外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平

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第二章 冒険の始まり(二日目)

第21話 一緒に昼食

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 ダンジョンから出て来たのは、四人組の冒険者パーティーだった。
 昨日、見た顔だ。
 一緒に新人研修を受けた連中だな。

 俺はミレットに気が付いたことを知らせ、剣を納める。

「昨日一緒だった連中だね」

「そうですわね。ねえ! 一緒に休憩しませんか?」

 ミレットが四人組の新人冒険者パーティーに声を掛けた。
 四人組は、ビックリしたみたいで『どうする?』なんて相談している。

 俺は四人組を観察する。
 四人は全員革鎧で、魔法使いはいない。
 男の子二人に女の子二人。
 身につけている装備は、所々傷があったり、変色していたり……。
 つまりくたびれている。
 昨日、冒険者ギルドに貸与された装備品だ。

 ということは、四人組は親に装備を買えってもらえない普通の平民だろう。
 少なくともジャイルのように、親に装備を買いそろえてもらえる金持ちじゃない。
 ジャイルとも関わりはないだろう。

 ちらっとミレットを見る。
 ミレットは四人組と話したそうだ。
 そういえば、色々な人と交流したいと言っていたな……。
 ここはミレットに協力しよう。
 お昼ご飯をご馳走になったお礼だ。

 俺は四人組に声を掛けた。

「俺はユウト。こっちはミレットだ。良かったら座って休憩しながら情報交換しないか?」

 四人組は俺に声を掛けられると、顔を見合わせた。
 俺はニヤッと笑いながら、くだけた口調で続ける。

「もっとも、ご存知の通り俺は『外れスキル』らしいけど?」

「プッ!」

「こちらに外れスキルの方はいらっしゃいませんか? はーい!」

「ハハ! 何だよ! それ!」
「ウケる!」
「フフフ。面白いわね!」
「ねえ、一緒に話をしましょうよ。お昼ご飯を食べながら」

 四人組の女の子二人は、ミレットの隣に。
 男の子二人は、俺の側に座った。

 俺たちはお弁当を食べながら、ワイワイと話した。
 俺が『二人ともレベル2になった』と告げると男の子二人――ディキシーとペリンが驚く。

「ええ!? 二人ともレベル2なの!?」

「早いな!」

 俺は事前情報を持っていないので、午前中でレベル2になったのが早いのか遅いのかわからない。
 ディキシーとペリンに話を振る。

「早いのかな?」

「普通は二日。早くて一日だろ」

「うん。俺も近所のお兄ちゃんから、そう聞いたぜ」

「そうか……俺とミレットは早いんだな」

 なぜだろう?
 俺はディキシーたちが、どんな風にダンジョン探索をしているか聞いてみた。
 すると入り口付近をウロウロしていると言う。

「それじゃ魔物を見つけるのに時間がかかるだろう?」

「ああ。オマケに他の新人パーティーもいるから取り合いになってる」

「ヒドイのはジャイルのパーティーだよ」

「何があったの?」

「横から出て来て、獲物を横取りするんだ」

 ペリンが口を尖らせる。
 詳しく聞いてみると、ペリンたちがホーンラビットと戦闘になっているにも関わらず、横からジャイルが割り込んで来たそうだ。

「それはヒドイな……災難だったな……」

 ジャイルの行動は、バッドマナーどころじゃないな。
 俺はディキシーとペリンに『冒険者ギルドに報告したらどうか?』と提案した。
 だが、二人の反応は悪い。

「ユウト。ジャイルの実家を知ってる?」

「いや、知らない」

「ジャイルの実家は商店なんだ。それも大店の」

「ジャイルの実家ににらまれたら、ちょっと厄介なのさ」

 なるほど……街の有力者ってことか。
 俺は納得してうなずく。

「それはもめない方が良いな」

「だろう?」

「だから、俺たちは横取りされたけど、すぐにジャイルたちから離れたのさ」

 あいつはどこまでも迷惑なヤツなんだな。

 ミレットの方もジャイルの話になっていた。

「ジャイルは、ミレット様のことを好きよね!」

「そうそう! わかりやすすぎるわよね!」

 ミレットは、女の子二人に困った笑顔を向けている。
 女の子二人は、ミレットの気持ちを察したみたいで、話題の転換を図った。

「でも、ジャイルのパーティーは無茶苦茶よね!」

「そう! ジャイル以外のパーティーメンバーがかわいそうだわ!」

 彼女らによると、ジャイルは昨日と同じで自分中心の立ち回りをしていたそうだ。

「本当にジャイルさんも、もう少し周りに優しくなれると良いのですけど……」

 ミレットが顔を曇らせた。
 ミレットはジャイルと関わり合いになりたくないんだな。

 俺もジャイルにからまれたくない。
 近づかないようにしよう。
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