外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平

文字の大きさ
5 / 69
第一章 冒険者になろう!(初日)

第5話 討伐ポイントとスキル

しおりを挟む
【お知らせ】
前回『スキルポイント』が出て来ましたが、『討伐ポイント』に修正しました。

「よし! 自分のスキルを理解したらステータスボードを閉じろ! ステータスボードを閉じる時は『ステータス! クローズ!』だ!」

 タイソン教官が、訓練場に立つ新人冒険者に指示を出した。
 新人冒険者は、タイソン教官の指示に従いステータスボードを閉じ始める。

 俺は閉じる前に自分のステータスボードを見た。


 ◆―― ステータス ――◆

【名前】 ユウト
【レベル】1
【スキル】レベル1

 ・レベル1⇒討伐ポイントを使って、自分が知るレベル1のスキルを取得することが出来る。

 ◆―――――――――――◆


(討伐ポイントって何かな?)

 俺は不思議に思いながら、『ステータスクローズ』と言いステータスボードを閉じた。

 タイソン教官の説明が続く。
 タイソン教官の見た目は、ヒゲ面でゴツイが見た目に反して丁寧に教えてくれる。

 ・自分のスキルは人に教えるな。
 ・ステータスボードをのぞき込むのは、マナー違反。
 ・冒険者ギルドの職員やパーティーメンバーに、自分のスキルを教えるのは良い。

 冒険者は対人戦になることもあるそうだ。
 自分のスキルは、対人戦の切り札にもなれば、弱点になることもあり得る。
 だから、自分のスキルをペラペラ吹聴するなと注意された。

「スキルは新しく身につけることが出来る。例えば剣術や盾術だ。剣術持ちから動きを教わり、長く剣を使っていると剣術を得られることがある。だから、戦闘スキルが得られなかった者も腐るな! 努力していれば、スキルを得られることがあるのだ! 神は見ているぞ!」

 一人の少年が手を上げてタイソン教官に質問をした。

「あの……剣術はどのくらい修行すればスキルを得られるのでしょうか?」

「まあ、だいたい五年だな。早い者は三年で剣術スキルを得る。ガンバレよ!」

「はいっ!」

 質問した少年は明るく返事をした。
 多分、成人の儀式で戦闘スキルを得られなかったのだろう。

 だが、最短で三年。平均五年。
 このスキル取得までの年数が長いか短いか、微妙なところだな……。

 俺たち新人冒険者は十三歳。
 五年後なら十八歳だ。

 成人の儀式で戦闘スキルが得られなくても、修行を続けて十八歳になれば剣術スキルが得られる。
 体が成長して、バリバリ元気な十八歳でスキルが一つ増えるなら悪くない。

 だが、五年間生き残れるだろうか?

 冒険者は魔物と戦う職業だ。
 当然、魔物は手加減なんてしてくれない。

(これは五年分ショートカット出来ると考えて、俺はスキル【レベル1】でさっさと戦闘スキルを取得した方が良さそうだぞ……)

 俺は早めにスキルを取得しようと心に決めた。
 死にたくないからな。
 生存確率を高めていこう。

「では! 模擬戦でスキルを見せる! 剣術と盾術だ!」

 タイソン教官が剣を抜いて構えた。
 もう一人ガッチリした体格の冒険者が盾を持って進み出る。

「ハッ!」

 タイソン教官が剣を振り下ろし、盾を構えた冒険者が剣を受ける。
 ガン! ガン! と重低音が訓練場に響く。

「振り下ろし! 突き! 切り上げ!」

「受け! いなし! 弾く!」

「剣術スキルがあれば、剣の扱いが楽になる!」

「盾術スキルは、相手の攻撃を防御しやすくなる!」

 二人は声を出して技を解説してくれた。
 なるほど、戦闘スキルがあると二人の教官のように流れるような動きが出来るのか……。

 俺たち新人冒険者は、教官二人の華麗にして力強い戦闘に見入った。

「では、最後に! 討伐ポイントを使った必殺技を見せよう! パワースラッシュ!」

 ドン! と地面を蹴りつける音がしたと思ったら、タイソン教官の体が消えて見えた。

「「「「「えっ!?」」」」」

 気が付いた時は盾を持った教官が後ろに吹き飛ばされていた。

「このように! スキルのレベルが上がると、討伐ポイントを用いて必殺技が使えるようになる! 討伐ポイントは魔物を倒すと手に入る。覚えておけ!」

 俺は疑問を感じて、手を上げてタイソン教官に質問した。

「スキルのレベルを上げるには、どうすればよいですか?」

「魔物を倒して討伐ポイントを貯めろ!」

「えっ……!?」

「討伐ポイントはレベルアップにも使うぞ!」

「……」

 俺は考え込む。
 魔物を倒すと討伐ポイントというポイントが手に入る。
 討伐ポイントは、レベルアップ、スキルのレベルアップ、必殺技に使うことが出来る。

「それって難しくないですか? レベル上げを優先すると必殺技を使わないようにして討伐ポイントを貯める……。でも、早く魔物を倒そうとすれば、討伐ポイントを消費して必殺技に頼らざるを得ないですよね?」

「うむ。そこは自分の強さと相談してくれ」

「つまり……魔物が弱ければ討伐ポイントを貯めて、魔物が強ければ討伐ポイントを使って必殺技を出すと?」

「そうだ! 上手くやれ!」

 最後は『上手くやれ!』と非常にアバウトなアドバイスでまとめられてしまった。

 だが、この世界のシステムは理解出来た。
 とてもゲームっぽい。

 そういえば転生する時に、転生の女神様が『ゲームのような世界で、もう一度生きてみませんか?』と言っていた。
 俺のスキルが【レベル1】なのは、死ぬ前に新しいゲームをプレイしようとした影響なのかもしれない。

「わかりました。がんばります!」

 俺はタイソン教官に礼を述べて頭を下げた。
 すると横から誰かが俺の肩を小突いた。

「なーに言ってやがる! オマエは外れスキルだから関係ないだろう?」

「あっ……!」

 俺の肩を小突いたのは、昨日、神殿で俺を罵倒した太った男の子だった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく
ファンタジー
 異世界でドッペルゲンガーとして転生した、しがないサラリーマン古木海(ふるき かい)は、意外な事に魔王軍の中で順調に出世していた。  しかし順調であった筈の彼の生活は、あっさりと崩壊してしまう。  中央の魔王軍から辺境のど田舎へと追放されてしまった彼は、しかしそこで自らの天職とも言える立場を手に入れる。  ダンジョンマスターとしてダンジョンを運営し、こっそりと冒険者を強化することで人類を滅びの危機から救いたい彼は、恐ろしい部下達の目を盗みながら彼らの味方をしていく。  しかしそれらの行動は何故かいつも思いも寄らぬ方向へと転がっていき、その度に彼らは周りからの評価を高めていってしまう。  これは戦闘能力が皆無の主人公が、強大な力を秘める部下と恐ろしい上司の板ばさみに苦しめられながら、影から人類を救済していく物語。  毎週水・土 20:10更新です。  この作品は「小説家になろう」様にも投降されています。

最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日 冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる 強いスキルを望むケインであったが、 スキル適性値はG オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物 友人からも家族からも馬鹿にされ、 尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン そんなある日、 『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。 その効果とは、 同じスキルを2つ以上持つ事ができ、 同系統の効果のスキルは効果が重複するという 恐ろしい物であった。 このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。      HOTランキング 1位!(2023年2月21日) ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)

処理中です...