外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平

文字の大きさ
54 / 69
第四章 中級ダンジョン

第54話 ラーメン! つけ麺! そして仮メン!

しおりを挟む
 訓練場へ行くと、沢山の冒険者が待機していた。
 ざっと見たところ五十人はいる。
 冒険者パーティーは四人組や五人組が多いから、十パーティー以上集まっているな。

 俺は、冒険者たちが仲間意識や助け合い精神を持っていることに嬉しくなった。
 アンのお父さんが見つかると良い。

 俺たち三人は、先輩冒険者たちに遠慮して訓練所の隅の方で待機した。
 すぐにタイソン教官が演台に上がり話し始めた。

「よーし! みんな聞いてくれ! 各パーティーが受け持つ階層を発表する!」

 タイソン教官から各パーティーの受け持ち階層が伝えられる。
 タイソン教官によれば、アンのお父さんが所属するパーティーは、よく七階層と八階層で狩りをしていたらしい。
 七階層と八階層にそれぞれ四パーティー、合計八パーティーが投入された。
 九階層と十階層は、タイソン教官が率いる冒険者ギルドのパーティー。
 二階層と三階層に一パーティー。
 四階層と五階層に一パーティー。
 六階層に一パーティー。

「ユウトのパーティー!」

 そして、俺たちがタイソン教官に呼ばれた。

「オマエたちは、一階層を探してくれ。一階層にいる可能性は低いと思うが、ワンフロアずつ潰しておきたい」

 アンのお父さんはキャリアのあるベテランだ。
 一階層で行方不明になっている可能性は低いだろう。

 だが、タイソン教官の言う通り『万が一』を潰しておく意味で一階層の探索は意味がある。

「はい! 丁寧に探してみます!」

「うむ。オマエたちは、まだ新人だ。無理はするなよ?」

「「「はい!」」」

 俺、ミレット、アンの三人で元気に返事をする。
 特にアンは気合いが入っている。

「これは一階層の地図と捜索対象者に関するメモだ」

 タイソン教官は、手書きの地図とアンのお父さんたちについて書いたメモを手渡してくれた。

 俺はメモ書きを、字が読めるミレットに渡し、地図に目を落とす。

 中級ダンジョンは、フィールド型のダンジョンで、ダンジョンの中に屋外のようなフィールドが展開されているそうだ。
 初心者ダンジョンよりも広いらしい。

 手書きの地図なので縮尺は分からないが、大まかな配置がイラストで描かれている。

 中央に地上へつながる階段。

 右上、右下、左下、左上の四箇所に泉のような絵が描いてある。
 ここは水場だろう。

 森……、岩場……。
 そして二階層へつながる階段は、左下にある。

 俺は顔を上げてミレットに声を掛ける。
 するとミレットは困惑し、アンは眉根を寄せている。

「地図は頭に入ったよ。あれ? ミレット? アン? どうしたの?」

「アンさんが、パーティーメンバーが違うとおっしゃるのです」

「えっ!? ギルドから提供された情報が間違ってるの!?」

 俺の一言で、訓練場がざわっと騒がしくなった。

 タイソン教官が慌てて場をおさめようとする。

「静かに! 静かに! 今、確認する! アン。このメモに書いてあるのは、お父さんのパーティーメンバーについてだ。ギルドに登録された情報をもとにしている。違っているのか?」

「はい。前衛のスティーブさんが田舎に帰るって父から聞きました。代わりに若い人が入ると」

「メンバーの入れ替えがあったのか……」

「まだ仮だと言ってました。確か……タナーさんです!」

 アンが新しいメンバーを思い出したらしい。
 仮というから、ギルドには届けていなかったのだろう。
 お試し加入期間にトラブルが発生したってとこか……。

「タナー? おいっ! 誰かタナーについてわかるヤツはいるか?」

 タイソン教官が、訓練場に集まった冒険者に情報提供を呼びかける。
 一人若いお兄ちゃんが手を上げた。

「タナーなら俺と同期だよ! 元いたパーティーが解散して、ソロでやってた」

「身長や髪の色は?」

「背丈は俺と同じくらい。細身の剣士だ。髪はくすんだ金髪で、肩まで伸ばしてる。目の色は青。装備はブーツ、革鎧、ショートソード。レベルは10で、ニヤけた顔をしてる」

「わかった! 情報感謝する!」

 出発前から想定外のことが起きたが、捜索隊は冒険者ギルドを出て中級ダンジョンへ向かった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく
ファンタジー
 異世界でドッペルゲンガーとして転生した、しがないサラリーマン古木海(ふるき かい)は、意外な事に魔王軍の中で順調に出世していた。  しかし順調であった筈の彼の生活は、あっさりと崩壊してしまう。  中央の魔王軍から辺境のど田舎へと追放されてしまった彼は、しかしそこで自らの天職とも言える立場を手に入れる。  ダンジョンマスターとしてダンジョンを運営し、こっそりと冒険者を強化することで人類を滅びの危機から救いたい彼は、恐ろしい部下達の目を盗みながら彼らの味方をしていく。  しかしそれらの行動は何故かいつも思いも寄らぬ方向へと転がっていき、その度に彼らは周りからの評価を高めていってしまう。  これは戦闘能力が皆無の主人公が、強大な力を秘める部下と恐ろしい上司の板ばさみに苦しめられながら、影から人類を救済していく物語。  毎週水・土 20:10更新です。  この作品は「小説家になろう」様にも投降されています。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

処理中です...