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第2章 イカサマだらけの神のルーレット

2-21 またもスクロールを大人買い

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 長身レイアとネコ獣人カレンの冒険者登録とジョブ登録が終わった。
 レイアは戦士、カレンは盗賊になり、二人は満足気だ。

 だが、俺はまだ満足していない。
 やる事は、まだまだあるのだ!

 パーティー強化U作戦は、まだ途上である!
 戦いは数だよ!

 さて、次は装備品だ。
 ジョブが決まったら次は装備。
 これ基本。

 ワーリャさんに冒険者ギルドの会議室を借りる。
 昨日、武器防具屋で買っておいた装備品をマジックバッグから取り出す。

「レイアは丈夫な鉄の槍、カレンは短剣を二本とナイフ、アリーは杖。それと革鎧や服も適当に買っておいたから着替えてくれ」

 それぞれに装備品と服を手渡す。
 中古品や初心者向けの安い物だけれど、ダンジョンの低階層なら十分だ。

 姫様アリーが嬉しそうだ。

「わらわもかえ?」

「うん。アリーのドレス姿は素敵だけれど、目立ち過ぎる。それと動きやすさ重視で普通の服に革鎧にしてくれ」

「ふむ。下々と同じ姿に変装する訳じゃな?」

「そうそう。目立たず、お忍びと言う事で」

「よかろう♪」

 ご機嫌だな。アリー。
 ドレス以外を着るのが新鮮なのかな?
 まあ、楽しんでくれるなら何より。

 またもどこからともなくメイド隊と執事が現れ衝立を設置してアリーの着替えを手伝いだした。
 オマエら、いつもいつも!
 どこに隠れてるんだよ!

「ふむ。これが平民の服かえ♪」

 着替えるのはえーよ!
 アリーには、キュロットスカートに薄いピンクのシャツを買った。

「よおおお! ナーオト! 腹が減ったぜえ! こんな感じかえ? わらわも平民の娘に見えるかえ?」

「ふふふ。見える! 見える! 上手いぞ、アリー」

 姫様アリーは、何を着ても似合うな。
 元が良いからな。

 レイアには、髪の毛に合わせて青の服と革鎧と鉄の槍。
 力のあるレイアには、重くても頑丈な鉄の槍の方が良いだろう。

 カレンには、オレンジ色のシャツと動きやすい裾の短いズボンだ。
 武器は初心者用の短剣を二本と罠の解除にも使えるナイフだ。

 レイアとカレンは毛皮を巻き付けた蛮族スタイルだったが、やっとまともな格好になった。

「はい! じゃあ、次に行きまーす! ついて来てー!」

 ぞろぞろと四人を引き連れて移動する。

 ジョブ、フォーメーション、装備と来て、最後はスキルだ。
 スキルを得るには、スクロール。

 スクロール屋のパベルの店へ来た。
 ドアを開け店内に入ると店主のパベルさんが出迎えてくれた。

「お待ちしておりました。こちらがパーティーメンバーの皆さんですね。スクロールは用意してありますので、どうぞこちらへ」

 昨日の内にパーティーメンバーのジョブと問題点は、パベルさんに相談済みだ。
 それぞれのメンバーに合うスクロールを見繕って貰っている。

「じゃあ、早速お願いします! まずはレイアから!」

「そちらの長身の方がレイアさんですね。レイアさんには、この銅スクロールを。スキル『パワースラッシュ』です。それとこちらの銀スクロールはスキル『大車輪』です」

 スキル『パワースラッシュ』は、戦士の定番スキルだ。
 強力な斬撃を敵に見舞う。
 槍の場合は、上から強力な打ち下ろしを放つそうだ。

 銀スクロールのスキル『大車輪』は、防御用のスキルでレア度が高い。
 スキル名の通り槍を大きく回転させて敵の攻撃を防ぐ。

 これで前衛のレイアはスキル『槍術』と『パワースラッシュ』で攻撃力が出て、スキル『再生』と『大車輪』で防御力が上がる。

 硬くて攻撃力のある前衛の出来上がりだ!

「次は、盗賊のカレン!」

「カレンさんは、既に高いスカウティング能力をお持ちと伺いましたので、盗賊系スキルを中心にスクロールをご用意しました。まず銅スクロールは、『罠探知』と『罠解除』。銀スクロールは、『罠設置』と『お宝探知』です。それと戦闘用の補助スキルとして、銅スクロール『投擲術』をご用意しました」

 カレンのスキル構成は、盗賊に特化した。

 ダンジョン内のトラップを探知する『罠探知』とトラップを解除する『罠解除』で、安心してダンジョン探索を進められる。
 さらに『お宝探知』で、宝箱の発見確率を上げレアアイテム獲得を狙ってみた。

 戦闘補助スキル『投擲術』は、投げナイフが出来るようになる。
 投げナイフは与えるダメージは低いが、小さなモーションで離れた距離を攻撃可能なスキルだ。
 弓矢や魔法と違って、ほぼノータイムで攻撃出来るので、何かの役に立つだろう。

 そしてスキル『罠設置』は、その名の通りトラップを設置できるスキルだ。
 ただし……。

「スキル『罠設置』単体では何も出来ません。トラップのレシピと材料が必要になります」

「ニャ? レシピ?」

「ダンジョンでドロップするスクロールの一種です。トラップの設計図ですな。生憎とただいま当店では在庫を切らしております」

 トラップのレシピスクロールは銅スクロールなのだけれど、あまりドロップしないそうだ。
 なのでスキル『罠設置』は、すぐには使えないスキルだ。
 今後ダンジョンでレシピスクロールが手に入れるかもしれないので、買っておく事にした。

「次は魔法使いのアリー」

「わらわにも用意してくれたのかえ?」

「ああ。魔法使いはパーティーのメイン火力だからな」

 これは誇張じゃない。
 敵全体を一気に攻撃できる魔法使いは、冒険者パーティーのメイン火力たり得る。

 今は初心者向けの『赤のダンジョン』低階層だが、先々別のダンジョンやもっと深い階層に潜る事を考えると姫様アリーの強化も手を抜けない。

「アリー様は風属性の中級魔法。火と水属性の初級魔法を既にお使いになられると伺っております。ナオト様からのリクエストで、用意したスクロールがこちらです」

 パベルさんが、金スクロールと銀スクロールを取り出す。

「まずこちらの金スクロールは、スキル『魔力軽減』です。魔法発動時に必要な魔力を半分にしてくれます。そして銀スクロールは『魔力調整』です。魔法発動時に魔力の調整を行うので、MPの使用量が適正になります」

「ほう……。なるほど……。確かにわらわは魔力のコントロールが上手くない。これらのスキルを得れば、継続して魔法を放てそうじゃな」

 そう! 姫様アリーの課題は継戦能力だ!
 一発のデカイ風魔法でMPを使い切って、使い物にならなくなる魔法使いでは困ってしまう。

 スキル『魔力調整』と『魔力軽減』があれば、一回のMP使用量がかなり抑えられるはずだ。
 そしてレベルアップしていけば、魔法を何回も打てる魔法使い、継戦能力の高い魔法使いに成長出来る。

「さて、最後はエマだね」

「わたしも何かあるの! 嬉しいんだよ!」

「その前に確認なんだけれど、エマは他の魔法はスキル取得出来ないの?」

「うん。闇魔法はコストが3だからだよ!」

「コスト?」
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