22 / 29
ベースノート
021
しおりを挟む
昨日は会場には一時もいなかった。
今日は最後の日だ。
それこそパーティなんて出ずにギルフォードとの時間を増やす方が良いのに……未だにギルフォードに真実を話す勇気が持てない。
「オリヴィア──体調が良くないのかい?」
自然に微笑むことが出来ず、無理矢理の笑みにギルフォードが心配そうだ。
「少し……緊張しているのかも。喉がカラカラだわ」
そう言うとシャンパン入りのグラスをオリヴィアに渡してくれる。
スッキリした香りと微炭酸が弾ける感覚が気持ちいい。
アイマスクをしているのに──自意識過剰なのだろうか。
周りから遠巻きに見られている気がする。
ジョエスタ様にご懐妊のお祝いを申し上げて──その後にギルフォードに話を──しなければならない。
「ジョエスタ様にご挨拶に伺いたいの」
「普通は身分の低い者から話し掛けるのはマナー違反だけど王妃はお喜びになるとは思いますよ。だが──そうすれば貴方がローブの女性だと気づく者も出てくる……」
「いいの……ジョエスタ様に祝福をお伝えしたいの。その後にギルフォードに話さなければ──ならないことがある……の」
「──分かりました」
ギルフォードが訝しむけれどこの場では言葉を飲み込んでくれた。
もう最後になる。
ジョエスタ様を姉のように──妹のように感じていたなんて王妃様にそんな不敬な事は言えないけれど隠伏の魔法使いであるオリヴィアを匿ってくれた尊大な心と深い慈悲に感謝を告げたい。
広い会場の奥へと進む。
周りの方達が避けてくれているのか人の多い会場で歩きにくさを感じない。
顔を隠しても異様な雰囲気を醸しだしでいるのか……やはりこの世界では私は異端なのだろうか。
椅子に座り佇むジョエスタ様が私に気づいたけれど、声を掛けて良いのかと捲ねいている。
お優しい方。不敬を承知でオリヴィアから声を掛ける。
「陛下、王妃様。ご懐妊、誠におめでとう御座います。陛下と王妃様に至福の人生を願っております」
膝を付き下げた頭をゆっくりと上げる。
ジョエスタ様が微笑む。
「お前に願われれば他のどんな者に呪いの言葉を吐かれようともわたくしの人生は至福となるであろうな」
誇らしいお言葉に瞳が潤む。
この方とはこれが最後になる。
ジョエスタ様に触れたいけれどそれは出来ない。
このお方の姿を目に焼き付けておきたい。
そう瞳を合わせ──
「陛下‼︎ 王妃様はこの魔女に騙されております‼︎」
後方からの聞こえた女性の怒声の言葉に一瞬で場が静まり返った。
振り向くと白い法衣を纏った男女の姿があった。
佇まいで高貴の人なのだと分かる。
装飾品も質素に見せてはいるが、どの貴族よりも大きな宝石と輝く金属で出来ている。
「我が妃を愚弄するのはアビラ家の者とは言え言葉が過ぎるぞ」
陛下が静かに牽制するがアビラ家の二人は抑えが効かないように反抗する。
その間にジョエスタ様が他のお客様を部屋から出すように衛兵に指示をしていた。
「この国の神は夫婦神である男神ヒュガルファ様と女神ラニアンサス様です。それなのに王妃様はこの二神を蔑み剰え、この怪しい女を側に置き常に甘言を耳元で唆され正常な判断ができない状態となっております」
ジョエスタ様が諫める。
「夫婦神を蔑ろにしてはおらぬ。わたくしの信じる神よ。だが、それを祀る御主らアビラ家には少々辟易しておる。御主らは自分達をさも夫婦神の化身として吹聴しており度が過ぎる」
「この女がローブの魔女なのは分かっております。しかし、この者の素性を調べさせましたが一向に分からない。何故そのような者が王妃様の側に居られるのですか⁈」
アビラ家の女性がオリヴィアを睨み呪うように見る。
──アビラ家と王家に少しの蟠りがあったにせよ、火種を作ったのはオリヴィアだ。
常識的に考えればアビラ家の言い分も間違いではない。
王妃の側に素性を隠伏した者がいれば怪しみ、その心が増長してもおかしくはない。
「陛下、王妃様。今まで格別の温情を頂きありがとうございました。けれど私は旅に出ようと思います。今日はその挨拶に参りました」
「正体をバラされて逃げるのか!」
オリヴィアの言葉に何かを言い掛けたジョエスタ様も、ギルフォードの言葉もアビラ家の男性の言葉に掻き消された。
「逃すものか!魔女の正体を突き止めて火炙りにしヒュガルファ様とラニアンサス様の元へお送りして裁きを受けなければならぬ!」
──なんだか──何百年も時の止まった塔の中にいて自分は死なないと思っていたけれど、こんな最期もあるのかとぼんやり思ってしまう。
こんな空しい最期もあるのなら──
「アビラ家の方々──貴方様の偉大さは十分理解していますが、出過ぎた口を塞がぬなら、今この場であなた方を捉え火炙りにすることを厭わない者がいることをお忘れなく頂きたい」
ギルフォードの言葉とは思えない冷ややかな言葉だ。
その瞳を受け、更に牽制に動いたギルフォードに慄いたアビラ家の男性が一歩後退する。
それを見たラニアンサス様の化身を騙る女性が懐からナイフを取り出し一気にジョエスタ様に襲い掛かった。
「ジョエスタ様‼︎」
すぐに気がついたギルフォードが彼女を取り押さえ峰打ちで気絶させる。
その惨状に動転した男の方は衛兵のいる扉の方へ逃げていった。
よかった──ジョエスタ様まで刃は届くことなく事なきを得た。
「──ジョエスタ様?」
椅子に寄り掛かり下を向いたまま動かない。
陛下が触れようとすれば牽制のように指で触るなという表示をする。
──もう片方の手はお腹を守るように添えられている。
「──っ」
ジョエスタ様の苦心の声が響く。
──まさか……恐怖が身体に響き御子が流れようとしているの?
ゾクリと背筋が凍る。
急いで上席のジョエスタ様の元まで上がる。
あの普段快活で威厳ある彼女の瞳に涙が溜まっている。
「医師を早く‼︎」
ギルフォードが叫ぶが、これは──無理だ。
医師ではなく必要なのは奇跡だ。
「まってギルフォード……呼ばなくていい──」
「だが──」
「いいの──ジョエスタ様、私の瞳を見て。大丈夫。大丈夫だから。御子は大丈夫よ。私に貴方の腕を──指を──お腹に──触れさせて──すぐに痛みもなくなる──大丈夫よ」
絶望の色をしたジョエスタ様の瞳から涙が溢れる。悔しそうで哀しそうな瞳が切望の瞳になる。
手は震え──片方の手は子宮辺りを押さえ、もう片方の腕はオリヴィアにしがみつく。
「私は魔法使い──大丈夫よ」
そう微笑めば、ジョエスタ様も少し微笑んだ──
今日は最後の日だ。
それこそパーティなんて出ずにギルフォードとの時間を増やす方が良いのに……未だにギルフォードに真実を話す勇気が持てない。
「オリヴィア──体調が良くないのかい?」
自然に微笑むことが出来ず、無理矢理の笑みにギルフォードが心配そうだ。
「少し……緊張しているのかも。喉がカラカラだわ」
そう言うとシャンパン入りのグラスをオリヴィアに渡してくれる。
スッキリした香りと微炭酸が弾ける感覚が気持ちいい。
アイマスクをしているのに──自意識過剰なのだろうか。
周りから遠巻きに見られている気がする。
ジョエスタ様にご懐妊のお祝いを申し上げて──その後にギルフォードに話を──しなければならない。
「ジョエスタ様にご挨拶に伺いたいの」
「普通は身分の低い者から話し掛けるのはマナー違反だけど王妃はお喜びになるとは思いますよ。だが──そうすれば貴方がローブの女性だと気づく者も出てくる……」
「いいの……ジョエスタ様に祝福をお伝えしたいの。その後にギルフォードに話さなければ──ならないことがある……の」
「──分かりました」
ギルフォードが訝しむけれどこの場では言葉を飲み込んでくれた。
もう最後になる。
ジョエスタ様を姉のように──妹のように感じていたなんて王妃様にそんな不敬な事は言えないけれど隠伏の魔法使いであるオリヴィアを匿ってくれた尊大な心と深い慈悲に感謝を告げたい。
広い会場の奥へと進む。
周りの方達が避けてくれているのか人の多い会場で歩きにくさを感じない。
顔を隠しても異様な雰囲気を醸しだしでいるのか……やはりこの世界では私は異端なのだろうか。
椅子に座り佇むジョエスタ様が私に気づいたけれど、声を掛けて良いのかと捲ねいている。
お優しい方。不敬を承知でオリヴィアから声を掛ける。
「陛下、王妃様。ご懐妊、誠におめでとう御座います。陛下と王妃様に至福の人生を願っております」
膝を付き下げた頭をゆっくりと上げる。
ジョエスタ様が微笑む。
「お前に願われれば他のどんな者に呪いの言葉を吐かれようともわたくしの人生は至福となるであろうな」
誇らしいお言葉に瞳が潤む。
この方とはこれが最後になる。
ジョエスタ様に触れたいけれどそれは出来ない。
このお方の姿を目に焼き付けておきたい。
そう瞳を合わせ──
「陛下‼︎ 王妃様はこの魔女に騙されております‼︎」
後方からの聞こえた女性の怒声の言葉に一瞬で場が静まり返った。
振り向くと白い法衣を纏った男女の姿があった。
佇まいで高貴の人なのだと分かる。
装飾品も質素に見せてはいるが、どの貴族よりも大きな宝石と輝く金属で出来ている。
「我が妃を愚弄するのはアビラ家の者とは言え言葉が過ぎるぞ」
陛下が静かに牽制するがアビラ家の二人は抑えが効かないように反抗する。
その間にジョエスタ様が他のお客様を部屋から出すように衛兵に指示をしていた。
「この国の神は夫婦神である男神ヒュガルファ様と女神ラニアンサス様です。それなのに王妃様はこの二神を蔑み剰え、この怪しい女を側に置き常に甘言を耳元で唆され正常な判断ができない状態となっております」
ジョエスタ様が諫める。
「夫婦神を蔑ろにしてはおらぬ。わたくしの信じる神よ。だが、それを祀る御主らアビラ家には少々辟易しておる。御主らは自分達をさも夫婦神の化身として吹聴しており度が過ぎる」
「この女がローブの魔女なのは分かっております。しかし、この者の素性を調べさせましたが一向に分からない。何故そのような者が王妃様の側に居られるのですか⁈」
アビラ家の女性がオリヴィアを睨み呪うように見る。
──アビラ家と王家に少しの蟠りがあったにせよ、火種を作ったのはオリヴィアだ。
常識的に考えればアビラ家の言い分も間違いではない。
王妃の側に素性を隠伏した者がいれば怪しみ、その心が増長してもおかしくはない。
「陛下、王妃様。今まで格別の温情を頂きありがとうございました。けれど私は旅に出ようと思います。今日はその挨拶に参りました」
「正体をバラされて逃げるのか!」
オリヴィアの言葉に何かを言い掛けたジョエスタ様も、ギルフォードの言葉もアビラ家の男性の言葉に掻き消された。
「逃すものか!魔女の正体を突き止めて火炙りにしヒュガルファ様とラニアンサス様の元へお送りして裁きを受けなければならぬ!」
──なんだか──何百年も時の止まった塔の中にいて自分は死なないと思っていたけれど、こんな最期もあるのかとぼんやり思ってしまう。
こんな空しい最期もあるのなら──
「アビラ家の方々──貴方様の偉大さは十分理解していますが、出過ぎた口を塞がぬなら、今この場であなた方を捉え火炙りにすることを厭わない者がいることをお忘れなく頂きたい」
ギルフォードの言葉とは思えない冷ややかな言葉だ。
その瞳を受け、更に牽制に動いたギルフォードに慄いたアビラ家の男性が一歩後退する。
それを見たラニアンサス様の化身を騙る女性が懐からナイフを取り出し一気にジョエスタ様に襲い掛かった。
「ジョエスタ様‼︎」
すぐに気がついたギルフォードが彼女を取り押さえ峰打ちで気絶させる。
その惨状に動転した男の方は衛兵のいる扉の方へ逃げていった。
よかった──ジョエスタ様まで刃は届くことなく事なきを得た。
「──ジョエスタ様?」
椅子に寄り掛かり下を向いたまま動かない。
陛下が触れようとすれば牽制のように指で触るなという表示をする。
──もう片方の手はお腹を守るように添えられている。
「──っ」
ジョエスタ様の苦心の声が響く。
──まさか……恐怖が身体に響き御子が流れようとしているの?
ゾクリと背筋が凍る。
急いで上席のジョエスタ様の元まで上がる。
あの普段快活で威厳ある彼女の瞳に涙が溜まっている。
「医師を早く‼︎」
ギルフォードが叫ぶが、これは──無理だ。
医師ではなく必要なのは奇跡だ。
「まってギルフォード……呼ばなくていい──」
「だが──」
「いいの──ジョエスタ様、私の瞳を見て。大丈夫。大丈夫だから。御子は大丈夫よ。私に貴方の腕を──指を──お腹に──触れさせて──すぐに痛みもなくなる──大丈夫よ」
絶望の色をしたジョエスタ様の瞳から涙が溢れる。悔しそうで哀しそうな瞳が切望の瞳になる。
手は震え──片方の手は子宮辺りを押さえ、もう片方の腕はオリヴィアにしがみつく。
「私は魔法使い──大丈夫よ」
そう微笑めば、ジョエスタ様も少し微笑んだ──
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
『階段対策会議(※恋愛)――年上騎士団長の健康管理が過剰です』
星乃和花
恋愛
【完結済:全9話】
経理兼給仕のクラリスは、騎士団で働くただの事務員――のはずだった。
なのに、年上で情緒に欠ける騎士団長グラントにある日突然こう言われる。
「君は転倒する可能性がある。――健康管理対象にする」
階段対策会議、動線の変更、手をつなぐのは転倒防止、ストール支給は防寒対策。
全部合理的、全部正しい。……正しいはずなのに!
「頬が赤い。必要だ」
「君を、大事にしたい」
真顔で“強い言葉”を投下してくる団長に、乙女心を隠すクラリスの心拍数は業務超過。
さらに副団長ローレンは胃薬片手に「恋は会議にするな!!」と絶叫中!?
これは健康管理?それとも恋愛?
――答え合わせの前に、まず“階段(概念)“をご確認ください。
【完結】純血の姫と誓約の騎士たち〜紅き契約と滅びの呪い〜
来栖れいな
恋愛
「覚醒しなければ、生きられない———
しかし、覚醒すれば滅びの呪いが発動する」
100年前、ヴァンパイアの王家は滅び、純血種は絶えたはずだった。
しかし、その血を引く最後の姫ルナフィエラは古城の影で静かに息を潜めていた。
戦う術を持たぬ彼女は紅き月の夜に覚醒しなければ命を落とすという宿命を背負っていた。
しかし、覚醒すれば王族を滅ぼした「呪い」が発動するかもしれない———。
そんな彼女の前に現れたのは4人の騎士たち。
「100年間、貴女を探し続けていた———
もう二度と離れない」
ヴィクトル・エーベルヴァイン(ヴァンパイア)
——忠誠と本能の狭間で揺れる、王家の騎士。
「君が目覚めたとき、世界はどう変わるのか......僕はそれを見届けたい」
ユリウス・フォン・エルム(エルフ)
——知的な観察者として接近し、次第に執着を深めていく魔法騎士。
「お前は弱い。だから、俺が守る」
シグ・ヴァルガス(魔族)
——かつてルナフィエラに助けられた恩を返すため、寡黙に寄り添う戦士。
「君が苦しむくらいなら、僕が全部引き受ける」
フィン・ローゼン(人間)
——人間社会を捨てて、彼女のそばにいることを選んだ治癒魔法使い。
それぞれの想いを抱えてルナフィエラの騎士となる彼ら。
忠誠か、執着か。
守護か、支配か。
愛か、呪いか——。
運命の紅き月の夜、ルナフィエラは「覚醒」か「死」かの選択を迫られる。
その先に待つのは、破滅か、それとも奇跡か———。
——紅き誓いが交わされるとき、彼らの運命は交差する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王女と2人の誘拐犯~囚われのセリーナ~
Masa&G
ファンタジー
王女セリーナが連れ去られた。犯人は、貧しい村出身の二人の男。だが、彼らの瞳にあったのは憎しみではなく――痛みだった。
閉ざされた小屋で、セリーナは知る。彼らが抱える“事情”と、王国が見落としてきた現実に。
恐怖、怒り、そして理解。交わるはずのなかった三人の心が、やがて静かに溶け合っていく。
「助けてあげて」。母の残した言葉を胸に、セリーナは自らの“選択”を迫られる。
――これは、王女として生きる前に、人としての答えを、彼女は見つけにいく。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる