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ドーズバース
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しおりを挟む急性のドラッグ症と呼ばれるドラッグの出す匂いを急激に摂取すると起こるアナフィラキシーのような症状に流石の田中も倒れ込み、そのまま担架に乗って一般科へと運ばれた。
担架で運ばれたことを確認し、カタカタとパソコンで『治療意思無し』と田中の情報を一般科総合受付へ流す。これにより田中がD科へ受診することが不可能となった。
送信を終えたと同時に先日、永保大学附属病院へ配属されたばかりの新人が先程鳳城の元から逃げるよう指示された看護師に連れられ挨拶にやって来た。
「本日より配属されました、浅沼と申します。宜しくお願い致します」
緊張した面持ちで鳳城を見つめる浅沼に、鳳城は優しく騒がしくてごめんね。匂い酔いしてない?と気遣った。女であればイケメンに優しく気遣われるとときめいてしまうのが性だろう。
ただ、その優しさを看護師が遮った。
「鳳城先生は人たらしなので、言葉に惑わされぬようにしてください」
「ははっ、新垣さんは厳しいや。改めて鳳城 朔來といいます。わかると思うけどドラッグです。浅沼さんのドラッグ知識を知る必要があるけど…時間を守って異変を感じたらすぐに離れること。いいね?」
浅沼は勿論です、と言いドラッグの学んだ知識を披露した。
『ドラッグはどの種族を問わず病等を治療出来る』
『ノーマルからドラッグが生まれた場合、生んだ側のノーマルには耐性がつくがドラッグの治療範囲外となる』
『ドラッグの治療は即効性があるが副作用もある』
『クランケという存在はドラッグでしか治療が出来ない』
『ドラッグと長時間、三十分以上で吐き気、嘔吐、めまい、酷い場合呼吸困難、意識朦朧が見られる』
『もしドラッグの耐性が無い者が三日側にいるとドラッグ中毒となり一定時間離れると禁断症状で命を落とす』
『ドラッグの血液投与でも中毒、依存性が認められる』
箇条書きで書くように項目ごとに読み上げた浅沼に鳳城はうんうんと頷き、最後の項目だけにはノーマルのみと付け加えておいてと指摘した。
「初手の認識は良いね、俺は番を持っていないから新垣さんのように子供がドラッグの看護師しか就けないけど、会うことはあるから宜しくね」
鳳城が話を締めると新垣は浅沼を連れて病室から出る。時計を見て入ってから十九分が経っていた。
入る前にもした体調の問診に浅沼は真面目に答えた。
「体調に異変はありません………あ、あの。鳳城先生はドラッグの中でも特異個体とお聞きしました。どういった………」
「…浅沼さん、先程も言ったようにあの人は人たらしです。見た目が良いから、優しいからと手を伸ばさぬようにしてください。長く勤めればあの人が何故特異個体と呼ばれるかすぐに理解できる。嫌なほどにね」
浅沼は新垣の答えに少し不満を持ったが、毒があるとわかっていても綺麗な花には誘惑されてしまう虫の気持ちがわかった気がした。
「…鳳城先生、少しお時間良いですか」
数日後の病院内で鳳城は新垣に呼び止められた。
新垣さんこんにちは、と優しく腰を折り曲げ視線を合わせた鳳城に新垣は単刀直入に質問をぶつけた。
「数日前に浅沼さんが、実験に使われたことは分かっています。彼女がもしまだ意識があるのなら返してください」
新垣の言葉に、優しい表情から少しだけ緩んだ表情になった鳳城は躊躇うことなく病院の地下にあるパスコードの必要な部屋のパスを伝えた。
「新垣さんには敵わないなァ、あの子は俺に惚れたんだって。惚れた人間の為なら人間って死をも厭わないじゃない?だから実験で俺の役に立って貰おうと思ったんだ。
また新らしく得られた情報で俺は彼と一緒に居られる時間が増えるんだ…幸せでならない。
俺が幸せならあの子も幸せだと思ったんだけどなァ」
鳳城から聞き出したパスを持ち、地下へと急いで救い出された浅沼はドラッグ症の中でも重度の中毒症状の疑いがありすぐに一般科へ運ばれ治療が施された。
すぐに治ることはないが、浅沼は次に鳳城に会い接触をすれば戻れなくなる現実を突き付けられることになった。
「また、鳳城先生の発作が出たみたい」
「浅沼さんも気の毒に」
「でも、一番可哀想なのはやっぱり………」
鳳城さんの呼ぶ『彼』だと思う……
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