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ドーズバース
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しおりを挟むずっとずっと、苦痛だった。
社会性には個性が必要だと名目上煽てるだけ煽てるのに、実際の所は個性を出せば出る釘は打たれるように淘汰されていく。
なんの個性も無い奴は無い奴で面白くないと白い目で見られ、馬鹿にされる。
ただ人手不足の現状では辞めることも叶わずで、もう居場所も恥を捨てて助けを呼べる年齢も何もかもを失ってから、苦しくて息をすることが難しくなったことを悟った。
我ながら情けない話だとつくづく思う。
会社の屋上の鍵が壊れた為、立ち入らないでと会社の掲示板に貼り出されたのを良い理由に屋上に出た。
普段締め切りの屋上にフェンスなど必要がなく、ある程度の配管の障害物を越えればもう……いつでも空に飛ぶ事が出来た。
けれど自分の情けなさはここからで、つい下を見てしまった。
都会なんて光にまみれた夜も訪れぬ場所では、暗闇がアシストして背中を押してはくれない。
あまりの高さに足がすくんで動けなくなり後ろに倒れ込むように配管に背を預けしゃがみこんだ。
お尻を地面に着けたらもう立てないと、頑張って浮かせていたが歳のせいもあってたった数分で足が痺れて感覚を失い静かにお尻を地面に着けて座った。
「……こんばんは、良い夜ですね」
ふと、横から声がしたかと思えばふわりと香る匂いに酔いそうになる。
声の主は黒髪が柔らかく風に揺れる綺麗な顔立ちのひと。
あまりにも突然で、人間味も感じられないその人をお尻を持ち上げて立ち上がることも出来ないまま見上げる形で見ながら「…死神さんですか」と情けない声で問うた。
「残念ながら死神さんでは無いですね、ただ…貴方が欲しいのは確かです。要らないのならその命僕にくださいませんか」
彼は自分を『ホウジョウ』と名乗り、何故か教えてもいないのに座っている男を『マスミさん』と当てて見せた。
本来ならば不審者に名前を知られている状況など恐怖の対象であろうが、マスミにはもうその恐怖すら必要だと感じ得るだけの生存本能が残っていなかった。
高所に怯えたことで、麻痺したんだと思う。
ホウジョウが差し出した手をマスミは一瞬の躊躇いの後ゆっくりと取った。
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