思いも寄らぬところで、貴重な野菜の2品目が手に入ってしまったぞ。
「エフィルアよ、我らはこの城の一部を借り受けて仕事をさせてもらうが、こちらの事は気にせずに好きにすごして欲しい。けして貴殿の生活の邪魔はしない」
「まあ何かお互い協力できることがあればその時は、ですね」
「それは願ってもないことだ」
こうして俺達の、少しばかり奇妙な同居生活が始まった。
「エフィルア様。僕達もここに住むんですか?」
「ああトカマル君、俺たちは城のほうじゃなくて、その下にくっついているコボルトさん達の街に住ませて貰おうと思っているのだけど。どうかな? 俺はあそこがなかなか気にいっているのだよ」
「うーん、城の方がかっこいいですけど、坑道街も素敵ですからね。僕はどっちでも大丈夫ですよ」
「それは良かった。ロアさんはどうです?」
「私としては…… もう少し大きなベッドが欲しいっていうくらいですかね」
「ええとそれは? もしかしてまた一緒に寝るつもりですか? その大狼姿で?」
「もちろんです。だめでしたか?」
「いえ、まあ、とりあえず大きなベッドを探す必要はありますね」
「はいそうしましょう」
そんな感じで俺達は、浮遊古城の下にくっついている土の部分。その中にあるコボルト街の小さな一軒屋で暮らすことになった。
聖女神殿のその後についてだが、あの施設は組織ぐるみで違法な禁忌の魔法実験を繰り返していたとして、正式に取り潰される事になった。
禁術そのものも危険なものだったが、その裏で膨大な一般庶民が犠牲になっていたことも明るみになった。
被害者の多くは旅の行商人や流れの冒険者。あるいは、俺のようにどこか別の場所から飛ばされてきた人もいたようだ。
ダウィシエさんはそのことに気がついていたが、しかし、冒険者ギルドは基本的に政治に不介入な組織である。その町の領主の許可した範囲でしか仕事ができない。彼女は1人密かに抗っていたらしい。
ギルドは国際的な大組織だが、それでも各支部は国や町の領主の許可を得て設置されている。町の領主が是としているものに口出しは出来ない。べつにギルドは正義の組織でもなんでもないのだ。
散り散りになった聖女エルリカの残骸は、地獄勢力が行方を追っている最中だ。
そうそう、1つ重要なことが。
近々俺も人間の町に気軽に遊びに行けそうなのである。この頭に生えた立派な角を、引っ込める新たな方法が見つかったのだ。
実は、この城を浮かせたり地獄勢を召喚しておいたりすることで、俺には嬉しい副作用があったのだ。
もてあまし気味だった俺の魔力を、城の維持や召喚のほうにまわして活用することで…… 角を引っ込めることに成功したのだよ。獣足だってもとの人間足に戻った。
もちろん、その分だけ俺自身の魔力は低下してはいるのだけれど、それでもちょっとした冒険をするのに必要なだけは確保できている。むしろ十分すぎるくらいだ。
それにもしも必要になったときは浮遊古城や召喚先から魔力を回収して使えば良い話である。
ちなみに今使っている魔力を全て回収したのときの俺のレベルは、概算で107万になるそうだ。レベル107万。
地獄の死霊王の計算による推測値だ。
聖女神殿の一件を片付けるために地界から送られてきた魔法的エネルギーが、そのまま浮遊古城や俺に定着しているらしい。
しかし107万とはまたメチャクチャなことを言うものである。
話が大きすぎていまいちピンと来ない感じもする。
これだけ無駄にエネルギーが有り余っていると、使い道がなさそうにも思えた。
だがダフネさん達の話によると、あまった魔力を活用すれば、城や土地の開発も出来るのだとか。
それなら夢が広がるな。まずは風呂だろうか? そういう物も整備できるのだろうか?
なにせこちらの世界に来てから一度も温かい湯船には浸かっていない。
地下に地熱の溜まっている場所はたくさんありそうだし、大きな温泉なんかが造れたら最高である。
農園も作れるだろうか? ただ土地は限られている。浮遊した城の下側にくっついている部分だけになる。しかも農業技術が未発達なこの世界でどこまでできるのやら。
どうやら害虫とかも凄く強いのだよね。ふつうに虫型モンスターなのだから。害虫から農作物を守るだけでも、それなりの設備は必要になりそうだ。
とまあそんな事を考えながら、俺は新しい生活をはじめてゆくのだった。
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