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しおりを挟む物語にはエンディングが存在する。
それは例外など無く、どんな中途半端な物語でも最後に完結と書けばその物語はエンディングを迎えたこととなる。
多くがハッピーエンドで終わる。
『王子さまと真実の愛をみつけましたとさ』
『こうしてお姫様は王子様と幸せに暮らしましたとさ』
どれもこれもがありきたりで、一般的。どこにでもある石ころと同じ。
では、幸せになれなかったモノたちはどうなるのか。
何度も繰り返される処刑や、追放のその先は誰も知らない。
それはこの物語もそうだろうか?
「ラウリー・デュ・カルデラ・エトワール。崇高な聖女を騙る女狐がッ!王族に嘘を吐き陥れようなど、万死に値する」
ラウリーという女性はエトワール伯爵家の長女。
腰の辺りまで伸びた艶のある黒髪、ヒールという武器を脱いでもわかる背の高さ、この国で聖女と呼ばれる特徴である白みがかった蒼色の瞳、薄い唇さえも年齢にそぐわない大人の色気を存分に発揮している。
彼女はこの物語における悪女。
それはもう、悪事の限りを尽くした絶対的な悪。
口からは嘘を吐き、彼女の手は多くを傷つける。
けれど、作者はあとがきにこう書いていた。
『ラウリーは誰もよりも善であり、それを多くの者が知っていたのにも関わらずあの断罪の時誰も反論できなかったのはそうさせた絶対的な悪がそこにいたからなのであって、ラウリーは無実』
まるで主人公であるヒロインが悪だと言い切った文章は波紋を呼び、多くの者が手に取る内容だろう。
多くが読んで同情せざるを得なかった。
この物語に続きがあって、ラウリーに小さくてもいいから幸せが降り注いでほしいと…。
願ってしまわざるを得ない。
たったひとつの変化点で、物語はいくらでも変わってしまう。
それは、ヒロインであったアンヒスがまるで別人のようになってしまったことで明るみに出ることになる。
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