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番の拷
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しおりを挟む医師は事細かに、けれども証拠がある程度の話をした。
αとαが恋に落ち一方がΩ化、Ωでありながらαを統率するものもいる現実など各々の親には想像もつかない話がそこにはあった。
「……で、では息子はΩ化するということですか?」
鳴の母は動揺したように医師に訊いたが、医師は至極不思議な顔をしてそれはないと思うと言いきった。
第二の性が覆るなんていうのは、数百万、数千万に一つ程度の本当に珍しい状態なこと。
さらに治療も含めた再検査で鳴は九十九パーセントと高い数値でβというデータが出ている。
覆ることなど無いに等しいと、説明を受けてもなお不安など消えない。
「私も状態を見るまでは、一時の恋愛感情が見せる虚像に近い番関係だと思っていたわ。
だけど、α達二人ともに番が傷つけられた際に出るホルモンが出てたし、正気も失ったという現実。
でも、あの子達に番の証しは無かった。ということはα達が必死に我慢し続けてたってことだから…不謹慎かも知れないけれど、私個人の意見としてはあの二人にβの子の項を噛んでもらうことで情報を得たいという気持ちがある。
実験対象になってしまうのは本当に稀有な存在だからとわかってほしいの」
医師の真っ直ぐな瞳と発言に流石の親も嫌な顔を一瞬したとはいえ、理解する。
自分たちの息子はイレギュラーなのだと。
…
目覚めた瞬間に何故か痛む腕と、飛んでしまった記憶にひどく混乱した。
隣でまだ夢の中にいる季秋を見つけ、嫌な直感にベッドから飛び起きようと動く。
ガチャンッ
手首を固定し、繋がれた状況に更に混乱した、統の暴れた音に呼応するように扉から白衣を着た医者のような風貌の若い男が入ってくる。
「起きたんだね、おはよう。身体はどうだろう、どこか痛む、吐き気とかは無いかな」
「………腕が痛いで、す。あの。ここは……」
「央木総合病院っていえばわかるかな、君達二人とβの彼が運ばれた。
他の子達は軽症だからね、保健室で対応出来る子はそっちで対処してもらってる」
使われていない教室から、漂った愛しい子の匂いに血が交じりどんどん怒りが膨れ上がって、手が出た。
殴って、殴り続けて。季秋がいつ来たかもわからなくなって。
その間、鳴の無事だけはと……。
「……っッ!!め、鳴ちゃんはッ?!」
「めい…?あ、あぁβの子かな。無事だよ。まだ、意識は戻っていないけどね。
そうそう、ご両親さんたちもいらしてるけど、警察から訊いてほしいっていわれてる事を訊かなきゃね。
君たちは『番だというβの項をどうして噛んでいない』の?」
その質問は統としても、意識が覚醒し始めた季秋にとってもある種の地雷。
怒りがぶわっと溢れ、そのオーラには医者もたじろぐ。
想定以上、通常時で見る番のαが怒る時の数倍の圧がある。
一人で二、三人のαを相手しているようだ。
「………ち、中学の時。まだ第二の性を聞いたばかりの時にヒートに入ってたんだろうΩがαに襲われて項噛み千切られるとこを見た。
βでその場のフェロモンを感じづらい鳴ちゃんしかその場を対処出来なかった。
俺たち二人、フェロモンに動けなくなってたから場を覚えるほどは見れてないけど、鳴ちゃんは違った。
ヒートになったαとΩを見た、恐怖だったんだと思う。
………絶対に鳴ちゃんをヒートに巻き込まないように季秋も俺も必死に…………」
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