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第四章 中級ダンジョン
第54話 ラーメン! つけ麺! そして仮メン!
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訓練場へ行くと、沢山の冒険者が待機していた。
ざっと見たところ五十人はいる。
冒険者パーティーは四人組や五人組が多いから、十パーティー以上集まっているな。
俺は、冒険者たちが仲間意識や助け合い精神を持っていることに嬉しくなった。
アンのお父さんが見つかると良い。
俺たち三人は、先輩冒険者たちに遠慮して訓練所の隅の方で待機した。
すぐにタイソン教官が演台に上がり話し始めた。
「よーし! みんな聞いてくれ! 各パーティーが受け持つ階層を発表する!」
タイソン教官から各パーティーの受け持ち階層が伝えられる。
タイソン教官によれば、アンのお父さんが所属するパーティーは、よく七階層と八階層で狩りをしていたらしい。
七階層と八階層にそれぞれ四パーティー、合計八パーティーが投入された。
九階層と十階層は、タイソン教官が率いる冒険者ギルドのパーティー。
二階層と三階層に一パーティー。
四階層と五階層に一パーティー。
六階層に一パーティー。
「ユウトのパーティー!」
そして、俺たちがタイソン教官に呼ばれた。
「オマエたちは、一階層を探してくれ。一階層にいる可能性は低いと思うが、ワンフロアずつ潰しておきたい」
アンのお父さんはキャリアのあるベテランだ。
一階層で行方不明になっている可能性は低いだろう。
だが、タイソン教官の言う通り『万が一』を潰しておく意味で一階層の探索は意味がある。
「はい! 丁寧に探してみます!」
「うむ。オマエたちは、まだ新人だ。無理はするなよ?」
「「「はい!」」」
俺、ミレット、アンの三人で元気に返事をする。
特にアンは気合いが入っている。
「これは一階層の地図と捜索対象者に関するメモだ」
タイソン教官は、手書きの地図とアンのお父さんたちについて書いたメモを手渡してくれた。
俺はメモ書きを、字が読めるミレットに渡し、地図に目を落とす。
中級ダンジョンは、フィールド型のダンジョンで、ダンジョンの中に屋外のようなフィールドが展開されているそうだ。
初心者ダンジョンよりも広いらしい。
手書きの地図なので縮尺は分からないが、大まかな配置がイラストで描かれている。
中央に地上へつながる階段。
右上、右下、左下、左上の四箇所に泉のような絵が描いてある。
ここは水場だろう。
森……、岩場……。
そして二階層へつながる階段は、左下にある。
俺は顔を上げてミレットに声を掛ける。
するとミレットは困惑し、アンは眉根を寄せている。
「地図は頭に入ったよ。あれ? ミレット? アン? どうしたの?」
「アンさんが、パーティーメンバーが違うとおっしゃるのです」
「えっ!? ギルドから提供された情報が間違ってるの!?」
俺の一言で、訓練場がざわっと騒がしくなった。
タイソン教官が慌てて場をおさめようとする。
「静かに! 静かに! 今、確認する! アン。このメモに書いてあるのは、お父さんのパーティーメンバーについてだ。ギルドに登録された情報をもとにしている。違っているのか?」
「はい。前衛のスティーブさんが田舎に帰るって父から聞きました。代わりに若い人が入ると」
「メンバーの入れ替えがあったのか……」
「まだ仮だと言ってました。確か……タナーさんです!」
アンが新しいメンバーを思い出したらしい。
仮というから、ギルドには届けていなかったのだろう。
お試し加入期間にトラブルが発生したってとこか……。
「タナー? おいっ! 誰かタナーについてわかるヤツはいるか?」
タイソン教官が、訓練場に集まった冒険者に情報提供を呼びかける。
一人若いお兄ちゃんが手を上げた。
「タナーなら俺と同期だよ! 元いたパーティーが解散して、ソロでやってた」
「身長や髪の色は?」
「背丈は俺と同じくらい。細身の剣士だ。髪はくすんだ金髪で、肩まで伸ばしてる。目の色は青。装備はブーツ、革鎧、ショートソード。レベルは10で、ニヤけた顔をしてる」
「わかった! 情報感謝する!」
出発前から想定外のことが起きたが、捜索隊は冒険者ギルドを出て中級ダンジョンへ向かった。
ざっと見たところ五十人はいる。
冒険者パーティーは四人組や五人組が多いから、十パーティー以上集まっているな。
俺は、冒険者たちが仲間意識や助け合い精神を持っていることに嬉しくなった。
アンのお父さんが見つかると良い。
俺たち三人は、先輩冒険者たちに遠慮して訓練所の隅の方で待機した。
すぐにタイソン教官が演台に上がり話し始めた。
「よーし! みんな聞いてくれ! 各パーティーが受け持つ階層を発表する!」
タイソン教官から各パーティーの受け持ち階層が伝えられる。
タイソン教官によれば、アンのお父さんが所属するパーティーは、よく七階層と八階層で狩りをしていたらしい。
七階層と八階層にそれぞれ四パーティー、合計八パーティーが投入された。
九階層と十階層は、タイソン教官が率いる冒険者ギルドのパーティー。
二階層と三階層に一パーティー。
四階層と五階層に一パーティー。
六階層に一パーティー。
「ユウトのパーティー!」
そして、俺たちがタイソン教官に呼ばれた。
「オマエたちは、一階層を探してくれ。一階層にいる可能性は低いと思うが、ワンフロアずつ潰しておきたい」
アンのお父さんはキャリアのあるベテランだ。
一階層で行方不明になっている可能性は低いだろう。
だが、タイソン教官の言う通り『万が一』を潰しておく意味で一階層の探索は意味がある。
「はい! 丁寧に探してみます!」
「うむ。オマエたちは、まだ新人だ。無理はするなよ?」
「「「はい!」」」
俺、ミレット、アンの三人で元気に返事をする。
特にアンは気合いが入っている。
「これは一階層の地図と捜索対象者に関するメモだ」
タイソン教官は、手書きの地図とアンのお父さんたちについて書いたメモを手渡してくれた。
俺はメモ書きを、字が読めるミレットに渡し、地図に目を落とす。
中級ダンジョンは、フィールド型のダンジョンで、ダンジョンの中に屋外のようなフィールドが展開されているそうだ。
初心者ダンジョンよりも広いらしい。
手書きの地図なので縮尺は分からないが、大まかな配置がイラストで描かれている。
中央に地上へつながる階段。
右上、右下、左下、左上の四箇所に泉のような絵が描いてある。
ここは水場だろう。
森……、岩場……。
そして二階層へつながる階段は、左下にある。
俺は顔を上げてミレットに声を掛ける。
するとミレットは困惑し、アンは眉根を寄せている。
「地図は頭に入ったよ。あれ? ミレット? アン? どうしたの?」
「アンさんが、パーティーメンバーが違うとおっしゃるのです」
「えっ!? ギルドから提供された情報が間違ってるの!?」
俺の一言で、訓練場がざわっと騒がしくなった。
タイソン教官が慌てて場をおさめようとする。
「静かに! 静かに! 今、確認する! アン。このメモに書いてあるのは、お父さんのパーティーメンバーについてだ。ギルドに登録された情報をもとにしている。違っているのか?」
「はい。前衛のスティーブさんが田舎に帰るって父から聞きました。代わりに若い人が入ると」
「メンバーの入れ替えがあったのか……」
「まだ仮だと言ってました。確か……タナーさんです!」
アンが新しいメンバーを思い出したらしい。
仮というから、ギルドには届けていなかったのだろう。
お試し加入期間にトラブルが発生したってとこか……。
「タナー? おいっ! 誰かタナーについてわかるヤツはいるか?」
タイソン教官が、訓練場に集まった冒険者に情報提供を呼びかける。
一人若いお兄ちゃんが手を上げた。
「タナーなら俺と同期だよ! 元いたパーティーが解散して、ソロでやってた」
「身長や髪の色は?」
「背丈は俺と同じくらい。細身の剣士だ。髪はくすんだ金髪で、肩まで伸ばしてる。目の色は青。装備はブーツ、革鎧、ショートソード。レベルは10で、ニヤけた顔をしてる」
「わかった! 情報感謝する!」
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