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甘くて、ほろ苦い
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しおりを挟む皇祈はまるで茹で蛸のように全身を紅潮させ、御廉の言葉を吸収した。
「俺に愛されてくれない?」と言った御廉は先ほどまでと変わらぬ愛しげな表情を皇祈に向ける。
それが、ドッキリや虚言からくるものではないと感じるために安易に言葉を伝えることが出来なかった。
御廉が、自分を好きだというのか。
何年も想い焦がれてきた対象が、同じように自分に想いを馳せてくれていたのか。
どうしよう、嬉しすぎる。
けれどふと、皇祈は頭を過った。
御廉の好きは俺と同じだろうか、キスをし出来ることならそれ以上だってしたい。そういう好きでいてくれてるのだろうか。
そう思ったらどうしても聞かずにはいられなくなってしまう。
「…御廉のそのす、好きはさ。恋愛としての好き?」
「好き?俺愛してるって言ったけど、皇祈は俺のこと好きで止まってるの?」
「……は?え、いや。お、俺も…ぁあ、愛……し…る」
皇祈の初さは、御廉も承知している事実。
男子同士の下ネタを言い合うふざけですら、顔を真っ赤にして「ちゅーをすると赤ちゃんが出来るんだ」と高一まで言っていたのを把握している。それに……。
そんな皇祈には、愛してる、なんてハードルが高く感じてしまうのも無理はない。
けれど、そんな理由で気持ちを知ることを諦めるなんて気持ちも殊更無い。
「言って?皇祈。皇祈は俺のことどう思って、そんなに真っ赤になってるの、兄ちゃんに教えて?」
「なっ!、兄ちゃんとかずりぃ!…あ、あ…い…」
御廉は絶対に皇祈の言葉を聞くまでは折れる気はないらしい。
皇祈はそれを感じ取り、必死に言おうとするけれど羞恥と胸の中にある壁だけがどうしても拭えずに言葉は詰まるばかり。
御廉に愛を伝えたら、と考える度に浮かぶ顔は潔子さんで、繰り返される『あの女の子供』という言葉。
『御廉とは必要最低限のこと以外話し掛けないで。あの女の残り香が御廉に付いたら、って考えるだけで胸くそ悪いの。
家にいれるだけで、有り難いと思いなさい』
毎日のように、止まることなくエンドレスで、皇祈に向けられる矢。
紅潮していた顔は真逆になり、真っ青にさえ見える。
そんな皇祈の頬に添えられた手は優しく温かい。
「皇祈、大丈夫。ここにあの女は居ないよ。俺だけ、俺だけしかいない」
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