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第一章 王都から追放
第7話 爆売れ! エトワール・グラス
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「ワイングラスを二十脚くれ!」
「こっちはワイングラス五十脚にガラスの花瓶を三点だ!」
「在庫はまだございます! 落ち着いて下さい!」
売れている!
売れているぞ!
俺が生産スキル【マルチクラフト】で生成したワイングラスが大人気だ。
執事のセバスチャンは、王都の商業ギルドにワイングラスを持ち込んだ。
見本として一脚だけだが、商業ギルドは食いついた。
『セバスチャン殿……。こ、この美麗なワイングラスは……?』
『エトワール・グラスと申しまして、当家エトワール伯爵家で生産いたしました。ただ、残念なことに本日王都を去ることになりまして、販売は本日夕刻までです』
『わかりました! すぐ王都の商人たちに連絡します!』
というような会話が、商業ギルドのギルド長と執事セバスチャンの間で交されたそうだ。
エトワール・グラスなんてブランド名をとっさに付けるなんて、セバスチャンはなかなか商売上手だ!
俺は感心して、セバスチャンを大いに褒めた。
執事セバスチャンが戻ってきて一時間もしないうちに、沢山の商人たちがエトワール伯爵家の王都屋敷に突撃してきた。
玄関ホールには、俺が生産スキルで生成した木製のテーブルを並べて置き、テーブルの上には沢山のワイングラスとガラスの花瓶が並ぶ。
商人たちは、エトワール・グラスに食いついた!
「これがエトワール・グラスか!」
「おお! この美しいフォルム!」
「薄い! 薄いぞ! なんて上品なんだ!」
「グラスを弾くと澄んだ音がするぞ!」
商人たちの反応を見た執事のセバスチャンが、獲物を見据えた目をした。
「エトワール・グラス販売会場へようこそ! ワイングラスは一脚十万リーブル。花瓶は一点百万リーブルで販売いたします」
「「「「「買った!」」」」」
セバスチャンの値付けは、かなり強気だ。
十万リーブルあれば、平民一人が一月生活出来る。
貧乏貴族のエトワール伯爵家で育った俺には、ワイングラスが十万リーブルなのが高いのか安いのかイマイチ判断が付かない。
だが、ワイングラス一つが、平民一人が生活出来る価格と考えれば、相当高額だとわかる。
俺がスキル【マルチクラフト】で生成したワイングラスは、ツタや薔薇をモチーフにした模様が刻み込まれた高級仕様だ。
さらに飲み口は薄いので、唇が触れた時の感触も最高だ。
ガラスの花瓶は、ゴージャスなカットグラスで、中央に色々なモチーフを入れてある。
獅子、竜、剣、弓、薔薇、百合など、貴族が好みそうなモチーフを刻み込んであるのだ。
花を活けても良いが、ドン! とエトワール・グラスの花瓶を単体で飾るのも良いだろう。
商人たちは、取引のある貴族家の家紋に近いモチーフの入った花瓶を見つけて買い込んでいく。
即席で作ったテーブルの上に置いたワイングラスと花瓶が次々に消えていく。
一万リーブル金貨と十万リーブル大金貨が、執事セバスチャンのそばに置いてある台に山積みになって行く様は壮観だ。
俺は屋敷の奥からそっと玄関ホールの様子をのぞき見ているのだが、笑いが止まらない。
これまでの貧乏生活は何だったのか。
妹のマリーとネコネコ騎士のみーちゃんも、俺と一緒にのぞき見ている。
マリーとみーちゃんは、俺がエトワール・グラスを作っている間に仲良くなったようだ。
「わあ、お兄様! お金がいっぱい!」
「すごいニャ! 今夜はスキヤキが良いニャ!」
スキヤキとは懐かしい!
まあ、そうだな!
儲かったのだから、美味しい物を妹のマリーに食べさせなくては!
俺たちの視線に気が付いたセバスチャンが、早足でこちらに来た。
「ノエル様。追加制作をお願いいたします! ワイングラスを大量に。花瓶も三十点お願いします」
「わかった。出来上がったら、ここに置くから」
「ありがとうございます。それからご相談でございますが、現物での支払いを認めてもよろしいでしょうか?」
「現物? どういうことだ?」
執事のセバスチャンによれば、商人たちは可能な限り沢山のエトワール・グラスを仕入れたいそうだ。
だが、急な売買のため、金貨を大量に用意できなかった商人もいる。
金貨が用意できなかった商人は、商人が保有する在庫商品で支払いたい――つまり物々交換に応じて欲しいと言っているそうだ。
「どんな物と交換したいのだ?」
「はい。高級布地、宝石、魔石、魔道具、金属のインゴットなどです」
ふむ……。
生産スキル【マルチクラフト】の材料になりそうだな。
布地があれば、妹のマリーに服を作ってやれる。
それに魔石や魔道具も魅力を感じるな。
「どうしても手持ちの金貨がないのであれば、物々交換に応じても良いだろう。ただし、俺たちは今夜南へ立つ。あまりかさばる物や食料のように腐る物は困る」
「心得ました。役に立ちそうな物を中心に交換するようにいたします」
「任せた!」
執事セバスチャンが、笑顔で玄関ホールへ戻って行く。
「さあ! しばらくすると追加が来ますよ! 今日で最後! エトワール・グラスを手に入れる最後のチャンスでございますよ!」
執事セバスチャンの元気な声が響いた。
エトワール・グラスは夕方までに完売し、大量の金貨と物資を俺たちは得た。
これで新領地への旅費と整備資金が調達出来た。
ちなみに……エトワール伯爵家王都屋敷の窓ガラスは、全てなくなってしまった。
「こっちはワイングラス五十脚にガラスの花瓶を三点だ!」
「在庫はまだございます! 落ち着いて下さい!」
売れている!
売れているぞ!
俺が生産スキル【マルチクラフト】で生成したワイングラスが大人気だ。
執事のセバスチャンは、王都の商業ギルドにワイングラスを持ち込んだ。
見本として一脚だけだが、商業ギルドは食いついた。
『セバスチャン殿……。こ、この美麗なワイングラスは……?』
『エトワール・グラスと申しまして、当家エトワール伯爵家で生産いたしました。ただ、残念なことに本日王都を去ることになりまして、販売は本日夕刻までです』
『わかりました! すぐ王都の商人たちに連絡します!』
というような会話が、商業ギルドのギルド長と執事セバスチャンの間で交されたそうだ。
エトワール・グラスなんてブランド名をとっさに付けるなんて、セバスチャンはなかなか商売上手だ!
俺は感心して、セバスチャンを大いに褒めた。
執事セバスチャンが戻ってきて一時間もしないうちに、沢山の商人たちがエトワール伯爵家の王都屋敷に突撃してきた。
玄関ホールには、俺が生産スキルで生成した木製のテーブルを並べて置き、テーブルの上には沢山のワイングラスとガラスの花瓶が並ぶ。
商人たちは、エトワール・グラスに食いついた!
「これがエトワール・グラスか!」
「おお! この美しいフォルム!」
「薄い! 薄いぞ! なんて上品なんだ!」
「グラスを弾くと澄んだ音がするぞ!」
商人たちの反応を見た執事のセバスチャンが、獲物を見据えた目をした。
「エトワール・グラス販売会場へようこそ! ワイングラスは一脚十万リーブル。花瓶は一点百万リーブルで販売いたします」
「「「「「買った!」」」」」
セバスチャンの値付けは、かなり強気だ。
十万リーブルあれば、平民一人が一月生活出来る。
貧乏貴族のエトワール伯爵家で育った俺には、ワイングラスが十万リーブルなのが高いのか安いのかイマイチ判断が付かない。
だが、ワイングラス一つが、平民一人が生活出来る価格と考えれば、相当高額だとわかる。
俺がスキル【マルチクラフト】で生成したワイングラスは、ツタや薔薇をモチーフにした模様が刻み込まれた高級仕様だ。
さらに飲み口は薄いので、唇が触れた時の感触も最高だ。
ガラスの花瓶は、ゴージャスなカットグラスで、中央に色々なモチーフを入れてある。
獅子、竜、剣、弓、薔薇、百合など、貴族が好みそうなモチーフを刻み込んであるのだ。
花を活けても良いが、ドン! とエトワール・グラスの花瓶を単体で飾るのも良いだろう。
商人たちは、取引のある貴族家の家紋に近いモチーフの入った花瓶を見つけて買い込んでいく。
即席で作ったテーブルの上に置いたワイングラスと花瓶が次々に消えていく。
一万リーブル金貨と十万リーブル大金貨が、執事セバスチャンのそばに置いてある台に山積みになって行く様は壮観だ。
俺は屋敷の奥からそっと玄関ホールの様子をのぞき見ているのだが、笑いが止まらない。
これまでの貧乏生活は何だったのか。
妹のマリーとネコネコ騎士のみーちゃんも、俺と一緒にのぞき見ている。
マリーとみーちゃんは、俺がエトワール・グラスを作っている間に仲良くなったようだ。
「わあ、お兄様! お金がいっぱい!」
「すごいニャ! 今夜はスキヤキが良いニャ!」
スキヤキとは懐かしい!
まあ、そうだな!
儲かったのだから、美味しい物を妹のマリーに食べさせなくては!
俺たちの視線に気が付いたセバスチャンが、早足でこちらに来た。
「ノエル様。追加制作をお願いいたします! ワイングラスを大量に。花瓶も三十点お願いします」
「わかった。出来上がったら、ここに置くから」
「ありがとうございます。それからご相談でございますが、現物での支払いを認めてもよろしいでしょうか?」
「現物? どういうことだ?」
執事のセバスチャンによれば、商人たちは可能な限り沢山のエトワール・グラスを仕入れたいそうだ。
だが、急な売買のため、金貨を大量に用意できなかった商人もいる。
金貨が用意できなかった商人は、商人が保有する在庫商品で支払いたい――つまり物々交換に応じて欲しいと言っているそうだ。
「どんな物と交換したいのだ?」
「はい。高級布地、宝石、魔石、魔道具、金属のインゴットなどです」
ふむ……。
生産スキル【マルチクラフト】の材料になりそうだな。
布地があれば、妹のマリーに服を作ってやれる。
それに魔石や魔道具も魅力を感じるな。
「どうしても手持ちの金貨がないのであれば、物々交換に応じても良いだろう。ただし、俺たちは今夜南へ立つ。あまりかさばる物や食料のように腐る物は困る」
「心得ました。役に立ちそうな物を中心に交換するようにいたします」
「任せた!」
執事セバスチャンが、笑顔で玄関ホールへ戻って行く。
「さあ! しばらくすると追加が来ますよ! 今日で最後! エトワール・グラスを手に入れる最後のチャンスでございますよ!」
執事セバスチャンの元気な声が響いた。
エトワール・グラスは夕方までに完売し、大量の金貨と物資を俺たちは得た。
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