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63 昔話
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「国王様、大丈夫ですか?もう少し歩けますか?」
コインさんが小声で国王に聞いた。確かに、まだここはニーン国だ。安全の為にはせめて山の中に入った方がいいだろう。
「大丈夫だ。私は体力はないが睡眠だけは十分に取っていたからな。ははははっ!」
「確かに、そうですね。あはははは。」
小声で笑い合って、歩けるだけ歩き続ける事にした。
辺りがうっすらと明るくなった頃、やっとアニマ国が見えたきた。
やっとアニマ国の中に入れた時には、昼前になっていて俺の家に来てもらいゆっくりと休む事にした。俺もかなり眠いし、さすがに足も痛い。コインさんも一部屋使ってもらって休んでもらう。
汗をサッと流して、ベットに倒れた後の記憶は無い。爆睡してしまった。
目が覚めたのは次の日の朝で、コインさんが起こしに来てくれた。
朝食をメリーさんとメイリーさんが運んで来てくれ、アニマ国王とニーン国王、コインさん、俺で食べる。
食べ終わり、食後のお茶を飲みながら、今までの事などを話し合う事になった。
「この度は私を助けていただきありがとうございます。アニマ国の国王様にお会いできて光栄です。」
「いやいや、私も姉の事があったのに、助けにも行けず申し訳ない。」
「まさか、私の母が国王様の姉だったなんて驚きです。」
しばらく国王同士での会話が続いていたが、急にニーン国王が俺の方をジッと見ている。
「…?どうかしましたか?」
「……シオンと言ったな?もしや、君の母の名前は、シューアではないか?」
「はい、そうです。なんで知ってるんですか?」
「やはり……やはりそうか!!面影があるな…私はシオン、お前の父親だ。」
「…………はっ?」
「驚くのも無理はない。顔をハッキリ見た時にシューアに似ていると思った。だが、シオンという名前を聞いて確信したんだ。少し昔話を聞いてくれ。」
そこから、ポツリポツリとニーン国王はニーン国の王族の事から話してくれた。
……ニーン国は大昔、アニマ国の人達と交流があり、人間と獣人族との結婚も当たり前だった。特に王族は魔力を得るために積極的に獣人族との血を繋げてきたそうだ。なので今の王族にも魔力がある。獣人族同士より、獣人族と人間との子どもは魔力が強い事が多かった。
だんだんとアニマ国との交流がなくなり、人間同士での結婚が当たり前になり今のように獣人族の血をひいていても見た目は全く人間と同じで、自分が魔力を持っているなどと思ってもいない人がほとんどなのだそうだ。調べると多くはないが魔力を持っている人はいるだろうと国王は言っていた。
それに、王族以外の人に魔力がある事が知られるのを恐れて秘密にしていたそうだ。確かに貧民に魔力があって、その事で王族にしろ!なんて言われたら厄介だ。
「それから、前にも少し話したが私は両親から引き離され部屋に閉じ込められていた。その時に私の世話係りとして付けられた侍女がシューアだった。歳は離れていたが私を弟のように可愛がり守ってくれた。そんなシューアに私は惹かれてしまった。シューアも私が成長すると私を愛してくれるようになった。今思えば、私もシューアも嫌な予感があったんだと思う。焦っていたんだ。私が15歳の時シューアと結ばれた。その後すぐ私の両親は殺され、しばらくしてあの牢に閉じ込められた。もちろんシューアとも引き離されてしまったが一度だけ私に会いに牢まで来てくれた。その時のシューアは痩せていて顔にも腕にも痣があった……。多分兄だろう。シューアの事を知ってからかなり執着していたからな。その時にシューアは私との子がお腹にいるだろう、貴方の名前と貴方が教えてくれたアニマ国語での自分の名前を一文字取って男でも女でもシオンと名付ける。この子を守る為に、今から逃げるとそれだけを話して泣きながら去って行った。」
「………俺は、本当に貴方の子ですか?今の国王の子だと言われたんです。」
「シューアは、殴られても蹴られても絶対に兄には従わなかったと、睡眠薬などを使って兄とは何もなかった、信じてほしいと私に言っていた。私はシューアを信じている。私の名前はリーオンだ。シューアのシュをアニマ国語にするとシとユになる。シと私のオンからシオンと名付けるから、いつか会いに来てほしいと言っていた。」
コインさんが小声で国王に聞いた。確かに、まだここはニーン国だ。安全の為にはせめて山の中に入った方がいいだろう。
「大丈夫だ。私は体力はないが睡眠だけは十分に取っていたからな。ははははっ!」
「確かに、そうですね。あはははは。」
小声で笑い合って、歩けるだけ歩き続ける事にした。
辺りがうっすらと明るくなった頃、やっとアニマ国が見えたきた。
やっとアニマ国の中に入れた時には、昼前になっていて俺の家に来てもらいゆっくりと休む事にした。俺もかなり眠いし、さすがに足も痛い。コインさんも一部屋使ってもらって休んでもらう。
汗をサッと流して、ベットに倒れた後の記憶は無い。爆睡してしまった。
目が覚めたのは次の日の朝で、コインさんが起こしに来てくれた。
朝食をメリーさんとメイリーさんが運んで来てくれ、アニマ国王とニーン国王、コインさん、俺で食べる。
食べ終わり、食後のお茶を飲みながら、今までの事などを話し合う事になった。
「この度は私を助けていただきありがとうございます。アニマ国の国王様にお会いできて光栄です。」
「いやいや、私も姉の事があったのに、助けにも行けず申し訳ない。」
「まさか、私の母が国王様の姉だったなんて驚きです。」
しばらく国王同士での会話が続いていたが、急にニーン国王が俺の方をジッと見ている。
「…?どうかしましたか?」
「……シオンと言ったな?もしや、君の母の名前は、シューアではないか?」
「はい、そうです。なんで知ってるんですか?」
「やはり……やはりそうか!!面影があるな…私はシオン、お前の父親だ。」
「…………はっ?」
「驚くのも無理はない。顔をハッキリ見た時にシューアに似ていると思った。だが、シオンという名前を聞いて確信したんだ。少し昔話を聞いてくれ。」
そこから、ポツリポツリとニーン国王はニーン国の王族の事から話してくれた。
……ニーン国は大昔、アニマ国の人達と交流があり、人間と獣人族との結婚も当たり前だった。特に王族は魔力を得るために積極的に獣人族との血を繋げてきたそうだ。なので今の王族にも魔力がある。獣人族同士より、獣人族と人間との子どもは魔力が強い事が多かった。
だんだんとアニマ国との交流がなくなり、人間同士での結婚が当たり前になり今のように獣人族の血をひいていても見た目は全く人間と同じで、自分が魔力を持っているなどと思ってもいない人がほとんどなのだそうだ。調べると多くはないが魔力を持っている人はいるだろうと国王は言っていた。
それに、王族以外の人に魔力がある事が知られるのを恐れて秘密にしていたそうだ。確かに貧民に魔力があって、その事で王族にしろ!なんて言われたら厄介だ。
「それから、前にも少し話したが私は両親から引き離され部屋に閉じ込められていた。その時に私の世話係りとして付けられた侍女がシューアだった。歳は離れていたが私を弟のように可愛がり守ってくれた。そんなシューアに私は惹かれてしまった。シューアも私が成長すると私を愛してくれるようになった。今思えば、私もシューアも嫌な予感があったんだと思う。焦っていたんだ。私が15歳の時シューアと結ばれた。その後すぐ私の両親は殺され、しばらくしてあの牢に閉じ込められた。もちろんシューアとも引き離されてしまったが一度だけ私に会いに牢まで来てくれた。その時のシューアは痩せていて顔にも腕にも痣があった……。多分兄だろう。シューアの事を知ってからかなり執着していたからな。その時にシューアは私との子がお腹にいるだろう、貴方の名前と貴方が教えてくれたアニマ国語での自分の名前を一文字取って男でも女でもシオンと名付ける。この子を守る為に、今から逃げるとそれだけを話して泣きながら去って行った。」
「………俺は、本当に貴方の子ですか?今の国王の子だと言われたんです。」
「シューアは、殴られても蹴られても絶対に兄には従わなかったと、睡眠薬などを使って兄とは何もなかった、信じてほしいと私に言っていた。私はシューアを信じている。私の名前はリーオンだ。シューアのシュをアニマ国語にするとシとユになる。シと私のオンからシオンと名付けるから、いつか会いに来てほしいと言っていた。」
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